AHCグループ(7083)IPOが東証マザーズに新規上場承認されました。今回も業績や上場規模などを確認し評価していきたいと思います。


主幹事はみずほ証券が務め公開株数560,000株、オーバーアロットメント84,000株です。上場規模は想定発行価格1,990円算出で約12.8億円になります。


事業は障害福祉事業と介護事業に注力しているようです。直近銘柄では2019年10月上場のアンビスホールディングス(7071)が参考になりそうです。住宅型有料老人ホームを主力としていましたが大手予想を超えた人気となりました。


AHCグループIPO上場承認と初値予想


global bridge HOLDINGS(6557)も事業が被っていますよね。保育施設や介護施設はIPOでもここ最近は人気となっています。初値期待で良さそうです!


外食事業の販売実績も24.4%あることから結構本気で取り組んでいる事業のようです。店舗調理にこだわった低価格・高品質の料理や快適な店舗空間の提供を行い、他社との差別化を追求しているそうです。


福祉業界では民間企業の障害者雇用率の上昇がみられ、発達障害への社会認知向上、高齢化による介護問題など多くの関心が寄せられるテーマを扱っていると個人的に考えています。


AHCグループ(7083)IPOの上場基本データと引受幹事

項目上場基本データ
市場マザーズ
業種サービス業
事業内容障害福祉事業(放課後等デイサービス、就労継続支援B型、共同生活援助事業所の運営等)、介護事業(通所介護事業所の運営等)、外食事業等
公開予定2月25日
ブックビルディング期間2月05日~2月12日
想定価格1,990円
仮条件2,000円~2,200円
公開価格2月13日
企業情報https://ahc.co.jp/
監査人EY新日本有限責任監査法人


【手取金の使途】

手取概算額832,168千円については、「1 新規発行株式」の(注)4.に記載の第三者割当増資の手取概算額上限153,787千円と合わせた手取概算額合計上限985,955千円について、設備資金として①当社グループの福祉事業の新規事業所開設に係る資金に充当し、運転資金として②従業員採用費、③従業員人件費、④IT環境整備費、⑤借入金の返済に充当する予定であります。

①福祉事業における新規事業所の開設資金として、2022年11月期までに237,240千円を充当する予定

②グループ事業規模の拡大にともなう従業員採用費として、2022年11月期までに90,000千円を充当する予定

③グループ統制環境の整備にともなう従業員人件費として、2022年11月期までに90,000千円を充当する予定

④グループの事業規模拡大にともなうIT環境の整備強化費用として、2022年11月期までに60,000千円を充当する予定

⑤金融機関からの借入金返済として、2020年11月期に短期借入金121,000千円、長期借入金229,613千円、2021年11月期に長期借入金158,102千円への充当を予定

なお、具体的な充当時期までは、安全性の高い金融商品等で運用していく方針であります。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



項目株数データ
公募株数460,000株
売出株数100,000株
公開株数(合計)560,000株
オーバーアロットメント84,000株
上場時発行済み株数2,060,000株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約41億円
幹事団みずほ証券(主幹事)
SMBC日興証券
SBI証券
マネックス証券 ←完全平等抽選
いちよし証券
エース証券
岩井コスモ証券
ちばぎん証券
東洋証券
委託見込岡三オンライン証券
SBIネオトレード証券
DMM.com証券


AHCグループ(7083)上場評判とIPO分析

想定発行価格1,990円を基に吸収金額を算出すると約11.1億円となり、オーバーアロットメントを含めると約12.8億円規模の上場となります。業績は2017年11月期連結で赤字となっていますが現在は黒字化しています。


同社グループ企業は連結子会社(SLカンパニー、テラスワールド、介護ジャパン、センターネットワーク)の計5社で構成され主に3つの事業(福祉事業、介護事業、外食事業)を展開しています。会社設立は2010年1月になり元々は同社グループの記帳代行等の業務受託等を運営目的としていたそうです。


福祉事業では、放課後等デイサービスや児童発達支援(知的障害や発達障害を抱える未就学児・小学生・中学生・高校生)を対象とした事業所を運営しています。


障害を持つ児童に対して生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進、その他の便宜を供与するいわゆる「療育支援」を行っています。


