ウイングアーク1st(4432)のIPOが東証1部に新規上場承認されたので詳しくご紹介したいと思います。今回も業績や上場規模などを確認し、IPO抽選に参考になるような情報を評価してみたいと思います。
主幹事は野村證券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券が務共同で務め公開株数10,634,700株、オーバーアロットメント1,595,100株です。上場規模は想定発行価格1,490円から計算すると約182.2億円になります。
地合い絶好調の中でも上場できるのか?とデジャブ的なことを考えてしまいます。理由は今回で3回目の承認になるからです。
※ウイングアーク1st公式サイト引用
米投資会社カーライルが出資している銘柄になります。2019年3月に初承認され2020年3月に再承認となっていました。しかし新型コロナウイルス感染症による市場暴落で上場中止が決定し、3回目の承認になります。
東証によればこれまでIPOを2回以上中止し、その後上場した銘柄はこれまでないとされています。ファンドの資金回収のために上場する案件となり人気があるとは言えません。
2019年に承認された時の吸収額が約281.1億円で今回が約182.2億円です。気になって1回目の承認時の吸収額を調べると約451.1億円となっていました。
もう資金回収したくてたまらない状況だと感じます。前回の想定発行価格が1,670円で今回が1,490円となっているためディスカウントされています。これは今期業績によるものでしょう。※四半期利益が前期比41.5%減
ベンチャーキャピタル売出し100%案件のため上場時点では人気がなくても、しばらくするとVC案件は株価が上昇しているパターンが多いんですよね。ということで詳しく確認してみましょう!
ウイングアーク1st(4432)IPOの上場基本データと引受幹事
項目 | 上場基本データ |
市場 | 東証1部 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | 企業の情報活用を促進するソフトウェアおよびクラウドサービスの提供 |
上場日 | 3月16日 |
ブックビルディング期間 | 3月01日~3月05日 |
想定価格 | 1,490円 |
仮条件 | 1,440円~1,590円 |
売出価格 | 1,590円 |
初値結果 | 2,000円(公開価格1.26倍) |
企業情報 | https://www.wingarc.com/ |
監査人 | EY新日本有限責任監査法人 |
【経営方針】
当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。現在、スマートフォンやIoTの普及により、日々生み出されるデータは加速度的に増加して、働き方改革等による業務の効率化のニーズも高まっております。当社グループは、この様々なデータ(ビッグデータ)を「新しい資源」として捉えており、この資源を活用して企業や社会に様々な価値をもたらすソフトウェア及びサービスの提供を行っております。
※有価証券届出書(新規公開時)引用
項目 | 株数データ |
公募株数 | 0株 |
売出株数 | 10,634,700株 |
公開株数(合計) | 10,634,700株 |
オーバーアロットメント | 1,595,100株 |
上場時発行済み株数 | 31,198,000株 |
想定ベースの時価総額 | 約464.9億円 |
幹事団 | 野村證券(主幹事) 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(主幹事) モルガン・スタンレーMUFG証券(主幹事) みずほ証券 SMBC日興証券 大和証券 SBI証券 楽天証券 |
委託見込 | SBIネオトレード証券 DMM.com証券 |
ウイングアーク1st(4432)上場評判とIPO分析
想定発行価格1,490円を基に吸収金額を算出すると約158.5億円となり、オーバーアロットメントを含めると約182.2億円規模の上場となります。同社グループはウイングアーク1stと連結子会社8社の合計9社で構成され、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしています。
提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しています。
帳票・文書管理ソリューションでは、帳票に関する業務基盤として国内で最も多く利用されているソフトウェア及びそれらをベースとしたソリューションを提供しています。
請求書や納品書、発送伝票、eチケットなどの業務帳票から公的機関が発行する各種証明書まで社会の様々な場所で帳票の作成や出力、管理に利用されています。主力の「SVF」は、帳票の作成や出力を担っているそうです。
現在は「SVF」での帳票出力の85%はデジタル化されています。文書管理基盤の「SPA」と合わせて企業、公的機関の多くでデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に貢献しています。
同社グループは帳票ソフトウェアの先駆者として多くの顧客に利用されており、機能の豊富さやシステムの安定性等が評価されています。その結果、「SVF」の帳票市場(帳票運用製品)における市場シェアは67.3%となっています。丁度1年前は68.3%なので少し下げているようですね。
※有価証券届出書引用
