日通システム(4013)のIPOが東証マザーズに新規上場承認されたので詳しく情報をご紹介したいと思います。今回も業績や上場規模などを確認しIPO抽選に参考になるような情報を評価してみたいと思います。


主幹事は野村證券が務め公開株数2,500,000株、オーバーアロットメント375,000株です。上場規模は想定発行価格2,880円から計算すると約82.8億円になります。売出し株がないことは好感できますが上場規模が大きいようです!


日通システムIPO上場承認と初値予想
※日通システム公式サイト引用


同社サービスは競争激化による製品価格の下落、競合会社の優位的な新製品の投入や競合会社同士の戦略的提携などが発生した場合に優位性の問題があるようです。


主力製品である「勤次郎Enterprise」シリーズに依存する売上が多く、大手企業では大塚商会(4768)への売上が前期30.7%で今期が第2四半期で33.3%になっています。目論見によれば約4割が大塚商会(4768)となっています。


同社の顧客企業は製造業、サービス業、流通・小売業、運送・倉庫業、病院・福祉業等、業種・業態を問わず多岐にわたっており、規模的にも大企業から中小規模事業者まで広範囲となっているそうです。


ただ、上場後は顧客開拓が求められそうですね。


日通システム(4013)IPOの上場基本データと引受幹事

項目上場基本データ
市場マザーズ
業種情報・通信業
事業内容統合HRMソリューションの開発・販売・サポートまでの一貫したソリューションサービスの提供
上場日10月13日
ブックビルディング期間9月25日~10月01日
想定価格2,880円
仮条件2,880円~3,000円
公開価格3,000円
初値結果5,500円(公開価格1.83倍)
監査人有限責任 あずさ監査法人


【手取金の使途】

手取概算額6,587,000千円については、「1 新規発行株式」の(注)5. に記載の第三者割当増資の手取概算額上限993,600千円と合わせて、設備資金、運転資金及び借入金の返済に充当する予定であります。

①設備資金
クラウドサービス用サーバー設備等の増強、及び基幹業務システムの改修として、合計824,301千円を充当する予定

②運転資金
当社製品であるソフトウエアの開発資金、及び人件費として、合計5,130,941千円を充当する予定

③借入金の返済
長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の返済として、合計116,886千円を充当する予定

残額につきましては広告宣伝費、教育研修費及び研究開発費のための運転資金に充当する方針でありますが、具体化している事項はありません。なお具体的な充当時期までは、安全性の高い金融商品等で運用する方針であります。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



項目株数データ
公募株数2,500,000株
売出株数0株
公開株数(合計)2,500,000株
オーバーアロットメント375,000株
上場時発行済み株数10,045,000株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約289.3億円
幹事団野村證券(主幹事)
みずほ証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
東海東京証券
SBI証券
岩井コスモ証券
エース証券
豊証券
委託見込auカブコム証券
SBIネオトレード証券
DMM.com証券


日通システム(4013)上場評判とIPO分析

想定発行価格2,880円を基に吸収金額を算出すると約72億円となり、オーバーアロットメントを含めると約82.8億円規模の上場となります。新興市場としては上場規模が大きいため懸念されます。


同社グループは、日通システムと日通システムベトナム有限会社(連結子会社)の2社で構成され、セグメントは「HRM事業」と「その他」により構成されています。前期売上で計算するとHRM事業が売上の99.0%となっています。


HRM事業は、多業種の事業者向けの就業・人事・給与マネジメントシステムと「ヘルス×ライフ」等のソフトウエア製品及びハードウエア製品(就業情報端末)の開発及び販売、並びにこれらの製品を活用するクラウドサービス及びコンサルサポート、プレミアムサポートなどの提供を行っています。