AHCグループ上場評判と業績


2014年6月に東京都板橋区に開設して以来、首都圏を中心に「アプリ」「TODAY」「Aプラス」「アプリキッズ」のブランド名で本書提出日現在31事業所を展開しています。


企業への就労を希望する18歳以上65歳未満の障害や難病を持つ方を支援する就労移行支援、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される障害者を支援する就労継続支援B型、


18歳未満の知的障害・発達障害を抱える子供の療育支援計画を作成する相談支援、障害のある方に対して共同生活を営む住居を提供する共同生活援助(グループホーム)を行います。


AHCグループIPOの事業所と店舗数の推移


同社の福祉事業の目的は社会参加を目指す障害や難病を持つ全ての方に、可能な限り網羅的に福祉サービスを提供することです。今後継続的に増加するこれらの要望に応えるため事業所を計画的に開設しているそうです。


サービス対価は事業所を設置している都道府県の国民健康保険連合会及びサービス利用者より受領しています。附帯事業として福祉のライセンス事業、商標等使用許諾、管理業務の受託も行っているそうです。


AHCグループIPOセグメントと事業内容


介護事業では、要介護認定者や要支援認定者の方を対象に、身体機能の維持・回復・改善を支援するデイサービス事業所の展開を行っています。


2007年8月に東京都板橋区に開設して以来、「グリーンデイ」「あいである」「トリコロール」等のブランド名で本書提出日現在33事業所を運営しています。


介護事業では高齢者の身体機能の維持改善を目的にリハビリ機器を導入すると共に、自社オリジナルプログラムを開発・改良し、全ての利用者の「少しでも長く健康的に生きたい」という要望に応えているそうです。


また様々なイベントやレクリエーションを実施し「自分らしく楽しみたい」という要望にも応えています。さらに事業所の設備の特色として個別に入浴できるリフト付き介護用ユニットバスを積極的に導入しています。


介護事業では定員に対して高い稼働率を実現しています。今後も高品質なサービスを提供するデイサービス事業所を継続的に出店していく意向があるそうです。サービス対価は事業所を設置している都道府県の国民健康保険連合会及びサービス利用者より受領しています。


AHCグループ販売実績と取引先


外食事業では居酒屋店舗の運営を行っており、2008年8月に東京都台東区に「三蔵」を開店以来、東京都内に本書提出日現在9店舗を展開しています。


主業態である「ねぎま三ぞう」のメニューコンセプトは伝統と革新の融合となっているそうです。伝統的な和食である、「串焼き」「煮込み」「刺身」「天ぷら」等のカテゴリーを軸に毎月厳選した創作料理を投入し、常に進化しながら高い顧客満足度を実現しているそうです。


店舗教育においては動画マニュアル管理システムを活用し商品の品質と接客サービスの向上を実現しています。また、女性をターゲットとしたビストロ業態「TERIYAKI」、カツカレー専門店「とんかつ檍のカレー屋いっぺこっぺ」などの新規業態の開発にも注力しているそうです。


子会社のセンターネットワークでは居酒屋向けのセントラルキッチンを運営し、食料品の加工及び販売を行っています。附帯事業として外食のライセンス事業、管理業務の受託も行います。


AHCグループ(7083)の企業財務情報と配当性向

回次第8期第9期
決算年月2017年11月2018年11月
売上高3,048,2043,464,256
経常利益6,33661,901
親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失△36,38667,995
包括利益又は損失△35,52267,931
純資産額23,30491,236
総資産額1,433,8181,604,355
1株当たり純資産額14.5757.02
1株当たり当期純利益金額又は当期純損失金額△24.2642.50
自己資本比率(%)1.65.7
自己資本利益率(%)118.7
株価収益率(倍)
配当性向(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー△37,42169,899
投資活動によるキャッシュ・フロー△107,062△135,472
財務活動によるキャッシュ・フロー281,1607,103
現金及び現金同等物の期末残高416,184357,713
※数値は千円単位


第10期第3四半期連結累計期間(2018年12月01日~2019年8月31日)
  • 売上高3,042,589千円
  • 営業利益191,348千円
  • 経常利益206,406千円
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益125,132千円


