アスタリスク(6522)のIPOがマザーズに新規上場承認されたので詳しくご紹介したいと思います。今回も業績や上場規模などを確認し、IPO抽選に参考になるような情報を評価してみたいと思います。


主幹事は野村證券が務め公開株数350,000株、オーバーアロットメント52,500株です。上場規模は想定発行価格3,080円から計算すると約12.4億円になります。


アスタリスク(6522)IPOの初値予想と上場
※アスタリスク公式サイト引用


同社の主力製品はAsReaderシリーズになり、iPhoneやAndroidなどのスマートフォンに取り付ける、自社開発のバーコードやRFID読取装置・赤外線通信装置になります。


上場時点では伊藤忠紙パルプとの資本業務提携による営業体制の強化、企業向けのスマートフォン販売促進を行っている国内携帯通信キャリア等との協業を進めているそうです。


伊藤忠紙パルプとはIoTや自動認識の新しい価値づくりを進めるそうです。


同社サービスは日本国内よりも海外での需要が多く見込めるとされています。米国では病院、警察署、消防署、国際宇宙ステーション、牧場など、多くの場所でAsReaderシリーズの導入を行っているそうです。


米国での実績は2021年2月に飲料メーカーからの約17,500台の受注を獲得しています。欧州は新型コロナウイルス感染症により営業活動が停止しているそうです。


また、主力製品が海外の生産委託協力会社にEMS生産により製造委託していることは気になります。韓国のSPS Inc.等に委託とあるためどうなんでしょうね。


アスタリスク(6522)IPOの上場基本データと引受幹事

項目上場基本データ
市場マザーズ
業種電気機器
事業内容 モバイル機器に装着して使用するバーコードリーダー・RFID リーダーである「AsReader」および画像認識技術を活用した管理システムの開発・販売
上場日9月30日
ブックビルディング期間9月10日~9月16日
想定価格3,080円
仮条件3,080円~3,300円
公開価格3,300円
初値結果5,760円(公開価格1.75倍)
企業情報https://www.asx.co.jp/
監査人PwC京都監査法人


【手取金の使途】

手取概算額979百万円については、「1新規発行株式」の(注)4.に記載の第三者割当増資の手取概算額上限148百万円と合わせて、設備資金として、①研究所ビル建設費用及び②研究開発・評価設備の取得費用に、借入金の返済として③研究所ビル建設用地取得のための短期借入金の返済に充当する予定。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



項目株数データ
公募株数350,000株
売出株数0株
公開株数(合計)350,000株
オーバーアロットメント52,500株
上場時発行済み株数1,630,000株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約50.2億円
幹事団野村證券(主幹事)
SBI証券
大和証券
SMBC日興証券
楽天証券
岩井コスモ証券
委託見込SBIネオトレード証券
DMM.com証券


アスタリスク(6522)上場評判とIPO分析

想定発行価格3,080円を基に吸収金額を算出すると約10.8億円となり、オーバーアロットメントを含めると約12.4億円規模の上場となります。上場規模は問題ないと思います。


同社グループは、アスタリスクと海外連結子会社3社により構成されています。事業は「モノ認識」と「モバイル」を軸とした事業展開を行っています。


独自の自動認識技術の研究開発を行い、画像認識技術やバーコードリーダー、RFIDリーダーから、各業態の基幹システムや業務アプリケーションの運用まで、一気通貫でハードウエアとソリューションパッケージを提供し、デジタル技術を活用して省力化や効率化を図るスマートファクトリーやスマートストアといった、様々な業態のスマート化を推進しています。


その中でもRFIDは、RFIDリーダーの電波での呼びかけに対してパッシブタグ1個ずつが、それぞれ応答しRFIDリーダーが情報を読み取ります。


あらゆるモノにRFタグがつけられることで、モノまたは人の様々な状況変化を的確に捉えることが可能となるそうです。


また、RFIDには「非接触通信」「一括読み取り」「透過性」と言った特徴があり、これから多くの業界で導入されると見込んでおり、製品開発や営業活動に力を入れいるそうです。


アスタリスク(6522)上場評判と業績
※有価証券届出書引用


AsReaderとは同社製品のブランド名です。同社グループは、「自動認識技術を使った製品・サービス」の開発・販売を行っており、モバイル機器に装着して使用するバーコードリーダーやRFIDリーダーなどのハードウエアの開発・販売を中心に「AsReader事業」を展開しています。


また、スマートフォン内蔵カメラによりバーコードを読み取るタイプの製品も販売しています。


アスタリスク(6522)IPOの導入業界と利用シーン
※有価証券届出書引用


現在は、使用場面の広がりに対応して、従来機である手のひらサイズのハンディタイプに加えて、アンテナ搭載でRFタグの読み取り距離10m以上のLongRange対応モデルであるGUNタイプ、