主力製品である「SVF」は、帳票開発の効率化と多様な出力要件に応えるための帳票基盤ソリューションです。
SVFは、日本固有の複雑な帳票フォームをノンプログラミングで直感的に設計し、PDF、Excel、紙などへ多様な形式で出力できるソフトウェア/ソリューションです。
独自開発のソフトウェアにより高い汎用性を有しており、メーカーやOSの種類に依存しない帳票運用を実現しています。企業や公的機関の多くで複数のシステムを共通化した帳票基盤として活用されており、システム運用の効率化や内部統制の強化に貢献しているそうです。
※有価証券届出書引用
「SPA」は、企業や公的機関で流通している帳票を電子化し、一元管理することでその後の業務の自動化や効率化に貢献するソフトウェア及びクラウドサービスです。
SPAは電子文書の保管・管理業務及び流通を効率化するとともに、電子化された文書からデータを抽出し、他の業務システムに連携させることができます。
従来手作業で行っていたデータ入力業務の自動化を行うとともにシステム間のシームレスなデータ連携をサポートします。
※有価証券届出書引用
データエンパワーメントソリューションでは、エンドユーザーに対してソフトウェアの販売、クラウドサービス、保守サポートの提供を主に行っています。
これらは様々な種類のデータを組み合わせ、分析することにより、気づきや今までにない価値を生み出すビジネスの基盤となる(一般的にビジネスインテリジェンスと呼ばれる)ソフトウェア及びそれらをベースとしたソリューションを提供しています。
生産性の向上やビジネスプロセスの効率化による経営スピードの向上を実現することをコンセプトとし、データの集計、分析、可視化、意思決定支援というデータ活用の一連の流れをカバーしているそうです。
このため企業の業務プロセス等に組み込まれるなどして、経営者から現場の業務担当者まで多くの方に利用されています。
ウイングアーク1st(4432)の企業財務情報と配当性向
回次 | 第3期 | 第4期 |
決算年月 | 2019年2月 | 2020年2月 |
売上収益 | 17,287,202 | 18,677,080 |
税引前利益 | 4,738,869 | 5,523,767 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,293,357 | 4,076,092 |
親会社の所有者に帰属する当期包括利益 | 3,459,884 | 4,245,866 |
純資産額 | – | – |
総資産額 | 54,703,801 | 57,923,058 |
1株当たり親会社所有者帰属持分 | 617.13 | 754.17 |
基本的1株当たり当期利益 | 105.56 | 130.65 |
親会社所有者帰属持分比率(%) | 35.20 | 40.62 |
親会社所有者帰属持分当期利益率(%) | 18.07 | 19.06 |
株価収益率(倍) | – | – |
配当性向(%) | – | – |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 3,337,903 | 6,555,589 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,648,082 | △418,848 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △2,958,798 | △4,593,624 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 3,437,970 | 4,962,584 |
- 売上収益は13,468百万円(前年同期比3.4%減)
- 営業利益は2,204百万円(前年同期比52.1%減)
- 税引前四半期利益は2,157百万円(前年同期比51.8%減)
- 親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,585百万円(前年同期比50.4%減)
同社グループは2020年3月に全社員のリモートワーク環境の整備を完了し、受注・出荷業務や経理業務を始め営業やマーケティング活動もオンラインへ急速にシフトさせており、一部の業務を除き完全なリモートワーク体制へ移行しているそうです。また本社オフィス来客やイベントエリア以外の執務エリアを閉鎖し、大幅なオフィス縮小を行っています。
2020年11月には、PKSHA Technologyと東芝デジタルソリューションズとでそれぞれ資本・業務提携契約を締結しています。
PKSHA社とは、「DEJIREN」やBIダッシュボード「MotionBoard」等、様々なソリューションとPKSHA社のアルゴリズム技術の連携により、共同プロダクトやソリューションの開発及び営業連携を目的としているそうです。TDSL社とは、両社の人材や技術の交流を通じてIoTやスマートファクトリー等製造業向けソリューションのさらなる強化などを行うそうです。
ウイングアーク1st(4432)の株主状況とロックアップについて
会社設立は2016年3月07日(実質上2004年3月24日)、東京都港区六本木三丁目2番1号に本社を構えます。社長は田中潤氏(1976年11月22日生まれ)、株式保有率は0.57%(200,000株)です。従業員数592人で臨時雇用者60人、平均年齢40.0歳、平均勤続年数3.6年、平均年間給与7,690,974円です。
