ワールド(3612)IPOが新規上場承認されました。主幹事は野村證券となり公開株式数16,683,000株、オーバーアロッメント1,809,000株のグローバルオファリングになります。上場市場は現在のところ未定ですが、東証1部へ直接上場になると思います。大体の方は知っている大きな企業ですが、想定発行価格ベースで上場規模を算出すると約671.3億円にもなります。
事業は「婦人・紳士・子供服等の企画販売等」となっており、ショッピングモールなどで見かけることが個人的多い企業です。業種的に株主優待の設定が行われると思いますが、現在のところは優待の設定はありません。
1993年11月に大阪証券取引所市場第2部へ上場し、1998年に東京証券取引所2部へも上場、1999年9月に東京証券取引所及び大阪証券取引所の市場第1部銘柄に指定されています。その後2005年11月に長期的、持続的な企業価値の最大化を図るため、MBOによる株式の公開買付けを行い上場を廃止している経緯があります。
ワールド(3612)IPOの詳細データ
項目 | 上場基本データ |
市場 | 東証1部又は2部 |
業種 | 繊維製品 |
事業内容 | 婦人・紳士・子供服等の企画販売等 |
公開予定 | 9月28日 |
ブックビルディング期間 | 9月11日~9月14日 |
想定価格 | 3,630円 |
仮条件 | 2,900円~3,200円 |
公開価格 | 9月18日 |
企業情報 | http://corp.world.co.jp/ |
【手取金の使途】
差引手取概算額35,138百万円については、前記「1 新規発行株式」の(注)3.に記載の海外募集の差引手取概算額15,922百万円及び前記「1 新規発行株式」の(注)7.に記載の本件第三者割当の手取概算額上限6,238百万円と合わせて、そのうち4,002百万円を2018年9月28日に、6,208百万円を2018年12月末までに、それぞれ優先株式の取得費用に充当する予定であります。また、残額については、今後3年程度で、システム投資に10,083百万円、保証金流動化の終了に伴う建物賃貸人への保証金の差入れに3,392百万円、プリンシパルインベストメントとして当社が直接投資する戦略投資に10,000百万円、当社グループにおいて事業投資を行う株式会社W&Dインベストメントデザインの出資枠に10,000百万円をそれぞれ充当し、また2019年3月期に短期借入金の返済に13,614百万円を充当することを予定しております。
当社グループでは、今後の成長のための戦略投資及び事業投資として、2019年3月期以降、株式会社ティンパンアレイの完全子会社化及び株式会社キャンプファイヤーへの出資等を実施してきております。当社は、アパレル以外の領域でのブランドの拡充やバリューチェーンの補強のため、今後も企業買収及び出資等を行う方針であり、2019年3月期、2020年3月期及び2021年3月期に、当社又は当社子会社による非アパレルやファッションテックに対する戦略投資に10,000百万円、当社グループにおいてアパレル事業への事業投資を行う株式会社W&Dインベストメントデザインの出資枠に10,000百万円を充当する予定
※現時点において具体的に決定している新規の投資案件はなく、上記の戦略投資及び事業投資の総額が今後3年程度で約20,000百万円規模となること以外には案件数・案件規模も未定です。企業価値の向上に繋がる投資先が見つからないなどの理由により投資が実施されない場合には、店舗等への設備投資資金又は短期借入金の返済に充当する予定
項目 | 株数データ |
公募株数 | 14,850,000株 (国内募集10,227,000株、海外募集4,623,000株) |
売出株数 | 1,833,000株 |
公開株数(合計) | 16,683,000株 |
オーバーアロットメント | 1,809,000株 |
上場時発行済み株数 | 普通株式36,199,965株 A種優先株式8,119,600株 |
想定ベースの時価総額 | 約1608.8億円 |
幹事団 | 野村證券(主幹事) SMBC日興証券 ←IPOするなら必須口座 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 auカブコム証券 みずほ証券 SBI証券 |
ワールド(3612)上場評判とIPO分析
想定発行価格3,630円を基に吸収金額を算出すると約605.6億円となり、オーバーアロットメントを含めると約671.3億円規模の上場となります。企業規模から東証1部に直接上場するものと思われます。グループ企業は、同社と子会社41社及び持分法適用関連会社4社より構成されています。グループの事業内容は、国内外にて婦人、紳士及び子供衣料品並びに服飾雑貨の販売を営む「ブランド事業」、グループからの直接及びファンドを活用した間接での投資・売却等による同社グループの事業ポートフォリオ全体の最適化を目指す「投資事業」
ファッションに特化したECモール事業及び他社EC事業や情報・物流システムの業務受託等のデジタルソリューションの提案・実行を行う「デジタル事業」、衣料品並びに服飾雑貨等の生産・調達・貿易や什器製造販売を通じた空間創造支援等の「プラットフォーム事業」を行っています。
ブランド事業では、国内アパレルブランドとして、ミドルアッパー業態とミドルロワー業態を中核にルームウェア、肌着等のインティメイトなども手掛けており、株式会社ワールドアンバーは卸業態を運営しています。
各ブランド事業を営む子会社は、婦人、紳士及び子供衣料品の商品企画を行い、その商品企画に基づいて、同社のプラットフォームを活用して調達した商品を直営店舗、EC販路及び専門店を通じて国内市場で販売しています。さらに株式会社ワールドフランチャイズシステムズは、株式会社アルカスインターナショナルのフランチャイズ事業を展開しています。
