ファンペップ(4881)のIPOが東証マザーズに新規上場承認されたので詳しくご紹介したいと思います。今回も業績や上場規模などを確認し、IPO抽選に参考になるような情報を評価してみたいと思います。


主幹事はSBI証券が務め公開株数2,739,700株、オーバーアロットメント410,900株です。上場規模は想定発行価格820円から計算すると約25.8億円になります。


2019年11月に承認されていましたが今回再承認となります。前回はみずほ証券主幹事でしたがSBI証券が引受けていました。異例だと思います。


ファンペップ(4881)IPO上場承認
※ファンペップ公式サイト引用


丁度1年前に上場承認され時期的にも似ています。前回は想定発行価格315円で吸収額が約16.3億円だったため今回の吸収はかなり引き上げてきたと感じます。


しかも赤字額が増えているため機関投資家の買い需要期待だと思います。赤字グロース株の創薬ベンチャー企業に資金が向かうのか承認段階では詳しくわかっていません。


通常であれば想定発行価格から大きくディスカウントされるのが恒例ですが、どうなるでしょうか?前回と違い地合いが良いためその間に資金調達の考えであれば残念です。


過去記事は下記から確認できます。
ファンペップIPO上場承認と初値予想!衝撃の赤字創薬バイオベンチャー


ファンペップ(4881)IPOの上場基本データと引受幹事

項目上場基本データ
市場マザーズ
業種医薬品
事業内容機能性ペプチドを用いた医薬品等の研究開発事業
上場日12月25日
ブックビルディング期間12月10日~12月16日
想定価格820円
※730円~910円の平均金額
仮条件650円~730円
公開価格650円
初値結果715円(上昇率+10.00%)
企業情報https://www.funpep.co.jp/
監査人EY新日本有限責任監査法人


【手取金の使途】

差引手取概算額2,044,829千円に、海外販売の手取概算額(未定)及び本第三者割当増資の手取概算額上限309,982千円を合わせた、手取概算額合計上限2,354,812千円については、運転資金として、機能性ペプチドSR-0379、抗体誘導ペプチドFPP003、抗体誘導ペプチドFPP004及び新規開発品の開発費、抗体誘導ペプチドの新規製剤技術の開発費、研究費及び研究開発実施のための人件費にそれぞれ充当する予定

※有価証券届出書(新規公開時)引用



項目株数データ
公募株数2,739,700株
売出株数0株
公開株数(合計)2,739,700株
オーバーアロットメント410,900株
上場時発行済み株数16,746,700株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約137.3億円
幹事団SBI証券(主幹事)
SMBC日興証券
いちよし証券
エース証券
藍澤證券
岩井コスモ証券
東海東京証券
東洋証券
極東証券
水戸証券
委託見込SBIネオトレード証券
DMM.com証券


ファンペップ(4881)上場評判とIPO分析

想定発行価格820円を基に吸収金額を算出すると約22.5億円となり、オーバーアロットメントを含めると約25.8億円規模の上場となります。


同社は大阪大学大学院医学系研究科の研究成果である機能性ペプチドの研究開発を進め、医薬品、化粧品及び医療機器等の事業分野で実用化することを主な事業としています。


創薬バイオベンチャー企業になり、言葉で説明するには難しさがあると思います。詳しく調べるためには目論見を見る必要があります。もしくは公式ホームページで事業確認を行いましょう。


医薬品の研究開発は期間が長く必要資金も大きいため、研究開発の段階から製薬会社等との提携体制を構築している企業が多くなります。


同社でも研究開発段階では、契約一時金、研究開発協力金及び開発マイルストーン、販売段階においては、ロイヤリティー及び販売マイルストーン等の収入を想定しているとあります。


これらの収入により、研究開発段階おいては研究開発遂行上の財務リスクの低減を図り、開発品上市後の販売段階においてロイヤリティー収入等によって利益拡大を実現する計画です。


ファンペップ(4881)上場評判と業績
※有価証券届出書引用


ペプチドとは、アミノ酸2~50個程度が結合した物質です。一般的に、50個以下のアミノ酸が鎖状に結合した物質をペプチドと呼び、それ以上の数のアミノ酸が結合した物質をタンパク質と呼ぶそうです。


ペプチドの中には、生体内等で機能を発揮するものがあり、「機能性ペプチド」と呼ばれています。機能性ペプチドは、医薬品、化粧品及び食品等の幅広い事業分野で実用化されています。


ファンペップ(4881)IPOの開発商品やパイプライン
※有価証券届出書引用


同社の技術シーズの起源は、大阪大学大学院医学系研究科における新規血管新生因子の探索研究により同定されたAG30(angiogenic peptide 30)です。AG30は30アミノ酸からなる機能性ペプチドで、血管新生作用を持っており、更に、抗菌活性を併せ持つ創薬シーズです。


