JMDC(4483)IPOが東証マザーズに新規上場承認されました。今回も業績や上場規模などを確認し評価していきたいと思います。


主幹事は野村證券が引受け公開株数5,100,000株、オーバーアロットメント765,000株、上場規模は約163億円になります。なぜ東証1部ではなくマザーズ上場なのかと思うところがあります。


またノーリツ鋼機(7744)の子会社にあたります。


JMDCIPOの上場承認と初値予想


IPO的には悪くないと思われ問題は日程だけです。医療系IPOでAIやビッグデータを取り扱うためある程度人気だと思います。それに当選しやすいため通常であれば積極的に獲得に向かってもよいでしょう。


上場日の12月16日は3社上場となっているため資金が向かわないことも考えられます。少し難しいIPOとなりそうですね。


医療の個別化やアウトカムベースでの医療を実現し医療業界全体の効率化を図りたい狙いが同社にはあります。IT化することで医療費抑制に貢献を狙います。


JMDC(4483)IPOの上場基本データと引受幹事

項目上場基本データ
市場マザーズ
業種情報・通信業
事業内容医療データベースの構築と提供、PHR等の健康増進サービス、画像診断等の遠隔医療、調剤薬局へのデジタルソリューションの提供
公開予定12月16日
ブックビルディング期間12月02日~12月05日
想定価格2,780円
仮条件2,780円~2,950円
公開価格12月06日
企業情報https://www.jmdc.co.jp/
監査人PwCあらた有限責任監査法人


【手取金の使途】

手取概算額5,134百万円については、①当社における設備資金としてのシステム投資、②連結子会社における設備資金としての投融資に充当する予定であります。また、残額につきましては運転資金としての人件費に充当する予定であります。

①既存事業における顧客及びデータ量の拡大に対応するための資金として1,703百万円、PepUpのサービス対象を拡大するための資金として560百万円、保有データの増加対応に伴う次世代データ基盤構築のため資金として1,485百万円を充当する予定

②連結子会社である株式会社ドクターネットにおける、顧客及び取扱い画像数の拡大に効率的に対応するための基幹システムの改善及びサーバー容量の増加のための資金として771百万円、連結子会社である株式会社ユニケソフトウェアリサーチにおける、クラウド型の新製品開発のための資金として443百万円を充当する予定であります。

※また残額につきましては、ヘルスビッグデータ事業の事業基盤の獲得・拡大を目的とした人員の拡大に伴う人件費として2021年3月期に172百万円を充当する予定であります。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



項目株数データ
公募株数2,000,000株
売出株数3,100,000株
公開株数(合計)5,100,000株
オーバーアロットメント765,000株
上場時発行済み株数25,975,042株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約722.1億円
幹事団野村證券(主幹事)
みずほ証券
SMBC日興証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
SBI証券
マネックス証券 ←完全平等抽選
委託見込auカブコム証券
SBIネオトレード証券
DMM.com証券 ←取扱い増加中


JMDC(4483)上場評判とIPO分析

想定発行価格2,780円を基に吸収金額を算出すると約141.8億円となり、オーバーアロットメントを含めると約163億円規模の上場となります。上場による吸収額が多く株数も多くなっています。


グループ企業はノーリツ鋼機株式会社を親会社とし同社と子会社8社により構成されています。2025年の医療費増大問題である「医療の地域格差」「生活習慣病の増大」「労働力不足」といった社会課題に対し、データとICTの技術力により解決を行いたい意向があるようです。


事業はヘルスビッグデータ事業、遠隔医療事業、調剤薬局支援事業の3つの事業を行っています。


ヘルスビッグデータ事業では、主に健康保険組合に対して紙・画像レセプトを含めたレセプトデータ、健診データ、台帳データ等をデータベース化すること、そのデータを保健事業におけるPDCAに活用することを支援する様々なサービスを提供しこれを「保険者支援」と位置付けています。


また、保険者支援サービスを提供している健康保険組合に対して、自社開発の健康情報プラットフォーム「PepUp」による個人向け健康ポータルサイトを運営する「PHR(パーソナルヘルスレコード)」を行います。