多業態・多ブランド戦略により、アパレル、雑貨を問わず多様なチャネル、多様な価格帯でブランドを展開しており、2018年3月期末において2,488店、ブランドは56ブランドを有しているそうです。
投資事業では、ポートフォリオマネジメントとして、子会社の株式を直接・間接に所有して経営指導等を行っているほか、子会社で中間持株会社である株式会社ワールドインベストメントネットワークと連携して同社グループの事業ポートフォリオの最適化を行っています。
バリューアップ事業では、グループにある開発象限の事業や改革が必要な事業(開発・改革事業)の収益モデル構築や、選択と集中の徹底のために株式会社ワールドインベストメントネットワーク又はその傘下の孫会社の下に移して管理支援を行っています。
※第60期連結会計年度
M&A事業では、同社及び株式会社ワールドインベストメントネットワークによる従来型のアパレル以外の領域の事業ポートフォリオの最適化を目的とした「プリンシパル」投資(バイアウト)と、株式会社W&Dインベストメントデザインによるアパレル領域での事業の再生や成長の支援、事業承継を目的とした「ファンド」投資(共同投資)に取り組んでいます。
上場廃止後に様々な動きがあり現在に至るようですが、ベンチャーキャピタル主導による内部改造がだいぶ行われているようです。ECサイトは2011年4月に始まったようです。沿革を見ていると子会社化や合併などを繰り返し企業規模がどんどん大きくなっているように思います。
ワールド(3612)の企業財務情報と配当性向
回次 | 第59期 | 第60期 |
決算年月 | 平成2017年3月 | 平成2018年3月 |
売上収益 | 249,983 | 245,829 |
営業利益 | 249,983 | 245,829 |
当期利益 | 8,150 | 6,743 |
当期包括利益 | 7,648 | 6,759 |
親会社の所有者に帰属する持分 | 20,338 | 26,995 |
資産合計 | 193,770 | 202,938 |
1株当たり持分(円) | 225.49 | 296.44 |
1株当たり当期利益(円) | 90.36 | 74.75 |
親会社の所有者に帰属する持分比率(%) | 10.50 | 13.30 |
親会社の所有者に帰属する持分当期利益率(%) | 49.35 | 28.49 |
株価収益率(倍) | – | – |
配当性向(%) | – | – |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 16,723 | 20,528 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △20,379 | △5,908 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △3,284 | △14,844 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 21,148 | 20,972 |
第61期第1四半期連結累計期間(2018年4月01日~2018年6月30日)
売上収益609億78百万円(前年同期比1.0%増)
コア営業利益(セグメント利益)67億61百万円(前年同期比5.9%増)
営業利益66億48百万円(前年同期比5.9%増)
親会社の所有者に帰属する四半期利益39億76百万円(前年同期比7.0%増)
ファッション業界においては、店舗販売を中心とした国内アパレル市場が成熟化する反面、デジタル化の進展に伴うEC(電子商取引)による個人消費の拡大やレンタル、リユースといった新しいサービスが広がるなど、消費者の購買行動が多様化しており、厳しい競争環境が続いています。このような経営環境の中、当社グループでは「総合アパレル企業グループ」からファッション業界における「総合サービス企業グループ」へ進化を図っています。
ワールド(3612)従業員と株主の状況
会社設立は1985年4月01日、兵庫県神戸市中央区港島中町六丁目8番1に本社を構えます。社長は上山健二氏(1965年5月19日生まれ)、株式保有率は2.34%です。従業員数は197人で平均年齢46.4歳、平均勤続年数19.0年、平均年間給与6,336,036円となります。連結従業員数は11,174人で臨時従業員数は2,644人とかなりの人員がいます。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) |
UDSコーポレート・メザニン2号投資事業有限責任組合 | 8,119,600 | 29.46 |
寺井 秀藏 | 2,712,254 | 9.84 |
小泉 敬三 | 2,386,674 | 8.66 |
畑崎 重雄 | 2,046,747 | 7.43 |
合同会社ケイ・エム興産 | 1,000,000 | 3.63 |
合同会社エイ・ティ興産 | 1,000,000 | 3.63 |
合同会社ワイ・アール興産 | 1,000,000 | 3.63 |
合同会社イー・エイチ興産 | 840,000 | 3.05 |
ワールドグループ従業員持株会 | 800,000 | 2.90 |
上山 健二(社長) | 644,505 | 2.34 |
【目論見抜粋】