【第10期第3四半期連結累計期間のチェックポイント!】

福祉業界では民間企業に義務付けている障害者の雇用割合の算定基礎に精神障害者を加えることにより、民間企業の障害者雇用率を2018年4月に2.2%、2020年度末までに2.3%への引き上げを厚生労働省が決定したことで、障害者雇用に対する旺盛な需要が見込まれています。

また、全国の公立小中学校のうち障害のある生徒が通常学級に在籍しながら必要に応じて別室等で授業を受ける「通級指導」の2017年度の設置学校数は昨年対比で15.5%増加の5,283校となっており、対象者は108,946人で過去最高を更新する等、発達障害への社会認知が進んでいます。

介護業界では65歳以上人口の割合(高齢化)が2017年には27.7%に上昇、2017年度の介護費が10兆円を超える等、その需要は拡大しています。外食産業では原材料価格の高騰や人件費関連のコスト上昇などで厳しいそうです。


AHCグループ(7083)の株主状況とロックアップについて

会社設立は2010年1月05日、東京都千代田区岩本町二丁目11番9号イトーピア橋本ビル2階に本社を構えます。社長は荒木喜貴氏(1975年5月19日生まれ)、株式保有率は41.49%(710,000株)です。


従業員数175人で臨時雇用者156人、平均年齢38.0歳、平均勤続年数2.07年、平均年間給与3,423,000円です。


連結従業員のセグメント別人数は福祉事業167人(臨時雇用者119人)、介護事業126人(臨時雇用者123人)、外食事業18人(臨時雇用者60人)、全社共通20人(臨時雇用者1人)の合計331人(臨時雇用者303人)となっており、首都圏の事業所が多いようです。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
荒木 喜貴710,000株41.49%
YHC株式会社600,000株35.07%
G2株式会社60,000株3.51%
村光 伸介60,000株3.51%
土山 茂太52,000株3.0%
吉元 幸次郎50,000株2.92%
荒木 喜嗣32,500株1.90%
※株主上位7名の状況


【ロックアップについて】

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である荒木喜貴、売出人である土山茂太及び吉元幸次郎並びに、当社株主であるYHC株式会社、G2株式会社、村光伸介、荒木喜嗣、荒木美幸、土山茂、荒木喜久及び荒木政子は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2020年8月22日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く。)等をは行わない旨合意しております。
※有価証券届出書(新規公開時)引用



上位株主には180日間(2020年8月22日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にないため設定がありません。対象の株主は180日間売却不可になります。またベンチャーキャピタル出資はありません。


AHCグループ(7083)IPOの初値予想と幹事引受け株数

想定発行価格1,990円から仮条件が引き上げられ2,000円~2,200円の範囲に決定しました。上限2,200円による吸収額は約14.2億円になります。


障害者の就労支援で言えばLITALICO(6187)やウェルビー(6556)あたりが類似企業として意識されそうです。ただ他にも事業があるため株価設定が低めのようですね。


2020年11月の連結業績予想は46.5億円となり前期比12.7%増、経常利益3.1億円となり前期比20.8%増になります。四半期利益は2.1億円となり前期比較で15.7%増を見込んでいます。


増収増益なので業績不安は現在のところないようです。また配当は予定されていません。EPS105.69からPERは約20.82倍、BPS660.99からPBR3.33倍になります。


初値予想3,500円~4,500円


kimukimu

高い数値が予想されているので公募株を取得したい方は積極的にIPO抽選に申込んでおきましょう!


ベンチャーキャピタル出資がないことはかなりプラス材料だと思います。ただ初値持越しになるような力があるのかは微妙ですね。


余力を残している投資家が多く予想以上の人気となる可能性もありますが地合いがあまりよくありません。2020年第1号IPOが好調なら同社の初値もぶっ飛びそうです!