HRM事業はクラウド事業とオンプレミス事業に分かれさらにいくつものサービスに細分化されています。


日通システムIPOの上場評判と業績
※有価証券届出書引用


同社グループのHRM事業の基本方針は、顧客企業の「働き方改革&健康経営」の実現のため、顧客企業の従業員の適正な労働時間管理、健康維持・増進により労働生産性を向上させることを通じて、顧客企業の業績向上、企業価値向上に貢献をすることだそうです。


その事業領域は、主に中核である就業マネジメント領域とヘルスケア領域によって構成され、製品の統合ERP「勤次郎Enterprise」において、クラウドとオンプレミスで製品サービスの提供を行っています。


販売チャネルには、製品及びサービスを顧客企業に直接販売する「直販」と、システムやIT機器を取り扱う販売パートナーに製品及びサービスを卸し、販売パートナー経由で顧客企業が製品及びサービスを利用する「パートナー販売」があります。


なお、「勤次郎」シリーズの就業マネジメントシステムは5,000を超す企業・団体への導入実績があるそうです。これは当該ソフトウエアが使いやすく満足度が高いことによるものであると自負しており、実際に多くの顧客企業・団体で広く利用されているそうです。


良し悪しはありますがこのような表記は珍しいと思います。


日通システム(4013)IPOのビジネスモデル
※有価証券届出書引用


同社グループにとってクラウドサービスは新たな多くの企業の利用と売上向上につながっているそうです。


さらに、中堅中小企業の求める共通機能に絞り込むことで、取り扱いやすく従来サービスより安価な月額料金とした「勤次郎Smart」を製品ラインナップに加え、新たな顧客の獲得と裾野市場の開拓を進めています。


近年では大企業もクラウドサービスの利用がトレンドとなっており、同社グループのクラウドサービスの利用も一層進んでいくと期待しているそうです。


顧客企業の満足度向上に取り組んだ結果、解約に至るケースも少なくクラウドサービスの解約率は0.2%を下回る水準で推移しているそうです。


日通システム(4013)IPOの販売実績
※有価証券届出書引用


中長期的な戦略では、継続して成長し続けるためにクラウド事業を成長ドライバーにリカーリングレベニューを拡大することを基本戦略とし、HRM&HLプラットフォームを通じた新たな価値創造を行っていくそうです。


統合ERP「勤次郎Enterprise」を中核とするクラウドサービスとパッケージ販売により顧客企業の拡大を進めると自負しています。しかし、近年は勤怠管理ソフト市場へ新規参入する企業が増えてきているため不安材料もあります。


同社は新たなサービス及び製品を顧客企業に提供することで、さらなる成長を狙うそうです。統合ERP「勤次郎Enterprise」の後継製品「Universal-K(コードネーム)」の開発を重点課題として取り組んでいるそうです。


日通システム(4013)の企業財務情報と配当性向

回次第38期第39期
決算年月2018年12月2019年12月
売上高2,747,1143,188,571
経常利益323,878459,801
親会社株主に帰属する当期純利益236,802332,074
包括利益236,774331,750
純資産額1,277,1481,587,463
総資産額2,282,2272,540,169
1株当たり純資産額178.75222.18
1株当たり当期純利益金額33.1446.48
自己資本比率(%)56.062.5
自己資本利益率(%)20.323.2
株価収益率(倍)
配当性向(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー361,738545,821
投資活動によるキャッシュ・フロー△302,052△285,035
財務活動によるキャッシュ・フロー53,378△108,932
現金及び現金同等物の期末残高472,258626,463
※数値は千円単位



第40期第2四半期連結累計期間(2020年1月01日~2020年6月30日)
  • 売上高1,765,948千円
  • 売上総利益1,188,066千円
  • 営業利益345,277千円
  • 経常利益346,136千円
  • 四半期純利益227,623千円



【第40期第2期のチェックポイント!】

主力製品である勤次郎Enterpriseの拡販に努め、働き方改革と健康経営に寄与する次世代の主力製品となる勤次郎nterprise「ヘルス×ライフ」を引き続き販売することで、「HRM&HLプラットフォーム」を発展させるそうです。

またクラウド事業の売上の伸びは好調であり、結果として売上高は堅調に推移しています。クラウドサービスの利用者数(契約ライセンス数)が第39期連結会計年度末から40,191人増加し286,549人となり業績が順調に伸びています!