さらにレセプトデータや健診データ、DPCデータなどの医療データベースの構築、管理及び解析とそれらの学術及び産業界への提供を行う「医療ビッグデータ」、薬剤DBの構築・販売と医療機関向けの薬剤DBを活用したシステムの開発・提供の「薬剤DB」を行っています。


JMDCIPO上場評判と業績


遠隔医療事業では、連結子会社のDN、MIC、DCNが契約読影医群をデジタル環境でつなぎ、医療機関に対して遠隔画像診断サービスを提供しています。


日本の医療施設は約11万施設存在するのに比し、放射線診断専門医は約5,500名となっているそうです。放射線診断専門医の過重労働や専門医の診断がつかず誤診につながる症例が問題となっています。



このため同社グループの遠隔画像診断サービスの利用により、クライアントである医療機関は不足する放射線診断専門医の採用に苦慮することなく読影リソースとスキルを活用することができ、最適な医療判断を行うことができます。


JMDCIPOの参入障壁と強み


2019年3月末時点で契約読影医が650名、契約医療機関が700施設の規模にまで成長しオペレーション改善によるコスト競争力強化、24時間365日対応、専門性の高い読影医のマッチング等のサービス品質向上といった規模を活かした差別化要因を構築しています。


遠隔読影マッチングサービスを通して多くの画像診断データに日々アクセスしており、ディープラーニングを中心とするAIテクノロジーを用いた診断アシストエンジンを日々の読影の中で活用できるようにする診断アシストプラットフォームの開発も行っています。


読影ニーズが増加している中国や東南アジアでの展開を推進しているそうです。


JMDC販売実績


調剤薬局支援事業では、連結子会社のUSR、JMP、KNDが調剤薬局向けの業務システム(レセコン、電子薬歴など)を提供し、薬剤を処方する薬剤師が必要な情報を適切に患者に提供できる環境「スマートファーマシー」の構築を目指しています。


保険薬局市場は既に成熟市場になり、保険薬局数の伸び率はこの数年1%程度に留まっています。USRシステム販売事業においては全体の約8割が既存顧客の買換え、約1割が既存顧客の新店開局、残る約1割が他社メーカーからのリプレース及び既存顧客以外の新店開局という構成比となっており顧客数は安定して推移しています。


現在は調剤薬局向けの業務システムをクラウド化した新商品の開発に取り組んでいるそうです。


加えてUSRが業務システムを提供している調剤薬局では、日々レセプトデータや薬歴データが蓄積されており、同社グループの他のデータベースと組み合わせることでより付加価値の高いデータベースの構築と調剤薬局向けソリューションの開発に取り組んでいます。


JMDC(4483)の企業財務情報と配当性向

回次第5期第6期
決算年月2018年3月2019年3月
売上収益3,02210,064
税引前利益5961,410
親会社株主に帰属する当期純利益3901,010
親会社の所有者に帰属する当期包括利益3901,009
親会社の所有者に帰属する持分1,7526,117
総資産額5,25418,965
1株当たり親会社所有者帰属持分200.94264.75
基本的1株当たり当期利益44.7747.73
親会社所有者帰属持分比率(%)33.332.3
親会社所有者帰属持分当期利益率(%)25.125.7
株価収益率(%)
配当性向(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー9781,756
投資活動によるキャッシュ・フロー△348△330
財務活動によるキャッシュ・フロー△2181,232
現金及び現金同等物の期末残高9773,634
※数値は百万円単位、第6期から国際会計基準(IFRS)連結財務諸表を作成


第7期第2四半期連結累計期間(2019年4月01日~2019年9月30日)

  • 売上収益5,626百万円(前年同期比28.3%増)
  • 営業利益888百万円(前年同期比106.5%増)
  • 税引前四半期利益855百万円(前年同期比112.7%増)
  • 四半期利益590百万円(前年同期比135.1%増)
  • EBITDA1,316百万円(前年同期比54.3%増)
  • EBITDAマージン23.4%(前年同期は19.5%)



