ティムス(4891)IPOがグロース市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。創薬型バイオベンチャー企業でベンチャーキャピタル出資が多く上場ゴール感あるIPOとなっています。
主幹事はSMBC日興証券が務め公開株数3,731,300株、オーバーアロットメント559,600株です。上場規模は想定発行価格670円から計算すると約28.7億円になります。
海外販売が行われるため日本だけの販売は約14.4億円になるようです!
※ティムス公式サイト引用
創薬型バイオベンチャーでVC保有が76.6%と高いためIPOとしての魅力は低そうです。
ただ米国バイオジェン社との契約金やマイルストーン収益の発生などもあり、今後の収益にも期待できる可能性があります。
同社が現在取り組んでいる、可溶性エポキシドハイドロラーゼ(sEH)阻害による抗炎症作用に基づく医薬品開発がどのくらいの収益をもたらすのかは検討がつきません。
IPOだけを考えると吸収金額が低いため何とかなりそうな気もします。
売出人を確認するとベンチャーキャピタルばかりとなっていますが、実は公募株が多くなっています。人気が見込めるIPOなのか考察してみたいと思います!!
ティムス(4891)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました
項目 | 上場基本データ |
上場日 | 11月22日 |
市場 | グロース市場 |
業種 | 医薬品 |
事業内容 | 医薬品、医薬部外品、医薬品原材料、医療用機器及び医療用消耗品の研究及び開発 |
ブックビルディング | 11月07日~11月11日 |
想定価格 | 670円 |
仮条件 | 640円~670円 |
公開価格 | 670円 |
初値結果 | 919円(公開価格1.37倍) |
企業情報 | https://www.tms-japan.co.jp/ |
監査人 | 仰星監査法人 |
手取金の使途 |
|
項目 | 株数データ |
公募株数 | 3,432,800株 国内募集1,499,100株⇒ 1,302,200株 海外募集1,933,700株⇒ 2,130,600株 |
売出株数 | 298,500株 国内売出86,800株 海外売出211,700株 |
公開株数(合計) | 3,731,300株 国内合計1,585,900株⇒ 1,389,000株 海外合計2,145,400株⇒ 2,342,300株 |
オーバーアロットメント | 559,600株 |
上場時発行済み株数 | 36,534,880株(公募分を含む) |
想定ベースの時価総額 | 約244.8億円 |
幹事団 | SMBC日興証券(主幹事) 野村證券 みずほ証券 大和証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 岡三証券 SBI証券 香川証券 楽天証券 |
委託見込 | 岡三オンライン SBIネオトレード証券 auカブコム証券 |
ティムス(4891)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました
想定発行価格670円を基に吸収金額を算出すると約25.0億円となり、オーバーアロットメントを含めると約28.7億円規模の上場となります。上場承認時の国内募集は約10.6億円になりOAを全て含めると約14.4億円になります。
同社は2005年に東京農工大学発酵学研究室(蓮見惠司教授)の医薬シーズを実用化することを目的に設立されています。
同研究室は、遠藤章博士の研究の流れを汲むもので、微生物由来の生理活性物質の探索研究を中心とし、その作用解析や薬効評価などを行っています。
基本的な事業モデルは、医薬品開発における研究段階から早期臨床段階までを行い、後期臨床段階からは国内外の製薬会社と提携して開発製造販売権を付与し、提携先製薬会社から開発一時金(マイルストーン)とロイヤリティ収入等を得る構造となっています。
また、疾患分野によっては、同社が後期臨床段階及び承認取得、さらには販売まで手掛けることも視野に入れているそうです。
※有価証券届出書引用
同社はアカデミア等の研究機関等の研究開発成果を基盤とした医薬品候補物質の研究開発を行い、グローバルの医薬品市場に展開することを主要事業内容とした「創薬型バイオベンチャー企業」になります。
パイプラインは、ヒトが体内に有する酵素の一つである可溶性エポキシドハイドロラーゼ(sEH)を標的とした医薬品候補物質により構成されています。
sEHを阻害することで「抗炎症作用」が得られることが分かっており、様々な炎症性疾患を対象としてsEH阻害剤の開発を進めているそうです。
※有価証券届出書引用