RFタグのついた物品の入ったダンボールを台車に乗せたままダンボールから取り出すことなく読み取ることができるゲートタイプ、


USB接続機器やLightning接続機器(iPhone、iPadなど)を、それぞれのケーブルを用いて有線接続して使用するBOXタイプ、アンテナシャフトが最大2mまで伸縮して倉庫上段などの高い場所にあるRFタグを読み取ることができる、エクステンドタイプなどのラインナップを揃えています。


主力製品のAsReaderには、1次元、2次元のバーコードを読むバーコードリーダーとRFタグのデータを読むRFIDリーダー、自動販売機業界で活用されているIrDAに対応した赤外線通信リーダー、画像認識技術を用いたセミセルフレジなどがあります。


アスタリスク(6522)IPOの販売実績と取引先
※有価証券届出書引用


システムインテグレーション事業(SI事業)では、ハードウエア、ソフトウエア、ネットワークなどを組み合わせて、ユーザーのシステムを構築し提供しています。


また、「モバイル端末での利用を中心とした業務用アプリケーション」「AsReaderによるクラウド型業務システム」などの業務システムの構築を主力としています。


モバイル端末で使用するアプリケーション及びネットワークなどを連携させ一体化することで、業務のスマート化を推進し、業務の効率化に貢献しています。


この他、アプリケーションやシステムについて、運用・保守・管理も実施しています。


同社グループは、米国オレゴン州ポートランド市やオランダロッテルダム市に100%連結子会社を設立し、営業活動を展開しています。バーコードリーダーやRFIDリーダーの世界市場は日本市場よりも大きいため積極的に海外販売を行うそうです。


アスタリスク(6522)の企業財務情報と配当性向

回次第13期第14期
決算年月2019年8月2020年8月
売上高1,144,7651,398,155
経常利益54,852101,510
親会社株主に帰属する当期純利益71,97368,970
包括利益74,15168,326
純資産額228,387296,714
総資産額739,3901,056,515
1株当たり純資産額178.43231.81
1株当たり当期純利益56.2353.88
自己資本比率(%)30.928.1
自己資本利益率(%)37.626.3
株価収益率(倍)
配当性向(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー16,36510,764
投資活動によるキャッシュ・フロー△35,712△56,642
財務活動によるキャッシュ・フロー39,430119,542
現金及び現金同等物の期末残高174,514247,289
※数値は千円単位



第15期第3四半期連結累計期間(2020年9月01日~2021年5月31日)
  • 売上高1,468,180千円
  • 営業利益284,847千円
  • 経常利益286,561千円
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益220,915千円



【第15期第3期のチェックポイント!】

新型コロナウイルス感染症の影響が収束をみせない中で、先行きの見通せない経済環境が続いています。同社グループでは、中長期的な成長を維持する観点から画像認識技術をはじめとした技術開発を積極的に進め、さまざまな業界のDXのためのソリューションの提供を拡大しています。

海外では米国の牧場向け、飲料メーカー向けなどの案件を進めるとともに新規顧客開拓に鋭意努めてきたそうです。


アスタリスク(6522)の株主状況とロックアップについて

会社設立は2006年9月01日、大阪府大阪市淀川区西中島五丁目6番16号に本社を構えます。社長は鈴木規之氏(1972年8月31日生まれ)、株式保有率は2.82%(40,500株)です。東レ(3402)で経験を積まれ、現在は他社の役員などもされているようです。


従業員数50人で臨時雇用者15人、平均年齢43.4歳、平均勤続年数4.7年、平均年間給与4,450,936円です。


セグメント別従業員はAsReader事業28人(臨時11人)、システムインテグレーション事業12人(臨時1人)、全社共通10人(臨時3人)となっています。


また連結会社の従業員数は83人で臨時雇用者17人です。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
トリプルウィン株式会社800,000株55.76%
伊藤忠紙パルプ株式会社128,000株8.92%
DCIハイテク製造業成長支援投資事業有限責任組合81,800株5.70%
東京都ベンチャー企業成長支援投資事業有限責任組合68,200株4.75%
鈴木 規之40,500株2.82%
熊本 尚樹32,000株2.23%
三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合30,000株2.09%
※株主上位7名の状況


【ロックアップについて】

本募集に関連して、貸株人であるトリプルウィン株式会社、当社の株主かつ新株予約権者である鈴木規之、熊本尚樹、薛文宝及び石田泰一、並びに当社の新株予約権者である加藤栄多郎、Paul Archuleta Whitney、藤田龍也、山元教有、岩﨑文夫及び大野篤は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年12月28日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。

当社株主である伊藤忠紙パルプ株式会社、DCIハイテク製造業成長支援投資事業有限責任組合、東京都ベンチャー企業成長支援投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル2号投資事業有限責任組合、SBIベンチャー企業成長支援3号投資事業有限責任組合、~省略~ 当社の株主かつ新株予約権者である大川貴之、並びに当社の新株予約権者である当社従業員26名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年12月28日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、その売却価格が「第1募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く)を行わない旨合意しております。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



