エリッツホールディングス(5533)のIPOがスタンダード市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。上場規模が小さいことの他にIPOとしての魅力は低そうです。
主幹事はみずほ証券が務め公開株数275,100株、オーバーアロットメント41,200株です。上場規模は想定発行価格1,580円から計算すると約5.0億円になります。
この規模であれば公開価格割れはなさそうです!
※エリッツHD公式サイト引用
これと言って買われる材料はあまりなさそうです。
同社は京都府近郊を主要な事業エリアとし都心に比べると資金が向かいにくいと思います。不動産業なので配当金が高ければ個人投資家に人気だと思います。本社は京都市です。
京都府の学生数は横ばいで推移、京都府の人口は漸減傾向にあるそうです。また、主要顧客の単身者、ファミリー層の需要が減少すると考えられています。
上場後は「京都・滋賀地区」という既存事業エリア内でシェア拡大、「大阪・奈良地区」を含めた他府県への事業エリア拡大を行うそうです。
業績水準はそこそこだと思いますが、スタンダード銘柄らしく業績が横ばい傾向にあるようです。そのため上場規模を小さくして乗り越える算段でしょうか。
エリッツホールディングス(5533)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました
項目 | 上場基本データ |
上場日 | 6月27日 |
市場 | スタンダード市場 |
業種 | 不動産業 |
事業内容 | 不動産賃貸事業、不動産ファンド事業、不動産の企画・コンサルティング事業、人材紹介事業、不動産仲介及び管理事業並びにシステム開発・販売事業を行うグループ会社の経営管理及びこれに付帯する業務 |
ブックビルディング | 6月09日~6月15日 |
想定価格 | 1,580円 |
仮条件 | 1,420円~1,580円 |
公開価格 | 1,580円 |
初値結果 | 2,000円(公開価格1.27倍) |
企業情報 | https://www.elitz-holdings.co.jp/ |
監査人 | PwC京都監査法人 |
手取金の使途 |
|
項目 | 株数データ |
公募株数 | 200,000株 |
売出株数 | 75,100株 |
公開株数(合計) | 275,100株 |
オーバーアロットメント | 41,200株 |
上場時発行済み株数 | 3,342,200株 ※公募分を含む |
想定ベースの時価総額 | 約52.8億円 |
幹事団 | みずほ証券(主幹事) SBI証券 野村證券 西村証券 岡三証券 東洋証券 |
委託見込 | 岡三オンライン DMM.com証券 |
エリッツホールディングス(5533)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました
想定発行価格1,580円を基に吸収金額を算出すると約4.3億円となり、オーバーアロットメントを含めると約5.0億円規模の上場となります。同社グループは株式会社エリッツホールディングス及び連結子会社6社により構成され、不動産仲介事業、不動産管理事業、居住者サポート事業を行っています。
グループ内に種々の業務を行う子会社を擁しており、相互の連携によりグループとしてシナジー効果が発揮されるよう努めているそうです。
※有価証券届出書引用
不動産仲介事業においてはグループの基幹システムとして賃貸仲介システムを駆使することにより、賃貸仲介の業績を左右する反響数、反響来店率、応対決定や成約率の向上を図っています。
また、ITシステムにより未経験者の育成面でも短期間で戦力化できるそうです。
新規店舗の出店に際しても基幹システムにネットワークを接続することで瞬時に情報が共有できるなど、速やかな店舗立上げが可能となっています。
グループの基盤となる「京都・滋賀エリア」の賃貸住宅需要は、学生数が多く今後も底堅いニーズが期待できる状況だそうです。
※有価証券届出書引用
不動産管理事業においては、自社ビルを除き24,000戸以上の管理戸数を有し、その入居率は直近2連結会計年度で約95%の水準を維持しています。
入居率の高さは「株式会社エリッツ」の仲介力の強さにあります。
自社管理物件の入居者のうち約9割がエリッツの仲介によるものであり、この仲介率がそのまま約95%の入居率となって表れているそうです。
※有価証券届出書引用
居住者サポート事業は、保険会社や滞納保証会社、インターネットプロバイダー、新電力会社などの業務提携先が直接サービス提供主体となるため小口多数の取引集積になっています。
同社グループでは低コストで運営ができることから収益性が高い事業となっています。
幅広い事業を行っていますが新奇性は感じられないようです。
エリッツホールディングス(5533)の株主状況とロックアップについて調べました
会社設立は2012年3月23日、京都市中京区堀川通姉小路上る三坊堀川町55番地1エリッツ御池ビルに本社を構えます。社長は槙野常美氏(1960年10月13日生まれ)、株式保有率は46.06%(1,537,809株)です。
従業員数50人で臨時雇用者5人、平均年齢37.5歳、平均勤続年数9.3年、平均年間給与3,184,081円です。連結従業員数は382人で臨時雇用者は102人です。
連結のセグメント別従業員数は全社(グループ統括)48人で臨時5人、不動産仲介事業244人で臨時56人、不動産管理事業90人で臨時37人、居住者サポート事業10人で臨時4人となっています。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
槙野 常美 | 1,537,809株 | 46.06% | ○ |
