ELEMENTS(エレメンツ)[5246]のIPOがグロース市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。同社のeKYCが国内市場シェアNO.1となっています。
有名企業が採用しているため人気だと思いましたが赤字企業です。
主幹事はみずほ証券が務め公開株数4,538,200株、オーバーアロットメント680,700株です。上場規模は想定発行価格150円から計算すると約7.8億円になります。
※エレメンツ公式サイト引用
主力サービスは「LIQUID eKYC」になり金融業や通信業が主力市場になります。また、CtoCのシェアリングサービスやマッチングサービスへの導入も進んでいるそうです。
日常生活に欠かせない幅広い業種において、成りすましによる不正を防止しユーザーからの信頼性を高めるニーズが高まっているため導入企業が増えています。
導入企業を確認すると通信事業者やゆうちょ銀行などの名前が出ています。IPOでも期待できそうだと思いましたが、ベンチャーキャピタルのイグジット案件でした。
株価設定は低いようですが、全力で獲得するには躊躇する内容です。業績規模が低く前期2021年11月期の純損失が約5.7億円となっています。今期も赤字だと思うので機関投資家の評価を待ちたい銘柄です。
海外市場への展開も将来的には考えているそうです。まず黒字化ですね!!
ELEMENTS(エレメンツ)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました
項目 | 上場基本データ |
上場日 | 12月27日 |
市場 | グロース市場 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | 生体認証・画像解析・機械学習技術を活用した、オンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」等の個人認証ソリューションと、衣食住における個人最適化ソリューションの開発・提供 |
ブックビルディング | 12月12日~12月16日 |
想定価格 | 150円 |
仮条件 | 150円~160円 |
公開価格 | 160円 |
初値結果 | 312円(公開価格1.95倍) |
企業情報 | https://elementsinc.jp/ |
監査人 | PwC京都監査法人 |
手取金の使途 | 個人認証ソリューション及び個人最適化ソリューションの運転資金として人件費に充当予定 |
項目 | 株数データ |
公募株数 | 50,000株 |
売出株数 | 4,488,200株 |
公開株数(合計) | 4,538,200株 |
オーバーアロットメント | 680,700株 |
上場時発行済み株数 | 20,096,700株(公募分を含む) |
想定ベースの時価総額 | 約30.1億円 |
幹事団 | みずほ証券(主幹事) SBI証券 大和証券 |
委託見込 | SBIネオトレード証券 CONNECT |
ELEMENTS(エレメンツ)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました
想定発行価格150円を基に吸収金額を算出すると約6.8億円となり、オーバーアロットメントを含めると約7.8億円規模の上場となります。同社グループは、ELEMENTSと国内の連結子会社3社、持分法適用関連会社1社、国外の持分法非適用関連会社1社で構成されています。
同社グループのビジネスモデルは、主に「BtoBtoC」になります。一般ユーザーに各種デジタルサービスを提供する事業者に対してAIクラウド基盤を導入しています。
「個人認証」と「個人最適化」の2つのソリューションに区分されています。
※有価証券届出書引用
個人認証ソリューションでは、生体情報を用いた認証サービスを提供しています。
サービスを導入する事業者がユーザーに提供するデジタルサービスの利用件数に応じた従量課金になり対価を受領します。一部の事業者にはパートナー事業者を通じてサービスを提供しています。
個人認証ソリューションの売上高がグループ全体の7割程度となるそうです。
オンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」は、金融機関の口座開設や通信会社の回線契約時などに必要な「申込者が実在する本人であるかどうか」の確認を行うサービスです。
主力サービスとして個人認証ソリューションの売上高のうち「LIQUID eKYC」が9割以上を占めます。
※有価証券届出書引用
「LIQUID eKYC」はKDDI株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社ゆうちょ銀行、三菱UFJ信託銀行株式会社、LINE証券株式会社、株式会社bitFlyerなどの事業者で利用されています。
eKYC市場シェアでは3年連続NO.1、顧客実績140社以上となっています。有名なのはわかりましたが黒字化するタイミングが問題ですね。
※有価証券届出書引用
個人最適化ソリューションでは、個人のデータを取得しその特徴を解析し、モノ・サービスを個人に最適化するためのサービスを提供しています。