連結従業員数は689人(臨時60人)でデータエンパワーメント事業の単一セグメントになります。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
CJP WA Holdings, L.P. | 12,229,830株 | 34.79% | ○ |
IW.DXパートナーズ株式会社 | 7,643,470株 | 21.75% | ○ |
東芝デジタルソリューションズ株式会社 | 4,604,700株 | 13.10% | ○ |
Sansan株式会社 | 2,394,800株 | 6.81% | ○ |
モノリス有限責任事業組合 | 1,400,000株 | 3.98% | ○ |
株式会社PKSHA Technology | 1,174,900株 | 3.34% | ○ |
鈴与株式会社 | 537,300株 | 1.53% | ○ |
【ロックアップについて】
引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人であるCJP WA Holdings, L.P.、当社の株主であるIW.DXパートナーズ株式会社、東芝デジタルソリューションズ株式会社、Sansan株式会社、モノリス有限責任事業組合、株式会社PKSHA Technology、鈴与株式会社、合同会社PKSHA Technology Capital、株式会社データ・アプリケーション及び株式会社タケオホールディングス並びに当社の新株予約権者である内野弘幸、田中潤、藤本泰輔、島澤甲、森脇匡紀、久我温紀、大澤重雄、吉田善幸、森下将憲、渡會公士及び浅田泰輔は、野村證券株式会社、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社及びモルガン・スタンレーMUFG証券株式会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年6月13日までの期間中、野村證券株式会社、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社及びモルガン・スタンレーMUFG証券株式会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨を約束する書面を2021年3月08日付で差し入れる予定であります。
※有価証券届出書(新規公開時)引用
上位株主には90日間(2021年6月13日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。最低90日間は売却できないことになっています。
親引けは6億円を上限として行われる予定となっており、引受先は株式会社サーバーワークスです。取引関係の強化のため実施されるそうです。
ウイングアーク1st(4432)IPOの初値予想と幹事引受け株数
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。今回で3回目の上場承認となり、これまで運にも見放されたIPOだったと思います。そしてようやく上場となり仮条件が1,440円~ 1,590円に引き上げられました。これを投資家がどう判断するかだと思います。
大手予想を見る限り公開価格割れするのでは?と個人的に感じています。ただ上場してしまえば上値を試すこともあるはずです。上場時のイメージが悪くファンド換金売りとしか思われない事が可愛そうと思えるほどです。
帳票ソフトウエアでは最大手と言われていますが、自動車業界にいる私は翼システムと関係があっただけでイメージが悪いと思ってしまいます。現在は翼システムと関係はありませんが、今期は減収減益となる予想が出ているため評価が難しいと思います。
修正値1,500円~1,700円
※注目度A
大手初値予想は仮条件が1,590円に決定した場合に上記予想になると雰囲気で感じました。そのため仮条件上限に決定しなければ公開価格割れ濃厚では?と思っています。
私はSBI証券のIPOチャレンジポイントだけ狙おうと考えています。大幅に公開価格割れを起こすようであればセカンダリーに参戦するかもしれません。ファンド換金売りで人気はあまりないと思います。
ファンド案件の類似企業だと言われるバリオセキュア(4494)の株価を確認すると恐ろしいくらい人気がなく、現在も下落基調のため参戦しても短期になると思います。仮条件が下限だと参戦しないでしょう。その可能性もあるかもしれません。
仮条件が上限1,590円に決定した場合の吸収金額は194.5億円、時価総額は496.0億円になります。PERは11.85倍でPBRは1.68倍になります。
配当金は30%程度の連結配当性向を目標としていますが現段階では何も決まっていません。そのため無配の可能性もあります。そう考えると株主になる意味がないような気もします。
2021年2月期の業績減収減益なので良いところがありません。売上180億円で四半期利益が23.09億円になります。前期比較で3.6%の売上減、43.4%の四半期利益減となっています。よく上場してくるな?とさえ思えてしまいます。
ただ、2022年2月期は業績予想が急回復するらしく売上190億円で四半期利益41.18億円を見込んでいます。どうなるのかわかりませんが、業界大手のため実力はあるはずです。
コロナが今後どうなるのかわからない中での強気予想ですよね。評価に苦しみますが仮条件が上振れしているため機関投資家の評価はそれなりにあると思います。
ということで私はブックビルディングにほぼ不参加だと思います!!