佐々木 茂喜 | 299,600株 | 8.97% | ○ |
黒田 富久子 | 299,600株 | 8.97% | ○ |
エリッツホールディングスグループ従業員持株会 | 251,669株 | 7.54% | ○ |
龍池 法子 | 217,000株 | 6.50% | ○ |
平山 浩 | 180,200株 | 5.40% | ○ |
龍池 亮 | 108,600株 | 3.25% | ○ |
上位株主には180日間(2023年12月23日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。
親引けは20,000株を上限としてエリッツホールディングスグループ従業員持株会が実施する予定となっています。
エリッツホールディングス(5533)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。仮条件は1,420円~1,580円に決定し、上場による吸収金額は最大約5.0億円、時価総額約52.8億円となります。
通常であれば初値利益を得るにはやや物足りないかもしれませんが、地合いが良いため不動産株も「買われるのでは?」と観測されています。
また、同社は長栄(2993)の仲介部門からスタートしています。意識するのは長栄になりそうですね。
ただ既に十分評価された株価設定となっており高値を追うような展開は難しそうです。上場時は多少賑わうかもしれませんがしばらくすれば他社と似たような評価を受けると思います。
修正値2,000円前後
最終予想2,500円
※注目度C
業績を確認すると2023年9月期の連結予想を確認することができました。売上53.76億円となり前期比10.53%増、経常利益8.82億円となり前期比28.76%増となります。
四半期利益は5.64億円となり前期比30.56%増を予想しています。大幅な増収増益となりそうです!
公開価格が1,580円決定の場合の指標はEPS176.82からPER8.94倍、BPS1,240.83からPBR1.27倍になります。配当金が56円予定され配当利回り3.54%になります。
業績の勢いがピークとなる可能性があるため来期も増収増益となるのかは現時点でわかっていません。フロー収益主体となりストック収益比率が低いと観測されています。
最終的には上場規模が小さく配当金も出るため下値不安はなさそうです。長栄のように息の長い株価上昇となればホルダーも喜びそうですね!
2,000円程度の初値であれば公募組は売ってくると思います。
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
みずほ証券(主幹事) | 192,700株 | 70.05% |
SBI証券 | 27,500株 | 10.00% |
野村證券 | 19,200株 | 6.98% |
西村証券 | 13,700株 | 4.98% |
岡三証券 | 11,000株 | 4.00% |
東洋証券 | 11,000株 | 4.00% |
オファリングレシオを絞って上場させる感じですね。VC出資がないため需給不安はなさそうです。
スタンダード市場で不動産業のため配当利回り期待だと思います。公開株数も少ないため公募価格(発行価格)を割るような展開はないと思います。
公開株数と幹事構成から考えると当選は難しそうです。ただ利益見込みがあるため面倒でなければ抽選に参加しておきましょう!
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類似企業のPERやPBRを調べました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
長栄(2993) | PER7.80倍 | PBR0.93倍 |
日本ハウズイング(4781) | PER14.30倍 | PBR1.67倍 |
センチュリー21・ジャパン(8898) | PER16.03倍 | PBR1.68倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
2021年6月15日~2029年6月14日 | 196,400株 | 1,000円 |
ストックオプション(新株予約権)は196,400株が上場時に行使期限を迎えます。
発行済株式総数3,142,200株に対する新株予約権の割合は6.25%に相当します。新株予約権による潜在株式数は196,400株です。
エリッツホールディングス(5533)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ
エリッツホールディングスのIPOは無理をして申込むような銘柄ではなさそうです。公開価格割れはなさそうですが大きな利益は見込めないでしょう。初値1.5倍程度であれば成功のイメージです。配当金が高ければ人気になる可能性はあると思います。
※エリッツHD公式サイト引用
業績から考えて勢いがある企業とは言えません。上場という冠が欲しいのでは?と個人的に感じます。
地方上場で従業員数は多いけれど給与設定が低いようです。
京都府や滋賀県を中心事業展開していたようですが近年は飽和状態にあるそうです。京都市内は京都市景観条例もありますからね。さらにコロナ禍で郊外へ移住する方も多くなっているそうです。
同社が現在ターゲットにしている滋賀エリアでは近年人口が増加傾向にあるようです!
契約件数などは伸びているようですが事業内容的に一気に業績が上向く可能性は低そうです。個人的にはIPOに当選したら初値売却したいと考えています。
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