ステムセル研究所(7096)のIPOがマザーズに新規上場承認されたので詳しくご紹介したいと思います。今回も業績や上場規模などを確認し、IPO抽選に参考になるような情報を評価してみたいと思います。


主幹事は野村證券が務め公開株数830,800株、オーバーアロットメント124,600株です。上場規模は想定発行価格2,540円から計算すると約24.3億円になります。


2020年4月09日に上場を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響と原油高価格の急落で上場中止となっていました。


ステムセル研究所(7096)IPOの初値予想と上場
※ステムセル研究所公式サイト引用


前回の吸収額はOAを含め約19.3億円でしたが今回は5億円の引上げとなっています。前期業績が急激に伸びているため評価されているのかもしれません。


親会社が日本トリム(6788)になりますが事業が異なるため競合関係にはありません。また上場後は独自の資金調達を行っていくそうです。


日本は少子化傾向にあり中長期的には「さい帯血保管」に影響があるかもしれませんが、期待されている分野だけに登録者はこれからも増加すると考えられます。


また同社の収益は顧客を増やすことでストック型ビジネスになると思われがちですが、実は技術料が2020年3月期で売上げの約8割を占めています。


事業は医薬品ではなくサービス業となっています。セルソース(4880)のよに株価がぶっ飛ぶ可能性もあるため面白いかもしれません!


ステムセル研究所(7096)IPOの上場基本データと引受幹事

項目上場基本データ
市場マザーズ
業種サービス業
事業内容再生医療を目的に、さい帯血及びさい帯の分離・保管を行う「細胞バンク事業」
上場日6月25日
ブックビルディング期間6月09日~6月15日
想定価格2,540円
※前回は2,020円
仮条件2,540円~2,800円
公開価格2,800円
初値結果4,830円(公開価格1.73倍)
企業情報https://www.stemcell.co.jp/corporate/
監査人有限責任あずさ監査法人


【手取金の使途】

手取概算額590,688千円については、全額を設備資金に充当する予定であります。具体的には、①将来の検体増に備え、細胞保管センターの保管容量増強をはかります。②新事業(さい帯(へその緒)保管サービス)の開始にあたり、機能拡充を含めた顧客管理ITシステムの導入及び全面リニューアルを予定しております。③将来の検体増に備えるとともに地理的なリスク分散を目的に、次期細胞処理・細胞保管センターの新設を予定しております。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



項目株数データ
公募株数256,200株
売出株数574,600株
公開株数(合計)830,800株
オーバーアロットメント124,600株
上場時発行済み株数5,123,300株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約130.1億円
幹事団野村證券(主幹事)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
SMBC日興証券
東洋証券
いちよし証券
エース証券
SBI証券
委託見込SBIネオトレード証券
DMM.com証券(PR)


ステムセル研究所(7096)上場評判とIPO分析

想定発行価格2,540円を基に吸収金額を算出すると約21.1億円となり、オーバーアロットメントを含めると約24.3億円規模の上場となります。


同社は民間さい帯血バンクとして1999年に設立され「さい帯血」の分離・保管を行う「細胞バンク事業」を主な事業としています。


さい帯血はお母さんと赤ちゃんをつないでいる、へその緒や胎盤の中に含まれている赤ちゃんの血液です。さい帯血を保管するさい帯血バンクには、「公的さい帯血バンク」と「民間さい帯血バンク」があります。


公的さい帯血バンクでは造血幹細胞移植法に基づきお母さん達から「無償」でさい帯血の提供を受け、白血病等の病気で移植治療を必要とする患者のために保管しています。2021年4月30日現在、厚生労働大臣の許可を受けた公的さい帯血バンクは全国に6ヶ所あります。


民間さい帯血バンクでは、本人や家族が将来何らかの治療に使うことができるようになる可能性を想定し、有償でさい帯血の保管を行っています。


民間さい帯血バンクは、公的さい帯血バンクと違い許可制ではありませんが、厚生労働省へ「臍帯血取扱事業の届出」の提出を要請されており、同届出を行っている民間さい帯血バンクは2021年4月30日現在、同社を含め2社しかありません。


該当2社のさい帯血保管総数は58,796件でステムセル研究所の保管総数は58,069件となっています。


ステムセル研究所(7096)上場評判と業績
※有価証券届出書引用


日本国内では自己にさい帯血を投与するためには、対象疾患毎に「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、「第2種再生医療等」として、臨床研究提供計画を「特定認定再生医療等委員会」に提出します。


そして審査を受け承認された後、厚生労働大臣へ同提供計画を提出の上、実施する必要があり、一般のクリニック等で自由に投与する事は認められていないそうです。


同社は顧客(妊婦等)と「さい帯血分離保管委託契約」を締結した上で、国内さい帯血採取協力病院において採取されたさい帯血を回収し、自社の細胞処理センターに搬入、さい帯血に含まれる幹細胞を分離・抽出・調製する作業を行った後、自社の細胞保管センターにおいて超低温下で長期保管しています。