【JMDCIPOの第7期第2期のチェックポイント!】

同社グループが属するヘルステック市場ではAI(人工知能)やビッグデータ、ウェアラブルIoT、クラウドサービス等の本格的な普及の兆しが見え始めているそうです。

また今期はは医療ビッグデータを活用した社会生活者に向けた健康増進の取組み、デジタル化による医療の効率化、調剤薬局の情報化による薬局オペレーションの最適化を合わせ、グループ全体で国民医療費の健全化を目指し事業を進めてきたそうです。


JMDC(4483)従業員と株主の状況

会社設立は2013年5月07日ですが実質上は2002年1月31日となっています。東京都港区芝大門二丁目5番5号に本社を構え、社長は松島陽介氏(1972年9月01日生まれ)、株式保有率は5.37%(1,432,690株)です。


従業員数は200人で臨時雇用者28人、平均年齢37.1歳、平均勤続年数3.1年、平均年間給与6,495,183円です。連結従業員は469人で臨時雇用者45人です。


セグメント別ではヘルスビッグデータ229人、遠隔医療98人、調剤薬局支援142人となっています。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
ノーリツ鋼機株式会社20,595,776株77.26%
松島 陽介1,432,690株5.37%
山元 雄太1,166,288株4.38%
杉田 玲夢515,942株1.94%
PKSHA Technology466,000株1.75%
木村 真也344,200株1.29%
上沢 仁218,000株0.82%
※株主上位7名の状況


【ロックアップについて】

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人であるノーリツ鋼機株式会社並びに当社株主である松島陽介、山元雄太、杉田玲夢、木村真也、上沢仁、岡山太郎、生駒恭明、長谷川雅子、山田猛、宮原禎及び貞廣亜紀は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2020年3月14日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)を行わない旨合意しております。 ~省略~

第6回新株予約権、第7回新株予約権、第8回新株予約権、第9回新株予約権、第10回新株予約権、第11回新株予約権及び第12回新株予約権の割当てに関し、当該新株予約権の割当てを受けた者は、当該新株予約権について、上場後1年を経過する日までの間は、当該新株予約権を行使しない旨当社と合意しております。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



上位株主には90日間(2020年3月14日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。PKSHA Technology(3993)保有分については継続所有等の確約が行われています。


また新株予約権の6回~12回の割り当てを受けた者は上場後1年以上経過しないと予約権を行使できない条件が付いています。


JMDC(4483)IPOの初値予想と幹事引受け株数

仮条件は想定発行価格を下限として2,780円~2,950円に決定しました。業績が好調のため機関投資家の評価も高かったようです。医療ビッグデータ関連としての人気もあると思います。


上場規模は163億円から173億円に引き上げられ10億円増加しています。ベンチャーキャピタル出資がなくロックアップ90日間、新株予約権者にも365日のロック適用となっています。需給は期待できますが上場ラッシュが一番ネックでしょう。


2020年3月の連結業績予想は売上112.1億円で前期比11.3%増を見込みます。事業規模が大きいためかなり評価できそうです。営業利益は19.5億円で前期比32.5%増となります。四半期利益は12.6億円で前期比24.7%増を見込みます。業績の心配はないようです。


EPS51.86からPERを算出すると約56.88倍、BPS483.53からPBRを算出すると約6.10倍になります。配当は出ません。


初値予想2,800円~3,500円

初値予想2,900円~3,300円(修正値)

初値予想3,000円~3,500円(再修正値)


kimukimu

上場時期の問題になり需要がどこまであるのか?に尽きるでしょう。


ノーリツ鋼機の子会社となり上場後も過半数の株式を保有することになっています。同日上場のランサーズ(4484)に比べると業績面での安心感があります。公開価格割れを起こしても見直し買い期待が出来ると思います。


意外と楽観視しているためIPO抽選には参加してみたいと考えています。複数株取得はできると思いますが100株狙いです。無理にブックビルディングする気はありません!