あらゆる商材におけるECサイト経由による販売量の増加、テレワークの普及など暮らしのデジタル化が進む中、「衣食住」と密接に関係する事業者を対象にサービスを提供しています。
行動解析事業、体型解析事業、購買解析事業についてサービスを提供しています。
ELEMENTS(エレメンツ)の株主状況とロックアップについて調べました
会社設立は2013年12月24日、東京都千代田区大手町一丁目6番1号に本社を構えます。代表は久田康弘氏(1985年4月20日生まれ)、株式保有率は34.41%(7,800,000株)です。従業員数58人で臨時雇用者11人、平均年齢36.8歳、平均勤続年数3.6年、平均年間給与6,272,000円です。連結従業員数は61人で臨時雇用者は11人です。
セグメントはCloud事業の単一セグメントになります。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
久田 康弘 | 7,800,000株 | 34.41% | ○ |
UTEC3号投資事業有限責任組合 | 2,166,700株 | 9.56% | × |
株式会社BOC | 1,560,000株 | 6.88% | ○ |
加藤 寛之 | 1,000,000株 | 4.41% | ○ |
山谷 明洋 | 1,000,000株 | 4.41% | ○ |
伊藤忠商事株式会社 | 833,300株 | 3.68% | × |
上田八木短資株式会社 | 735,300株 | 3.24% | ○ |
上位株主には180日間(2023年6月24日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。
また、大和証券グループ本社やみずほFinTech投資事業有限責任組合などの企業がVCに対して90日間(2023年3月26日まで)のロックアップ付与、ロックアップ解除倍率は発行価格の1.5倍以上となっています。
UTEC3号投資事業有限責任組合と伊藤忠商事株式会社は全株式を売出株として処分する予定です。
上場前の第三者割当等による新株予約権の割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っています。
親引けはありません。
ELEMENTS(エレメンツ)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。仮条件範囲が150円~160円に決定し想定発行価格が下限となります。吸収金額は最大で約8.4億円、時価総額32.2億円になります。
ELEMENTSのIPOは異例づくしのため短期的な需給に妙味があると思います。同社に投資を行っているベンチャーキャピタルの多くが赤字計上によるイグジットを目指しているようです。
すなわち上値が重いと考えられます。初値だけは良好だという考えが大多数となっていますが、同社に出資している企業はどこかのタイミングで売り逃げを行うと考えられます。
某紙では2024年11期あたりから業績が改善できるとの見通しです。これを信じることはできませんが、上場時の情報としては材料になりそうです。
直近の第三者割当増資の価格が1,360円となることから、仮条件上限の160円は異常値だと思います。現時点ではそのくらいの価値しかないと言えるはずです。流石に割安過ぎとの見解が多く資金流入が期待されています。
ただeKYCには欠陥があるとされているため将来的に同社の「行方がわからない」との指摘もあります。どうやら犯罪対策において重大な欠陥があるようです。
色々と情報が錯綜しているため将来的に業績が上向くのかはわからない状況のようです。そして売出株のイグジット案件。何かヤバイことでもあるのではないか?と余計なことを考えさせられるIPOだと思います。
修正値300円~350円
直前予想220円
※注目度B
業績を確認すると2022年11月期の連結予想を確認することができました。売上16.34億円となり前期比19.97%増、経常利益-5.66億円となり前期-6.95億円からの赤字縮小となります。
四半期利益は-5.20億円となり前期-5.68億円から赤字額があまり改善しないようです。
公開価格が160円決定の場合の指標はEPS-36.58からPERは算出不可、BPS23.20からPBR6.90倍になります。配当や株主優待の設定は現時点でありません。
ロックアップ解除は初値形成後となっているため今回は株価上昇が見込まれています。安いのか高いのかは評価しずらいと思いますが、短期的な需給では初値2倍程度が見込めるようです。
中長期で保有し続けるには恐ろしい銘柄のような気がします。ダウンラウンド案件となっていますがダウンし過ぎなんですよね。
ベンチャーキャピタルの投げ売り案件というだけならいいのですが、なんだか気持ちが悪い案件だと思います。短期的な需給狙いであれば成功しそうなのでIPOとしては問題なさそうです。
吸収金額が低く、良くも悪くも注目されているeKYC市場です。さらに初物IPOとしても注目されています!投機的な投資を行うには材料が豊富なのかもしれません。低位株の面白さもありますからね!!