日通システムの特徴は?どんな会社のか動画を探してみた

日通システムの採用動画を見つけることができました。この他には「夏季1DAY仕事体験のご紹介」という動画もありましたが企業概要などをより理解するために「採用動画」を選択しました。





動画が長いため全てを見る必要はないと思います。クラウドサービスのことについて説明をされている内容も含まれています。


また、経営者目線で何を従業員に行って欲しいのか熱意あるお言葉も動画の終わりのほうで語られています。個人的に注目したのは社内環境です。


日通システム(4013)の株主状況とロックアップについて

会社設立は1981年4月02日、東京都千代田区外神田四丁目14番1号に本社を構えます。社長は加村稔氏(1947年6月01日生まれ)、株式保有率は12.59%(950,000株)です。


従業員数は222人で平均年齢37.5歳、平均勤続年数6.3年、平均年間給与5,647,000円です。


連結従業員数は266人になりHRM事業238人、その他1人、全社共通27人になります。臨時雇用者はいません。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
エヌイーシステムサービス株式会社3,585,000株47.51%
日通システム持株会1,473,700株19.53%
加村 稔950,000株12.59%
MK株式会社550,000株7.29%
三菱UFJキャピタル株式会社450,000株5.96%
國井 達哉183,500株2.43%
加村 光子160,000株2.12%
※株主上位7名の状況


【ロックアップについて】

本募集に関連して、貸株人である加村稔、並びに当社株主であるエヌイーシステムサービス株式会社、MK株式会社、國井達哉、加村光子、加村光造、西垣延夫、 ~省略~ は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年1月10日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。

当社株主である三菱UFJキャピタル株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年1月10日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く)を行わない旨合意しております。

また、当社株主である日通システム持株会は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後180日目の2021年4月10日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



上位株主には90日間(2021年1月10日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は三菱UFJキャピタル株式会社のみ発行価格の1.5倍以上となっています。


この他、日通システム持株会は別途180日間のロックアップが付与されています。


親引け設定は20,000株を上限として実施される予定です。


日通システム(4013)IPOの初値予想と幹事引受け株数

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


想定発行価格を下限として仮条件範囲が広げられ2,880円~3,000円に決定しました。これにより吸収額が最大86.3億円になります。


企業規模が大きく成長しているため吸収額に問題はなさそうです。IT系の企業でマザーズ上場となっているため公開価格割れは避けることができそうです。収益もHRM事業のクラウドサービスが継続して伸びていることで上場後の業績期待もできそうです。


大手初値予想(A社)3,000円~4,500円
修正値3,500円~4,000円

※注目度A、修正値は10月03日に追記


2020年12月期の連結業績予想は売上37.47億円で前期比17.5%増、経常利益6.23億円で前期比35.7%増の増収増益を予定しています。四半期利益も好調となり4.26億円で前期比28.3%増となる予定です。


EPS52.70からPERは56.93倍、BPS860.67からPBR3.49倍になります。配当が3円予定され配当利回り0.1%となります。


ベンチャーキャピタルが1社で公開価格の1.5倍以上だと売却可能になっています。上場規模から公開価格の1.5倍以下の初値となる可能性が高そうです。株数が多いため積極的に狙いたいと思います!