上位株主には90日間(2021年12月28日まで)のロックアップが付与されています。またベンチャーキャピタルと新株予約権者等には発行価格の1.5倍でロックアップが解除されます。


上場前の第三者割当等による募集株式等の割当等に関し、新株予約権の割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っています。


親引けは行われません。


アスタリスク(6522)IPOの初値予想と幹事引受け株数

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


仮条件範囲が3,080円~3,300円に決定し、上限は想定発行価格を7.14%上回る試算になります。これにより吸収金額は13.3億円で時価総額53.8億円になります。


同社は技術力の高さから注目され初値利益も大きく見込めるようです。VC保有株も多くなっていますがロックアップ1.5倍を優に超える初値が期待できるようです。


大手企業を中心に導入され実績も申し分ないとのことです。過去にファーストリテイリング(9983)と特許を巡る訴訟は「リアル下町ロケット」として注目され個人投資家を中心に話題となりました。


大手初値予想4,600円~7,000円
修正値6,600円~7,000円

※注目度A


ただ上場時点では話題性があるものの、イケイケで業績が急拡大する業態でもない観測が出ています。機関投資家の参戦も限定的のようです。ただこればっかりは上場してみないとわからないと思います。


話題性ある企業は人気が集中し連日高値を付ける時があります。逆に肩透かし状態であれば初値後に急落することもあります。難しいですよね。


業績は2021年8月期の連結業績予想が出ており、売上17.46億円となり前期比24.89%増、経常利益2.23億円となり前期比120.80%増になります。


四半期利益は1.72億円となり前期比152.94%増を見込んでます。EPS134.90からPERは24.46倍、BPS372.04からPBRは8.87倍になります。配当金や株主優待は上場時点で設定がありません。


業績水準が小さくVC保有株も多いことから懸念材料もありますが、話題性が先行する予想となっています。来期業績は現時点で開示がありません。某社によれば売上2桁増は軽く営業利益は2倍を目指すとされているようです。


幹事名割当株数引受割合
野村證券(主幹事)311,500株89.00%
SBI証券21,000株6.00%
大和証券7,000株2.00%
SMBC日興証券3,500株1.00%
楽天証券3,500株1.00%
岩井コスモ証券3,500株1.00%


公開株数が少ないため主幹事の野村證券からの申込みを忘れないようにしましょう。資金不要でIPO抽選に参加できます。


これからIPOに参加される方は入金をしなくても抽選に参加できます。機械的な抽選が行われているため入金により当選確率の差はありません。下記記事にIPOルールをまとめています。




未上場株式への投資がこれから積極的に行われる可能性があります。証券会社や大手金融機関も動き始めているようです。


IPOには当たらないけど未上場株式への投資で利益が出せる時代になれば面白いですよね。


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類似企業のPERやPBRを調べてみました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
スマレジ(4431)PER184.49倍PBR21.04倍
サトーホールディングス(6287)PER23.45倍PBR1.61倍
オプトエレクトロニクス(6664)PER6.1倍PBR0.84倍
※2021年9月10日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2017年4月21日~2025年4月20日55,200株100円
2018年11月01日~2026年8月31日14,000株1,000円
2021年2月01日~2028年11月30日36,000株1,500円
2023年1月06日~2031年1月05日49,500株2,300円


ストックオプション(新株予約権)で行使期限を迎えている株数は105,200株となっています。また、殆どの株式がロックアップの対象になると考えられます。


ストックオプションによる潜在株式は154,700株、公募増資前の発行済株式総数1,280,000株の12.09%に相当するそうです。


ツイッターでもIPO記事のチェックができます!

最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも6年目突入!安定の利益でブログも15年目に突入。


アスタリスク(6522)IPOの評価と申し込みスタンスまとめ

アスタリスクのIPO成長性が感じられます。コロナ禍となっているため前期利益は低いようですが、今期は第3期で約2.2億円の四半期利益となっています。


アスタリスク(6522)IPOの評価
※アスタリスク公式サイト引用


米国では成功しているようですが、欧州は新型コロナウイルス感染症の影響で営業ができないようです。目論見から察するにオランダ子会社の進退も検討しているようです。


アジア地域は、中国の大連市にある子会社の大連明日星科技有限公司を安定した販売拠点として確立する予定だそうです。中国や台湾を中心にさらなる市場開拓を進めるそうです。


これまでは保守部品販売、修理や定期点検などのメンテナンスは都度提供のケースが多く、次の注文を獲得するための、販売促進効果を狙ったサービスとしての提供が主でした。


今後は、既存システムにも連携して在庫管理やPOSレジを可能にするアプリケーションAsReader Appsの月額課金によるサービスの拡大、顧客満足につながるアフターサービス体制を強化し、安定収益を目指すそうです。


為替リスクなども同社はあるため少し気にかけていたほうがよいでしょう。


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最新の情報は下記記事でご紹介しています。増枠などは行われず終了になりますがまだ枠はあるようです。終了日時は下記記事に追記します。


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