幹事名配分単位引受割合
野村証券(主幹事)4,080,000株80.00%
みずほ証券306,000株6.00%
SMBC日興証券306,000株6.00%
三菱UFJ・モルガンスタンレー証券306,000株6.00%
SBI証券76,500株1.50%
マネックス証券25,500株0.50%
auカブコム証券委託決定-%


難しい案件のIPOが登場しています。事業としては悪くないと思いますし、業績の規模も大きく魅力があります。ただIPOの日程が悪く3社上場となるようです。当選を狙うのであれば主幹事野村證券やマネックス証券でしょう。


ペナルティーがあるSMBC日興証券の申込も有効かもしれません。当選後に購入キャンセルを行うと1ヶ月間IPO抽選に参加できなくなるため申込者が減ります。もしかしてチャンスかも?


マネックス証券のIPO抽選ルールと当選画像


SMBC日興証券のIPO概要と当選履歴


クラウドバンクに独占インタビューさせて頂きました!そしてこれから多くの企業へインタビューが控えています。もしかするとツイッターで聞きたいことを読者に募集するかもしれません。新しい取り組みですよね。


ソーシャルレンディング企業や証券会社などへインタビューさせて頂く予定となっています。


もっと詳しく知りたい

クラウドバンクの詳細情報を知りたい方は下記記事にまとめているので参考にしてください。社長の金田創氏とIPOキムのやり取りを全公開しています!

【独占インタビュー】クラウドバンク社長の金田創氏に直接聞いてみた


類似企業のPERやPBRを調べてみました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
データホライゾン(3628)PER65.42倍PBR8.74倍
Welby(4438)PER141.09倍PBR13.27倍
バリューHR(6078)PER42.93倍PBR8.78倍
※2019年11月29日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2020年6月16日~2028年6月14日1,047,600株702円
2021年1月22日~2029年1月20日245,800株747円
2022年5月01日~2029年2月28日1,155,200株747円
2021年3月02日~2029年2月28日29,200株747円
2023年5月01日~2029年7月31日158,800株2,250.5円
2021年11月01日~2029年8月31日41,200株2,250円
2023年5月01日~2029年7月31日3,800株2,250.65円


ストックオプション(新株予約権)は2,681,600株存在していますが、上場時点で行使期限を迎える株はありません。また株主にベンチャーキャピタル出資はないようです。


ツイッターでもIPO記事のチェックができます!

IPOの最新情報やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも4年目突入!安定の利益でブログも14年目に突入しています。


JMDC(4483)IPOの評価と申し込みスタンス

JMDCのIPOは上場時期が勿体ない感じです。資金が分散しやすい12月IPOになり公開価格前後の初値が付くのでは?と上場承認時点では感じます。類似企業も多くUbicomホールディングス(3937)やファインデックス(3649)など大手企業が存在します。


時価総額で比較するとJMDCの方が大きくなっています。医療系のIPOは人気が高く同社の場合はITを前面に出した事業となっていることで個人投資家にも人気がありそうです。


JMDCの事業をまとめた画像


2017年5月の改正個人情報保護法や2018年5月の次世代医療基盤法が施行法整備が行われ同社には追い風となっているそうです。これにより安心してデータを利活用できる法的基盤の整備の動きに合わせ、市場規模が一層拡大する見込みとなっています。


同社的にはビッグデータの活用手法としてのAI技術、クラウド技術の進展等を通じて医療機関や調剤薬局におけるICTソリューション提供の幅も拡大すると考えているそうです。



将来的には保険者支援サービスを提供する取引先の健康保険組合の加入者数が1,000万人を超えることを目指しています。そして自社サービスを世の中に広める狙いがあります。


また、日本の人口が減り競合各社と技術力やサービスの優位性がなければ衰退していくと思われます。この他遠隔画像診断サービスにおける誤診リスクもあるようです。


サービス全般にITが組み込まれている点は高く評価できそうです。業績も前期で100億円超となり売上の拡大も継続しているようです。IFRS(国際会計基準)で連結財務諸表の作成がされている点は注意が必要です。


ノーリツ鋼機の子会社であることも買い材料になると思います。積極的にIPO抽選に参加すれば複数株の当選期待もできそうですね。

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