成熟している企業のため投資先としても安心感はあると思います。上場後の値動き(セカンダリー)に期待したいと思います。


幹事名割当株数引受割合
野村證券(主幹事)2,275,000株91.00%
みずほ証券50,000株2.00%
三菱UFJ・モルガンスタンレー証券50,000株2.00%
東海東京証券25,000株1.00%
SBI証券25,000株1.00%
岩井コスモ証券25,000株1.00%
エース証券25,000株1.00%
豊証券25,000株1.00%


微妙なIPOが登場したと感じます。業績拡大中であることは好感が持てますが上場規模が大きいため少し不安だと考えています。


IPO市場がこれまでのようにアゲアゲであれば日通システムのIPOで利益が見込めると思います。ただアメリカ大統領選挙や日本の総裁選挙など政治が不安定なため、吸収額が大きなIPOは注意が必要だと思います。


その代わり当選しやすくなるため積極的に獲得したい方にはチャンスでしょう!野村證券は前受け金が不要なので申込を行っておきましょう。エース証券や豊証券は店頭申し込みになるため私は口座を開設していません。




人気が出るIPOだとは承認段階であまり思えないため東海東京証券岩井コスモ証券などからの抽選申込も有効かもしれません。


情報・通信業であることは好感できます。またコロナ禍でも業績が順調に伸びていることは事実です。


ただ前期売上31.9億円で利益3.3億円の企業が83億円も上場で吸収するのか?という不安ですね。上場規模が半分であれば良かったのに?と思います。当選チャンスであることを祈りたいと思います!




FXTFで新規口座開設を行うと2,000円が貰えます。さらに1回取引で3,000円がプレゼントされる特大キャンペーンが行われています。口座開設だけだとノーリスクですね。


でもスプレッドが狭いので口座開設したら取引も行ってみましょう。ドル円のスプレッドが0.1銭でMT4も使える凄い企業です。メリットとデメリットをまとめたのでよかったら下記記事も参考にしてください。またタイアップ特典が付いているのでそちらも頂いてください!




類似企業のPERやPBRを調べてみました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
ネオジャパン(3921)PER71.39倍PBR7.9倍
ビーブレイクシステムズ(3986)PER34.75倍PBR1.93倍
チームスピリット(4397)PER298.38倍PBR30.98倍
※2020年9月25日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
該当事項なし-株-円


ストックオプション(新株予約権)の発行はありません。


また、ベンチャーキャピタル保有株は三菱UFJキャピタル株式会社の1社のみです。


ツイッターでもIPO記事のチェックができます!

最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも6年目突入!安定の利益でブログも15年目に突入。


日通システム(4013)IPOの評価と申し込みスタンス

日通システムのIPOは仮条件待ちだと考えています。売出株ではないため大丈夫だと思いますが上場規模が大きすぎます。


ベンチャーキャピタル出資が少ないことやストックオプションが無いことは好材料です。事業もクラウド系なのでIPOでは人気です。


日通システムIPOの評価
※日通システム公式サイト引用


ただ、全面的に「クラウド事業をやっていますよ!」と個人的に伝わる目論見が気になっています。


事業は順調なので単に目論見の書き方が気になるだけでしょう。情報セキュリティについては、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得し、全部門において国際規格である「ISO27001」に適合した情報の安全な管理体制を構築しているとあります。


大株主である加村稔氏、資産管理会社のエヌイーシステムサービス株式会社、MK株式会社の所有株式数が発行済株式総数の67.4%になっており、上場後も保有見込みとなっています。


上場を行った後もVCが売却できるのは90日後、もしくは公開価格の1.5倍になっています。上場段階で公開株式以外の株流通は少ないと考えられますが、やはり上場規模の大きさが最大の懸念材料だと思います。


この規模のIPOで大きな需要が発生するようであれば、他のIPOも安心して投資できると思います。それだけ微妙な銘柄だと思います。


ネオモバイルでIPO取扱いが行われる見通しです!SBI証券主幹事の委託販売で単元未満株のIPO抽選が行われます。口座開設が間に合えば優遇される可能性があります。


1株単位の当選になりますがIPOが当選すると上場日までワクワク感を得ることができます。100株単位だと難しいかもしれませんが1株単位(複数株当選あり)なら当選確率が高いと考えられます!詳しくは下記記事でまとめています。


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