アルファパーチェス(7115)のIPOがスタンダード市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。企業規模は大きめだと思いますがIPOでは好まれないと思います。


主幹事はSMBC日興証券が務め公開株数2,000,000株、オーバーアロットメント300,000株です。上場規模は想定発行価格850円から計算すると約19.6億円になります。


配当は13円設定なので想定ベースの配当利回りが1.53%になります。低いですね。


アルファパーチェス(7115)IPOが上場承認
※アルファパーチェス公式サイト引用


同社が所属するMROの物販市場はBtoC型オンライン販売の急速な普及により打撃を受けているようです。事業は「間接材の物販事業」と「ファシリティマネジメント」になります。


しかし、同社は大企業グループの既存ITシステムと共存、あるいは一部機能を置き換えることが可能な電子購買プラットフォームを提供しているため、大企業グループ向けのMRO物販市場で一定の地位を占めています。


上場目的は大手企業との提携維持のためという見方もできなくはないですね。


目論見にも出てきますが「MonotaRO」「ミスミグループ」「大塚商会」などの電子商取引のプラットフォームベンダーが、MRO商品販売の担い手であった機械卸商社などのシェアを奪い、売上を伸ばしているそうです。


他社の名前が出てくることはあまりないため、余程警戒しているのかもしれません。


日本の大企業グループでは企業毎に独自のITシステムを活用しているため、電子商取引に特化した企業とは取引方法が異なるそうです。


また、FM事業の顧客先になる国内の商業施設市場は新型コロナウイルス感染症によ大きな影響があったとされています。しかし直近では郊外店舗の売り場改装案件が増加傾向にあるそうです。


アルファパーチェス(7115)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました

項目上場基本データ
上場日12月26日
市場スタンダード市場
業種卸売業
事業内容間接材の物販事業及びファシリティマネジメント事業
ブックビルディング12月09日~12月15日
想定価格850円
仮条件850円~880円
公開価格880円
初値結果869円(騰落率-1.25%)
企業情報https://www.alphapurchase.co.jp/
監査人太陽有限責任監査法人
手取金の使途全額を設備投資資金に充当する予定


項目株数データ
公募株数1,000,000株
売出株数1,000,000株
公開株数(合計)2,000,000株
オーバーアロットメント300,000株
上場時発行済み株数9,273,500株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約78.8億円
幹事団SMBC日興証券(主幹事)
SBI証券
楽天証券
マネックス証券
委託見込DMM.com証券


アルファパーチェス(7115)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました

想定発行価格850円を基に吸収金額を算出すると約17.0億円となり、オーバーアロットメントを含めると約19.6億円規模の上場となります。


同社グループはアルファパーチェスと連結子会社のATC株式会社、非連結子会社の愛富思(大連)科技有限公司の3社で構成され、MRO事業とFM事業に取組んでいます。


MRO事業は主に間接材の購買業務を改善したいという「モノ」に関しての要望に応える事業となっています。FM事業は主に施設の管理や運用を効率化したいという「サービス」に関しての要望に応える事業です。


同社の前身にあたる旧アルファパーチェスは米国の投資ファンドにより設立されていますが、米国投資ファンドのリップルウッドが撤退したことで同社が新設分割されています。同時に筆頭株主がアスクルになった経緯があります。


アルファパーチェス(7115)の業績
※有価証券届出書引用


MRO事業はインターネットを活用し、企業が日常的に購入する消耗品の発注から納入までを効率化する手法を活用した間接材の販売事業です。


MRO商品は種類が極めて多い割に、購入量は少なく、単価も安い、典型的なロングテール型の商品であり、主に上場企業を中心とした大企業の企業グループ全体を顧客とし、その購買に最適なITプラットフォームを提供しています。


幅広い商品の選択肢から最適な商品を、価格競争力のある単価で管理された顧客の社内決裁を経て購入が可能という強みを生かして事業を行っています。


アルファパーチェスIPOの事業系統図
※有価証券届出書引用


同社グループのFM事業は、商業施設の内外装のほか、設備機器の新築、改装、修繕、清掃および運営支援並びに工事用建材を各店舗の工事日程にあわせて提供する事業に限定してFM事業と言うそうです。


本来は施設・設備管理となりますが、絞った意味を持たせるために同社では利用しているそうです。


商業施設の開店や改装時に、仕様・数量・配送日程等のあらゆる面で店舗工事に最適化した建材提供を「材工分離」形態で行う部分をCFM 、商業施設の維持管理や改装、修繕および各種法定点検対応などの予防保全を行う部分をFMと称し事業部を分けて運営しています。


両者は商業施設の開店から閉店までのライフサイクルにあわせて、適宜、必要な物財やサービスを提供するという点で共通の事業特性を持ちます。


改装工事の際に建材支給と施工が分離されるか統合されるかは、顧客側都合によって決まる事項であるため、二部門を合わせてFM事業として管理しているそうです。


アルファパーチェスIPOの販売実績と取引先
※有価証券届出書引用


その他事業は、同社グループのITシステムの開発および運用の部門を2014年1月に分社して設立したATC株式会社のITシステム開発運用部門になるそうです。


同社向けのITシステム開発と運用によって培った技術、ノウハウを外販するもので、他の事業と比較すると低リスクかつ高収益であることが特徴となっています。


アルファパーチェス(7115)の株主状況とロックアップについて調べました

会社設立は2010年11月01日、東京都港区三田一丁目4番28号三田国際ビルに本社を構えます。社長は多田雅之氏(1963年2月18日生まれ)、株式保有率は3.81%(352,500株)です。


従業員数240人で臨時雇用者18人、平均年齢40.9歳、平均勤続年数6.4年、平均年間給与5,626,429円です。連結従業員数は253人で臨時雇用者は19人です。