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
野村證券(主幹事) | 4,870,700株 | 45.80% |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(主幹事) | 4,870,700株 | 45.80% |
モルガン・スタンレーMUFG証券(主幹事) | 0株 | 0% |
みずほ証券 | 319,000株 | 3.00% |
SMBC日興証券 | 319,000株 | 3.00% |
大和証券 | 127,700株 | 1.20% |
SBI証券 | 63,800株 | 0.60% |
楽天証券 | 63,800株 | 0.60% |
当選を狙うなら主幹事の野村證券からIPO抽選に参加しておきましょう!申込者が少ないと思われるため当選確率が高いと思います。資金不要でIPO抽選に参加可能です!!
前回承認時よりも上場規模が大幅に縮小されているため初値利益出るかも?と考えています。仮条件発表後にスタンスを決定するつもりです。
野村證券のIPOは当選できないのか自分の当選履歴をもとに考えてみました。インターネット口座と店頭口座のIPOルールについてもふれています。野村證券がIPOの主幹事になる確率は高いと過去データからもわかりますが、当選を …
類似企業のPERやPBRを調べてみました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
インフォマート(2492) | PER493.68倍 | PBR18.98倍 |
ラクス(3923) | PER122.52倍 | PBR54.06倍 |
ピー・シー・エー(9629) | PER20.58倍 | PBR2.03倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
2018年10月14日~2026年10月13日 | 1,226,000株 | 500円 |
2018年10月15日~2026年10月13日 | 1,192,000株 | 500円 |
2018年10月14日~2026年10月13日 | 1,190,000株 | 500円 |
2020年2月01日~2026年10月13日 | 230,000株 | 722円 |
2020年2月01日~2026年10月13日 | 140,000株 | 722円 |
2021年5月29日~2029年5月28日 | 242,500株 | 1,350円 |
2021年5月29日~2029年5月28日 | 80,000株 | 1,350円 |
ストックオプション(新株予約権)で行使期限を迎えている株数は3,978,000株あります。
新株予約権者にもロックアップが付与されているため、公開株数以外に市場に出てくる株は限られると考えられます。
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最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも6年目突入!安定の利益でブログも15年目に突入。ウイングアーク1st(4432)IPOの評価と申し込みスタンスまとめ
ウイングアーク1stのIPOは東証1部に直接上場することが決定しているためインデックス買い需要の発生もあります。しかも上場規模が東証1部としては小型です。さらに業務提携を行っている企業名に大手企業が複数社確認できます。東芝デジタルソリューションズは発行株式の13.10%も保有しています。
※ウイングアーク1st公式サイト引用
気になるのは前回幹事入りしたバンク・オブ・アメリカが撤退し、モルガン・スタンレーMUFG証券が幹事入りしていることです。
この理由はおそらく海外配分が事前に決っていない簡易的なグローバルオファリングだからだと考えられます。実は今回の承認は海外配分が事前に決められていません。
上場規模を100億円近く絞ってきたためだと思います。上場した後の株価は意外と好調に推移し、気が付けば株価が高くなっているパターンのかもしれません。
事業が不人気というわけではありませんからね!
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地味に投資家が増えているため人気が高まっているようです。ウェブセミナーを受けたので投資を実行してみました!詳しくは下記記事でまとめています。金融業界出身の経営陣に惹かれました。
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