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
みずほ証券(主幹事) | 4,084,400株 | 90.00% |
SBI証券 | 317,700株 | 7.00% |
大和証券 | 136,100株 | 3.00% |
赤字上場で思いっきりイグジット案件なので基本無視でも良さそうなIPOだと思いましたが、新株予約権の発行価格が直近で630円なんですよね。しかも多いです。
UTEC3号投資事業有限責任組合を筆頭に上場による株式処分を行いたいのでは?と思えるような案件です。しかも低位株で手掛けにくいです。
上場規模が小さく事業はIPOでも好まれそうです。ただ業績水準が低く赤字企業です。公開株数が多いため当選は容易だと思います。
IPOになかなか当選できない方はクラウドファンディングへの投資は如何でしょうか。私は両方に投資を行っています!
暗号資産は含み損を抱えていますが、クラファンは利益が地味に伸び続けています。
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1口10万円のハードルはありますが資金が余っている方は投資先の1つとして良いかもしれません。詳しくは下記記事にまとめています。
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また、面白い投資先をお探しの方は利回りくんなどもいいと思います。長期で投資できるファンドもあります。
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類似企業のPERやPBRを調べました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
ディー・ディー・エス(3782) | PER-倍 | PBR1.87倍 |
GMOグローバルサイン・ホールディングス(3788) | PER53.57倍 | PBR5.68倍 |
シンプレクス・ホールディングス(4373) | PER26.49倍 | PBR3.31倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
2018年3月24日~2026年3月23日 | 617,000株 | 100円 |
2018年6月01日~2026年5月31日 | 214,000株 | 100円 |
2016年12月01日~2026年11月30日 | 156,000株 | 120円 |
2018年11月23日~2026年11月22日 | 125,000株 | 120円 |
2019年2月23日~2027年2月22日 | 49,000株 | 530円 |
2019年4月20日~2027年4月19日 | 175,500株 | 530円 |
2019年10月27日~2027年10月26日 | 11,300株 | 530円 |
2020年1月31日~2028年1月30日 | 16,600株 | 530円 |
2020年4月26日~2028年4月25日 | 16,000株 | 530円 |
2021年1月24日~2029年1月23日 | 36,800株 | 630円 |
2021年3月14日~2029年3月13日 | 16,600株 | 630円 |
2022年2月28日~2030年2月27日 | 100,300株 | 630円 |
2022年10月24日~2030年10月23日 | 27,800株 | 630円 |
2023年5月28日~2031年5月27日 | 225,300株 | 630円 |
2023年6月19日~2031年6月18日 | 11,000株 | 630円 |
2023年3月01日~2031年7月06日 | 666,600株 | 630.4円 |
2023年7月30日~2031年7月29日 | 58,800株 | 630円 |
2023年8月25日~2031年8月24日 | 10,000株 | 630円 |
2024年4月21日~2032年4月20日 | 67,400株 | 630円 |
2017年5月23日~2024年5月31日 | 19,700株 | 530円 |
ストックオプション(新株予約権)は1,581,600株が上場時に行使期限を迎えます。
発行済株式総数20,046,700株に対する新株予約権の割合は13.1%に相当します。新株予約権による潜在株式数は2,620,700株です。
発行回数は多いようですが割合はそれほど高くありません。
ELEMENTS(エレメンツ)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ
ELEMENTS(エレメンツ)のIPOはまとまった株数を獲得しないと何とも言えません。想定ベースで株価150円の1枚当選だと株式売却手数料で損失なんてパターンもありそうです。みずほ証券だと複数株のセット販売になると考えられます。大和証券は単元株でしょうか。面白みもありそうな気もしますがやりにくいIPOだと思います。
※エレメンツ公式サイト引用
画像解析及び機械学習領域で事業を展開する企業は多くあるそうです。業績に不安はありますが現状では最先端の技術だと考えられます。
同社の収益源である「LIQUID eKYC」がもし他社に劣るようなことになれば廃業もあり得るのでは?と思います。
また、目論見には新規サービスの黒字化は時間を要すると書かれています。AIクラウド基盤を軸にしたサービス展開の方向性も定まっていない可能性があります。
そして成長投資が先行しているため黒字化したことがないと書かれています。
さらに2022年11月期は「株式会社SYMBOL」を持分法適用関連会社へ異動するため、特別損失が発生するそうです。なんでこのタイミングで上場するのだろうか?VCが待てない判断なのでは?と感じます。
しばらく情報を集めてから本格的な参加スタンスを決定したいと思います。とりあえず上場ゴールなのはわかります!
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2022年にイグジット案件が発生したため下記記事に内容をまとめています。代表の波多江直彦さんに直接お聞きしてきました。よかったら参考にしてください!
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