同社は機能性ペプチドAG30を起源とし、そのペプチドを構成するアミノ酸の一部を置き換える検討を重ねることで、目的とする機能が増強したペプチド「SR-0379」、新しい機能が付与されたペプチド「AJP001」及び多機能の活性を示すペプチドの特定の機能が消失しているペプチド「キュアペプチン」などの機能性ペプチドを見出したそうです。


難しい内容でわかりませんが、結局は臨床試験に進んでいるパイプラインが問題になります。目論見を見ても内容を普通の投資家が把握するにはかなり難しいと感じます。


ファンペップ(4881)IPOの販売実績と取引先
※有価証券届出書引用


費用のかかる第III相に入る研究開発パイプラインがあるため、ますます赤字額が増えるのではないか?と懸念される材料もあります。


塩野義製薬と全世界のSR-0379のライセンス契約、大日本住友製薬とはオプション契約を行っています。この他、抗体誘導ペプチドの研究開発に関して、メディパルホールディングス研究開発支援契約を大日本住友や塩野義製薬でお行っているようです。


さらに、富士フイルム株式会社との間でヒトパピローマウイルスに対する抗ウイルス薬の共同研究も行われているようです。


ファンペップ(4881)の企業財務情報と配当性向

企業財務情報詳細は上記有価証券届出書引用の画像を今回はご覧ください。目論見にグラフ表示がないためです。第8期については下記で調べています。


第8期第3四半期累計期間(2020年1月01日~2020年9月30日)
  • 事業収益2,032千円
  • 営業損失384,557千円
  • 経常損失323,302千円
  • 四半期純損失325,440千円



【第8期第3期のチェックポイント!】

機能性ペプチドSR-0379については、前事業年度において皮膚潰瘍を対象疾患とした第Ⅱ相臨床試験を終了し、当第3四半期累計期間においては、第Ⅲ相臨床試験の準備を進めています。

抗体誘導ペプチドFPP003については、前事業年度にオーストラリアにて乾癬を対象疾患とした第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験を開始し、引き続き被験者の組み入れを進めています。また、強直性脊椎炎を対象疾患とした開発については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、前臨床試験を実施しています。

抗体誘導ペプチドFPP004については、花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)を対象疾患とした前臨床試験を実施したそうです。


ファンペップ(4881)の株主状況とロックアップについて

会社設立は2013年10月11日、大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番18-303号に本本店を構えます。社長は三好稔美氏(1964年3月23日生まれ)、株式保有率は7.13%(1,160,000株)です。


従業員数11人で臨時雇用者0人、平均年齢46.6歳、平均勤続年数4.2年、平均年間給与8,413,249円です。


セグメントは医薬品等の研究開発事業の単一セグメントになります。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
森下 竜一2,200,000株13.53%
平井 昭光1,775,000株10.92%
SBI4&5投資事業有限責任組合1,190,400株7.32%×
三好 稔美1,160,000株7.13%
塩野義製薬株式会社1,095,200株6.74%
有限会社アドバンステクノロジー1,000,000株6.15%
New Life Science 1号投資事業有限責任組合793,600株4.88%×
※株主上位7名の状況


【ロックアップについて】

本募集に関し、貸株人かつ当社株主である三好稔美、当社株主である森下竜一、平井昭光、有限会社アドバンステクノロジー、株式会社SOLA、株式会社レックスウェル、冨岡英樹及び栄木憲和並びに当社新株予約権者である林毅俊、堀口基次、松田修一及び南成人は、株式会社SBI証券に対して、本募集に係る元引受契約締結日に始まり、上場日から起算して180日目の2021年6月22日までの期間中は、株式会社SBI証券の事前の書面による承諾を受けることなく、当社普通株式の売却等を行わない旨を約束しております。

また、当社株主である塩野義製薬株式会社、株式会社メディパルホールディングス、株式会社ReBeage、国立研究開発法人科学技術振興機構、~省略~ 株式会社SBI証券に対して、本募集に係る元引受契約締結日に始まり、上場日から起算して90日目の2021年3月24日までの期間中は、株式会社SBI証券の事前の書面による承諾を受けることなく、当社普通株式の売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く)を行わない旨を約束しております。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



上位株主には180日間(2021年6月22日まで)のロックアップが付与されています。その他、90日間(2021年3月24日まで)のロックアップとロックアップ解除1.5倍の設定があります。ベンチャーキャピタルに対しては90日間、1.5倍解除となります。


この他、新株予約権者に対して90日間は株式売却等を行わない約束を行っています。


親引けはありません。


ファンペップ(4881)IPOの初値予想と幹事引受け株数

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


想定発行価格は730円~910円の平均金額820円となっていましたが、仮条件範囲が650円~730円に引き下げられています。吸収額は17.8億円~23.0億円のレンジになります。


想定したようにあまり人気ではないようです。筆頭株主がアンジェス創業者である森下竜一氏となっていることがポイントだとメディアでも報じられているようです。赤字企業でパイプラインも第Ⅱ相で止まっていることから評価が低いようです。