幹事名配分単位引受割合
みずほ証券(主幹事)504,000株90.00%
SMBC日興証券16,800株3.00%
SBI証券11,200株2.00%
マネックス証券5,600株1.00%
いちよし証券5,600株1.00%
エース証券5,600株1.00%
岩井コスモ証券5,600株1.00%
ちばぎん証券2,800株0.50%
東洋証券2,800株0.50%


主幹事みずほ証券を抑えながら口座開設を行っている証券会社から申し込みを行いたいと思います。エース証券とちばぎん証券、東洋証券は店頭からの申し込みが行われると考えられます、ネット申し込みは行われないでしょう。


SMBC日興証券の株数引受けも期待できますが、引受けた株を全て抽選に回すマネックス証券からも申し込みを必ず行っておきたいと思います。IPO抽選ルールは下記記事で説明しています。






資金的な余裕があれば岩井コスモ証券からの申し込みも行っておきましょう。後期型の抽選方式なので申し込み忘れを行う方が多いです。たまに後期型抽選で当選している方を見かけるため「運」を持っていると感心するときがあります。


株数が多めのIPOに参加する場合は必須口座だと思います。




IPO投資は資金と口座数により当選確率を高めることができるため資金だけがあっても当選は難しいです。口座開設という面倒な作業を頑張らないと当選は中々訪れません。


これからIPO投資を行いたい方は下記記事でIPO投資についてまとめているので参考になると思います。時間があるときに読破してください。




IPO投資を長期的に続けるにはまずは1回当選することです。公開価格割れしそうなIPOでもとりあえず申し込みを行っておき本当にIPOが当選することを確認してみましょう!1回当選するとモチベーションが上がると思います。

類似企業のPERやPBRを調べてみました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
ツクイ(2398)PER20.14倍PBR1.74倍
ケアサービス(2425)PER10.31倍PBR1.78倍
ウェルビー(6556)PER41.93倍PBR16.68倍
※2020年2月04日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2019年10月21日~2027年10月20日68,000株118円
2019年11月22日~2027年11月21日26,000株118円
2020年10月17日~2028年10月16日17,500株187円


ストックオプション(新株予約権)で上場時に行使期限を迎えている株数は94,000株です。


また親引け設定はないようです。


ツイッターでもIPO記事のチェックができます!

最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は14年と長くソーシャルレンディングも4年目突入!安定の利益でブログも14年目に突入。


AHCグループ(7083)IPOの評価と申し込みスタンス

AHCグループのIPOは良いと思います。ただ利益が出ている企業と出ていない企業の差があるように感じているため同社は勝ち組でしょう。首都圏を中心とした事業所が収益向上になっているのかもしれません。


福祉事業は今後法律の改廃や適用基準の変更により報酬が下方に修正された場合、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があるそうです(3年に1回行われる制度改定)


AHCグループ(7083)IPOのグループ企業


各事業所は都道府県知事、政令指定都市市長、中核市市長から設置の指定を受けるため今後取り消しなどがあれば収益悪化につながるそうです。事故や事件が考えられますがしっかり運営を行って頂くほかありません。


介護事業でも3年に1度行われる制度改定により報酬が下方に修正された場合業績悪化につながります。都道府県知事、政令指定都市市長、中核市市長から設置指定も同様です。


業績的には競合他社の事業拡大や新規参入が心配されるところでしょう。高齢化社会に突入し介護関連ビジネス市場は今も拡大が続います。目論見にも「既存事業者の活動の活発化に加え、新規参入が再び激しくなってきております」と書かれています。


デイサービス全体(通所介護・地域密着型通所介護)の事業所数前年同月比較でほぼ横ばいの状況となっているそうです。こちらはM&Aが活発化しているそうです。


AHCグループ公式サイト写真


従業員も多く福祉・介護事業では専門的な知識や指導技術を持っている人材の確保が必須となるため人員確保も課題としてあるようです。


外食事業では市場が成熟しているため厳しい状況が続くようです。参入障壁が低く常に新しいブランドが出てきている市場になります。


IPO的にはテーマ性があるため初値期待ができると考えています。2020年は年明けから地政学的リスクが勃発しましたが時間が過ぎてみれば2019年終わりと比べNYダウ平均も日経平均も上昇しているため外部環境は良いと言えます。


2019年上場の銘柄も急落する銘柄が少なく2020年もIPO市場は活況になる期待は高そうです!


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