さい帯血分離保管委託契約に基づき、顧客よりさい帯血にかかる分離料、検査料、登録料及び細胞保管料を収受し将来の使用に備え保管する事をビジネスモデルとしています。


ステムセル研究所(7096)IPOの収益メカニズム
※有価証券届出書引用


さい帯血はその採取にあたっては、お母さん、赤ちゃんともに侵襲性が低く、また通常は出産後に医療廃棄物として廃棄されるものである事から、倫理的にも扱いやすい点がメリットとして上げられます。


お産の状況によっては採取が困難である事、またその採取量は同一ではなく、場合によっては十分な量が採取出来ない事がデメリットとして上げられます。


さい帯血採取により当社の定めた規定値以上の量を有し、保管基準を満たした場合に国内さい帯血採取協力病院へ採取技術料を支払いしているそうです。


ステムセル研究所(7096)IPOの販売実績
※有価証券届出書引用


さい帯血を用いた国内の臨床研究の状況では、臨床研究が進展していくことで将来さい帯血がより広く利用できることを期待して保管されている顧客にとっても有益な情報であり、その動向は業績に影響を与えるものであると考えているそうです。


臨床研究も勧められ患者の経過観察等も実際に行われています。


細胞処理センターについては再生医療等安全性確保法に基づき、厚生労働省より特定細胞加工物製造許可を受けた施設で、さい帯血に含まれる幹細胞の分離・抽出・調製を行っています。


細胞保管センターについては新耐震基準に基づいた設計で耐震性を有している細胞保管施設があり、細胞処理センターで分離・抽出・調製した幹細胞は、同施設内にある液体窒素タンクで保管し、細胞保管センターに移送し長期保管用の大型の超低温液体窒素タンクで保管しているそうです。


ステムセル研究所(7096)の企業財務情報と配当性向

回次第20期第21期
決算年月2019年3月2020年3月
売上高1,149,8571,676,456
経常利益216,252382,533
当期純利益142,835277,485
資本金374,820374,820
純資産額982,3521,259,838
総資産額2,813,4113,564,700
1株当たり純資産額201.84258.85
1株当たり当期純利益金額29.3557.01
自己資本比率(%)34.9235.34
自己資本利益率(%)15.6824.75
株価収益率(倍)
配当性向(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー390,933667,859
投資活動によるキャッシュ・フロー△184,363△108,007
財務活動によるキャッシュ・フロー
現金及び現金同等物の期末残高1,713,8972,273,750
※数値は千円単位



第22期第3四半期累計期間(2020年4月01日~2020年12月31日)
  • 売上高1,064,575千円
  • 営業利益90,721千円
  • 経常利益95,954千円
  • 四半期純利益60,800千円



【第22期第3期のチェックポイント!】

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により急速に国内経済が悪化しています。海外についても、同感染症拡大に伴い各国政府等による営業規制を含むロックダウンが広がるなど急速に悪化しており、世界経済全体で総じて厳しい状況にあります。

このような環境の中、第3四半期累計期間において活動が制限される状況下ではありますが、さい帯血採取協力施設への情報提供を継続しつつ、より多くの妊産婦への認知度向上を目的に、Webを通じたマーケティング活動に注力したそうです。

保管検体数は累積で増加傾向にありコロナ禍による検体数の増加にもつながっていそうです。


ステムセル研究所(7096)の株主状況とロックアップについて

会社設立は1999年8月05日、東京都港区新橋五丁目22番10号に本社を構えます。社長は清水崇文氏(1973年3月17日生まれ)、株式保有率は0%です。


従業員数80人で臨時雇用者77人、平均年齢36.2歳、平均勤続年数4.5年、平均年間給与4,931,000円です。


セグメントは細胞バンク事業の単一セグメントになります。また親会社がトリムメディカルホールディングスになり、トリムメディカルホールディングスの親会社が日本トリム(6788)になります。


ステムセル研究所の上場発表で日本トリムの株価も急上昇しているようです!


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
トリムメディカルホールディングス4,356,100株89.50%
山本 邦松86,100株1.77%×
名古屋中小企業投資育成84,000株1.73%
森 雅徳62,300株1.28%
若松 茂美51,800株1.06%
シノ セル テクノロジーズ インク35,000株0.72%
友清 彰25,200株0.52%
※株主上位7名の状況


【ロックアップについて】

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である株式会社トリムメディカルホールディングス、売出人である若松茂美並びに当社株主である名古屋中小企業投資育成株式会社、森雅徳、シノ セル テクノロジーズ インク、友清彰、野上大介、森崎弘司、浦野晃義、~省略~ は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年9月22日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く)を行わない旨合意しております。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



上位株主には90日間(2021年9月22日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除の設定はありません。