連結のセグメント別従業員数はMRO事業107人、FM事業103人(臨時18人)、その他13人(臨時1人)、全社共通30人となっています。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
アスクル株式会社6,945,000株75.06%
アズワン株式会社824,500株8.91%
多田 雅之352,500株3.81%
田邉 孝夫176,000株1.90%
中川特殊鋼MROパートナーズ投資事業組合137,500株1.49%
齋藤 正弘100,000株1.08%
新日本実業株式会社69,000株0.75%
※株主上位7名の状況、△表示は新株予約権を表します


アスクル株式会社とアズワン株式会社には360日間(2023年12月20日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。


その他の株主と新株予約権保有者などには180日間(2023年6月23日まで)のロックアップ付与、そしてロックアップ解除倍率設定なしです。


上場前の第三者割当等による新株予約権の割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っています。


親引けは行われません。


アルファパーチェス(7115)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


仮条件範囲が想定発行価格を下限として850円~880円に決定しました。吸収金額は最大で約20.2億円、時価総額81.6億円になります。


大手情報各社でMonotaRO(モノタロウ)と比較されています。現状ではモノタロウの一強となっており、同社が成長するにはかなりハードルが高いようです。


しかし上場企業など大手への販売を獲得しているため魅力があります。トヨタ系列や半導体関連、不動産関連などの取引先も多く存在します。


また、マーケットプレース方式を採用し利用者には複数のサプライヤーと比較ができるためメリットがありそうです。コロナ禍でも成長していることが評価を高めているようですね。


公開価格割れは現時点で考えられず意外と底堅い評価となっています。


大手初値予想1,000円~1,500円
修正値1,000円前後
直前予想1,000円

※注目度B


業績を確認すると2022年12月期の連結予想を確認できました。売上430.44億円となり前期比13.43%増、経常利益8.61億円となり前期比4.11%増となります。


四半期利益は5.87億円となり前期比15.10%増となる予想が出ています。


公開価格が880円決定の場合の指標はEPS71.74からPER12.27倍、BPS465.15からPBR1.89倍になります。配当金が13円のため配当利回りは1.48%になります。


業績規模が大きいため長期保有であれば利益が見込めると思いますが、そもそも卸売りセクターは人気が見込めません。


ジリジリ株価を上げていくと思われますが、多くの投資家は投資対象として見ていないと思います。IPOでも注目されにくいセクターだと思います。


成長性の高さはあるようですが上場ラッシュの中では盛り上がりに欠けるようです。セカンダリーが高ければ売り込まれる可能性もあるようです。


モノタロウのようにテンバーガーになるのかはわかりませんが中長期であれば面白そうな銘柄です!


幹事名割当株数引受割合
SMBC日興証券(主幹事)1,600,000株80.00%
SBI証券300,000株15.00%
楽天証券50,000株2.50%
マネックス証券50,000株2.50%


企業規模は大きめだと思いますが個人投資家からは投資先として選ばれないと思います。面白みのない事業で成長性も感じられません。


親会社のイグジット案件で良いのではないでしょうか。VC保有株は少なめです。


安定した業績だと思いますが短期で利益を狙えるような銘柄はではないため、積極的に投資する方は少ないと思います。IPOとしても人気がないと思います。


同日上場ではダイワ通信(7116)がスタンダード市場に上場します。どちらもあまり人気が見込めないはずです。両銘柄ともに卸売業なんですよね。スタンスは弱気です。


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類似企業のPERやPBRを調べました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
アスクル(2678)PER16.67倍PBR2.76倍
MonotaRO(3064)PER62.15倍PBR16.56倍
ミスミグループ本社(9962)PER23.33倍PBR3.09倍
※2022年12月09日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2015年3月28日~2023年3月26日10,000株160円
2015年3月28日~2023年3月26日2,000株160円
2016年3月29日~2024年3月28日11,000株284円
2017年3月27日~2025年3月26日27,500株284円
2017年3月27日~2025年3月26日9,500株284円
2018年8月25日~2026年3月30日37,500株381円
2016年8月25日~2024年2月24日86,000株387.872円
2018年12月29日~2026年3月30日80,000株381円
2017年5月25日~2024年11月24日20,500株519.8円
2020年3月15日~2028年3月28日10,000株514円
2018年3月15日~2025年9月14日5,000株519.8円
2023年6月15日~2031年3月25日635,000株885円
2024年2月16日~2031年3月25日45,000株885円


ストックオプション(新株予約権)は299,000株が上場時に行使期限を迎えます。


発行済株式総数8,273,500株に対する新株予約権の割合は11.8%に相当します。新株予約権による潜在株式数は979,000株です。


アルファパーチェス(7115)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ

アルファパーチェスのIPOはスルーで良いのではないでしょうか。続く銘柄が出てこなければ参加します。


IPOの当選数を増やすだけの銘柄でしょう。公開価格割れはないかもしれませんが事業内容が面白くありません。


アルファパーチェス(7115)IPOのまとめ
※アルファパーチェス公式サイト引用


業績が安定している反面、新規顧客獲得のハードルは高そうです。


個々の顧客の市場に参入可能な時期は、一般的なITシステム更新の周期である5年~6年の1回に限定されるのが普通のようです。


そのため、顧客のステム更新時期を把握し、タイムリーに提案を行うことで採用される可能性があるそうです。大企業グループがターゲットになるため新規顧客の獲得ができれば業績の伸長が見られそうです。


また、日本マクドナルドへの売上げが10%以上を占めているとあります。買い材料にまでならないかもしれませんが意外でした。


アルファパーチェスのIPOは買われる材料が少ないため無理することはないでしょう。提携先が「買えばいいのに!」と思います。


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