グローバル・オファリングに関連して、売出人である寺井秀藏、小泉敬三、畑崎重雄及び栗山文宏、貸株人である合同会社ワイ・アール興産及び合同会社イー・エイチ興産並びに当社株主である合同会社ケイ・エム興産、合同会社エイ・ティ興産、ワールドグループ従業員持株会、上山健二、中田雄一、谷村耕一、浦野隆司、田口敬二郎、福井淳、高月禎一、伊賀裕恭、飯田恭一、鈴木信輝、中林恵一、坂根義男、畑崎充義、八木恵美子、阪本敏之、松沢直輝、藤原義彦、松原正幸、西川信一、中嶋築人、小堺利幸、内山誠一、丸山紀之、大峯伊索、田所裕一、長元明、黒田正徳、渡邊智則、水口清貴、永島竜郎、山根克彦、林知彦、中尾拓也、岩切徳人、池上貴尉、丹生博之、宮崎広臣、福岡孝和及び大野陽一郎は、グローバル・コーディネーターに対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後180日目の2019年3月26日(当日を含む。)までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式の譲渡又は処分等(ただし、引受人の買取引受けによる国内売出し及び貸株人がオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く。)を行わない旨を約束する書面を2018年9月18日付で差し入れる予定であります。
上位株主には180日間(平成2019年3月26日まで)のロックアップが付与されています。筆頭株主はベンチャーキャピタルとなっていますが、売出株放出などは行っていません。議決権の関係でこのまま所有株式数割合3割を維持するのかもしれません。
※追記、ファンドは「議決権のない優先株主」となっていました
売出人(個人)にはとんでもない資金が転がり込んでくるようです。また、ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。
ワールド(3612)IPO大手初値予想と各社配分
想定発行価格3,630円に対して仮条件範囲が大きく引き下げられ2,900円~3,200円に決定しました。上限の3,200円算出で約533.86億円、オーバーアロットメントを含めて約591.74億円の吸収金額になります。株数の変更などは行われていません。2019年3月連結業績予想では売上1.3%増、営業利益7.6%増(10.09億円増)の増収増益になります。EPS317.68を基にPERを算出すると約10.07倍、BPS1,940.85を基にPBRを算出すると約1.65倍となります。配当は47円を予定しており、配当利回り1.47%になります。
初値予想3,730円~4,000円
初値予想(第2弾)3,200円~3,600円
東証1部上場を想定しても再上場案件のVCによる自己株式処分となれば不人気でしょう。上場規模も大きく利回りが良いわけでもありません。指標からも妥当だとわかり公開価格前後の初値となりそうです。個人投資家は消極的なブックビルディング参加のようです。
幹事名 | 配分単位(株) |
野村證券(主幹事) | 8,442,100 |
SMBC日興証券 | 1,447,200 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 1,447,200 |
みずほ証券 | 627,100 |
SBI証券 | 96,400 |
類似企業 | PER | PBR |
アダストリア(2685) | PER18.45倍 | PBR1.34倍 |
バロックジャパンリミテッド(3548) | PER10.37倍 | PBR1.94倍 |
マツオカコーポレーション(3611) | PER10.11倍 | PBR1.69倍 |
上場規模が大きいため、どこから申込んでも当選期待ができるように思います。三菱UFJモルガン・スタンレー証券から委託販売されるauカブコム証券からの申し込みも当選期待ができそうです。
国内では売出し株を含め12,060,000株が予定されているため株数はかなり多いです。メルカリ(4385)のように海外人気となり国内分が減らされる可能性もありますが、業種的にそれほど注目されることはない気がしています。SMBC日興証券からだとペナルティを意識して当選確率が高くなるかもしれません。
ワールドのストックオプション詳細を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数(株) | 発行価格(円) |
2020年7月01日~2022年6月30日 | 448,375 | 30 |
2020年7月01日~2022年6月30日 | 77,250 | 30 |
ストックオプションで行使期限に入る株はありませんが、発行価格が低いようです。子会社使用人や同社使用人、役員などに割り当てられています。
ワールド(3612)IPO私見と申し込みスタンス
ワールドIPOは申込めば当選できそうな気がする反面、公開価格割れを起こしてしまう可能性がないのか?と考えています。身近な企業なので何となく安心感も感じられますが、MBO時の状況を知らないためなんとも言えません。東証1部であればトピックス買いやファンド買い付けなども期待できますが、上場規模が大きいだけに初値形成時に参加する個人投資家や機関投資家の動きがわかりません。株価もある程度高いため参加する層も通常と変わってくると思います。
ブックビルディングスタンスは仮条件発表後に決めたいと思いますが、大型の東証1部上場は初値5%~10%程度の上昇に収まることが多いと思います。平凡なスタートだと手数料が出るか出ないかの瀬戸際も考えられます。いつでも参加できるように証券口座に資金だけは置いておきたいと思います。また有料情報を購入しているためレポートを見てから判断するかもしれません!
ワールド(3612)IPO幹事入りです! 【私はネット口座だけで当選しています】
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