大手初値予想700円~1,000円
修正値は公開価格±5%程度

※注目度B


2020年12月の業績予想は売上300万円となり前期比99%減(前期は約3億円)、経常利益は-5.57億円となり前期-2.32億円から赤字が拡大します。


そして四半期利益は-5.60億円の計上になり前期-2.35億円から拡大します。業績面の評価は難しいでしょう。EPSは-44.52になりPERは算出不可、BPS234.25なのでPBRは3.11倍になります。配当金や株主優待はありません。


ペプチドというキーワードは有名だと思いますが企業評価が低いようです。バイオ系の上場は基本人気が見込めないためスルーでよいと考えています。上にも下にも激しく動く要素がある銘柄でしょう。


新型コロナウイルス感染症の研究を大阪大学及びアンジェスとの間で、同社の抗体誘導ペプチド等のペプチド技術を活用した次世代DNAワクチンの共同研究を実施しているそうです。


しかし、既に先行してワクチンが投与され始めているため、材料視される可能性は低い気がしています。


幹事名割当株数引受割合
SBI証券(主幹事)2,410,900株88.00%
SMBC日興証券109,600株4.00%
いちよし証券41,100株1.50%
エース証券41,100株1.50%
藍澤證券27,400株1.00%
岩井コスモ証券27,400株1.00%
東海東京証券27,400株1.00%
東洋証券27,400株1.00%
極東証券13,700株0.50%
水戸証券13,700株0.50%


当選を狙うのであればSBI証券からの申込みは必要です。さらにSMBC日興証券からの申込みも行っておきましょう!


私は仮条件発表後に申込スタンスを決めたいと思います。前回の大手予想は利益が出ると予想していたようですが、今回の再承認は上場規模が大きくなっているためどうでしょうね。




また、IPO関係でSBIネオトレード証券が「SBIネオトレード証券」に商号を変更するそうです。もしかしたらタイアップが特典が終了するかもしれません。


IPOの取扱い数拡大が行われるそうなので期待しています。今回のSBI証券主幹事と言い、何か証券業界で大きな変革が起きている気がします。






ファンペップのIPOチャレンジポイントボーダーラインは!?ポイント利用者はいない

ファンペップのIPOチャレンジポイントボーダーラインを考えた場合利用者はいないと思います。利益が出るのか微妙なのでポイントを使って当選したい投資家はあまりいないでしょう。


最新のSBI証券主幹事のIPOチャレンジポイントデータは下記になります。


ファンペップのIPOチャレンジポイントボーダーライン予想


既に私はIPOチャレンジポイントを利用しないと決めています。当選ボーダーラインは100P位でしょうか?


300株配分で損失を出すとそれなりの金額になるかもしれません。利益見込みが強ければボーダー150P位になるかもしれません。


私はネオモバで申込を行い1株当選を目指します!気楽に参加するタイプのIPOだと考えています。バイオ株はいきなり人気が出ることがあるため日々観察だけは行っておきたいと思います。


ネオモバのIPO抽選ルールは下記記事でまとめているので、よかったら参考にしてください。




類似企業のPERやPBRを調べてみました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
アンジェス(4563)PER-倍PBR7.33倍
ペプチドリーム(4587)PER167.3倍PBR38.16倍
ステムリム(4599)PER311.3倍PBR3.78倍
※2020年12月09日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2017年4月01日~2025年2月28日250,000株4円
2017年4月16日~2025年3月31日425,000株50円
2017年10月01日~2025年6月15日615,000株200円
2018年1月01日~2025年12月17日280,000株200円
2020年9月28日~2028年9月12日52,500株1,050円
2020年12月15日~2028年9月12日14,000株1,050円
2022年10月11日~2030年9月29日66,500株630円


ストックオプション(新株予約権)は1,636,500株が行使期限に入ります。気になったのは残りの66,500株が2020年9月30日に議決され従業員4人に与えられています。


想定発行価格との差が190円もあるんですね。付与対象者が羨ましいですよね。そもそもが爆益でしょう!


ツイッターでもIPO記事のチェックができます!

最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも6年目突入!安定の利益でブログも15年目に突入。


ファンペップ(4881)IPOの評価と申し込みスタンス

ファンペップIPOは想定算出の時価総額が前回は50.8億円でした。今回は約137.3億円となり1年間でそんなに企業価値が高くなったの?と疑問があります。


主幹事が入れ替わる異例の選択をファンペップは受け入れていますからね。


ファンペップ(4881)IPO抗体医薬品との違い
※有価証券届出書引用


また、売出株には誰も応じていないのは前回と同様です。バイオは巨額の資金を必要とするためIPOではあまり人気がありません。


ただ何かテーマが出てくると買われます。黒字バイオの場合は相当な人気が予想されますが、今回は赤字ですよね。


第Ⅲ相臨床試験準備段階まで機能性ペプチド(SR-0379)が進んでいますけど、世の中は新型コロナウイルス感染性の話題で持ちきりです。


コロナ禍でバイオも注目されればよいですが、IPOでバイオ株は普通であれば鬼門ですよね。個人判断では投資スタンスが難しいため、大手初値予想や某証券紙を確認したいと思います!


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