親引けは40,000株を上限として従業員持株会が購入を予定しています。


ステムセル研究所(7096)IPOの初値予想と幹事引受け株数

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


民間さい帯血バンクとしては最大手になり話題性があります。再承認では想定発行価格の大幅引き上げとなり、吸収額も増加しています。


セルソース(4880)のように上に羽ばたく期待はあると思いますが、業績水準が低いため何とも言えません。ただ新奇性の面では期待値が高いため公開価格割れはないでしょう。


少子化の逆風が吹く中で業績拡大の期待は高いようです。雰囲気的にPER200倍あたりまでは許容されるのか?と感じています。親子上場なのはどうかと思いますが、それなりに評価されるようです。


仮条件は上振れとなり2,540円~2,800円と想定発行価格が下限となりました。これにより吸収額は最大で26.8億円で時価総額は143.5億円になります。


大手初値予想3,500円~5,000円
修正値4,000円~5,000円

※注目度B


2022年3月の単独業績予想では売上17.06億円となり前期比21.08%増、経常利益1.96億円となり前期比113.04%増を見込みます。


四半期利益は1.36億円となり前期比119.35%増を予想しています。前期比だと増収増益になりますが2020年3月期は四半期利益が2.77億円なので微妙です。


そもそも吸収額の割に業績水準が低すぎます。再生医療として期待されるも、思ったほどの業績を上げることができていない銘柄だと思います。


EPS26.96からPERは103.86倍、BPS405.90からPBRは6.90倍になります。日本では比較できる企業がありませんが、海外ではPER10倍程度が適正水準のようです。


話題性から買われると思いますがセルソースを意識していると痛い目を見るかもしれません。公募組はIPOに当選できることを考えておきましょう!!


幹事名割当株数引受割合
野村證券(主幹事)747,800株90.01%
三菱UFJモルガン・スタンレー証券33,200株4.00%
SMBC日興証券16,600株2.00%
東洋証券8,300株1.00%
いちよし証券8,300株1.00%
エース証券8,300株1.00%
SBI証券8,300株1.00%


野村證券が主幹事なので積極的に申込んでおきたいと思います。創薬バイオベンチャー企業ではないため安心感があります。


黒字バイオ的なイメージがあるため投機的なマネーが流入する期待があります。面白い展開を期待したいと思います。野村證券は前受け金不要でIPO抽選に参加できるため入金の必要がありません!!


スルーする投資家が多ければ当選のチャンスでしょう。そんなに甘くないと思いますが全力申し込みのスタンスです。




三菱UFJモルガン・スタンレー証券が幹事入りしているためauカブコム証券からも抽選に参加できるはずです。後期型抽選を採用しているため申込み忘れを行わないようにしておきましょう。


IPOルールは下記記事でまとめているのでよかったら参考にして下さい。




IPO投資もよいですがコツコツと積み立てるETF投資に興味があればウェルスナビさんとタイアップさせて頂いているのでよかったらご利用ください。


直近の成績も画像で掲載しているのでよかったら参考にしてください。既に4年間以上利用していて含み益が30%程度出ています。毎月1万円の積立でも勝てるようです!!




類似企業のPERやPBRを調べてみました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。今回は再承認なので早めに書いてみました。


類似企業PER
PBR
JCRファーマ(4552)PER31.23倍PBR10.97倍
セルソース(4880)PER223.37倍PBR39.17倍
日本トリム(6788)PER15.87倍PBR1.64倍
※2021年6月08日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
該当事項なし-株-円


ストックオプション(新株予約権)は該当事項なしとなります。


ツイッターでもIPO記事のチェックができます!

最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも6年目突入!安定の利益でブログも15年目に突入。


ステムセル研究所(7096)IPOの評価と申し込みスタンスまとめ

ステムセル研究所のIPOは期待できると考えています。ただし上場ラッシュとなっているため通常よりもパフォーマンスは落ちると思います。


さい帯血から他の週産組織由来細胞への事業拡大をはじめ、再生医療・細胞治療の進展による細胞バンク事業の利用者拡大が期待されています。


上場後はアジア圏を中心として事業展開を行うことも考えているようです。


ステムセル研究所(7096)IPOの評価
※ステムセル研究所公式サイト引用


細胞バンク事業は近年その需要が急激に高まっているそうで保管検体数が増加しているそうです。細胞保管施設の保管容量を超える可能性があることから細胞保管センターの拡充を図るそうです。


さらに将来の大幅な検体増に備え、新たな細胞処理・細胞保管センターの確保により細胞処理能力、細胞保管能力の増強を目指すそうです。


事業所も関東、東海、近畿、九州など比較的人口が多い場所にあるそうです。また懸念材料は少子化問題だと思われます。この辺りは提携する病院などを増やすことで解決できそうです。


IPO的には再生医療のワードで黒字化しているため積極的に攻めてよいと考えています。上場規模を引き上げてきたため自信の表れだと考えています。


今期業績予想のチェックだけは行っておきたいと思います。仮条件発表後に追記を行います!


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