同社のリードパイプラインである「TMS-007」は、sEH阻害による抗炎症作用に加えて、プラスミノーゲンに作用することによる血栓溶解作用も有しているそうです。
そのため急性期脳梗塞を対象とした臨床開発が進められています。
また、後続パイプラインの「TMS-008」様々な炎症性疾患を適応として開発が進められています。現在、非臨床試験を実施中となっています。
その他にもパイプラインはありますが、臨床開発段階(前期第Ⅱ相臨床試験終了)のTMS-007に期待されています。
※有価証券届出書引用
TMS-007は2018年6月に米国バイオジェン社とオプション契約を締結しています。
目論見によれば2018年6月の契約締結時に400万ドル、2021年5月のオプション行使時に1,800万ドルを既に受領しているそうです。そのため一時黒字化しているようですね。
今後の開発状況及び販売状況に応じて、最大3億3,500万ドルのマイルストーン一時金と、製品売上高に応じて一桁%台後半~10%台前半の段階的料率によるロイヤリティを受領する可能性があるそうです。
また、創薬の詳しい内容については目論見をご確認ください。
上場後は「TMS-007」の基礎固めを行い、日本を中心としたアカデミアの創薬シーズを積極的に導入してパイプラインを拡充していくことで今後の成長を実現していく予定だそうです。
ティムス(4891)の株主状況とロックアップについて調べました
会社設立は2005年2月17日、東京都府中市府中町一丁目9番地に本社を構えます。社長は若林拓朗氏(1967年2月26日生まれ)、株式保有率は新株予約権で1.13%(400,000株)です。従業員数13人で臨時雇用者1人、平均年齢42.8歳、平均勤続年数2.6年、平均年間給与7,035,000円です。
セグメントは医薬品開発事業の単一セグメントになります。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
大和日台バイオベンチャー投資事業有限責任組合 | 4,323,320株 | 12.22% | ○ |
三菱UFJキャピタル4号投資事業有限責任組合 | 3,870,320株 | 10.94% | ○ |
THVP-1号投資事業有限責任組合 | 2,907,360株 | 8.22% | ○ |
ニッセイ・キャピタル9号投資事業有限責任組合 | 2,711,080株 | 7.66% | ○ |
ニッセイ・キャピタル7号投資事業有限責任組合 | 2,350,000株 | 6.64% | ○ |
Xseed High Growth 投資事業有限責任組合 | 2,340,000株 | 6.61% | ○ |
MSIVC2016V投資事業有限責任組合 | 1,579,200株 | 4.46% | ○ |
上位株主には180日間(2023年5月20日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。
ベンチャーキャピタルの他、個人株主もロックアップの対象です。
ロックアップ率は高いと言えそうですが需給不安は否めないと思います。また、親引けはありません。
ティムス(4891)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。仮条件範囲が640円~670円に決定し吸収金額は最大で約28.7億円、時価総額約244.8億円になります。想定発行価格が仮条件の上限に決定しています。
グローバルオファリング銘柄となるため日本国内だけの吸収金額を計算すると約14.4億円になります。最終的な内訳は11月14日に決定する予定となっています。
脳梗塞系のバイオベンチャー株は他のバイオ株よりも高く評価される傾向にあり、ティムスも注目されているようです。
類似企業のサンバイオ(4592)やステムリム(4599)に比べるとパイプラインが少なく、急性期脳梗塞を対象としていることで両社よりも評価が低くなるようです。
大手情報では買い気配で始まる可能性が高いとの観測が出ています。日程的には単独上場のため一時的に盛り上がることは可能だと思います。
ベースフードの上場日からも1週間程度離れているため短期資金が向かってもおかしくありません。
修正値700円~750円
再修正750円~800円
直前予想800円
※注目度A、幹事引受価格616.40円に決定、海外配分上乗せで予想値引上げ
業績を確認すると2023年2月期の単独予想を確認することができました。営業収益は0円になり前期19.46億円から収益なしとなります。
経常利益は-12.30億円となり前期10.79億円から赤字転落になります。四半期利益は-12.30億円となり前期10.76億円から完全赤字となる予想が出ています。
公開価格が670円決定の場合の指標はEPS-36.16なのでPERは算出不可、BPS54.14からPBR12.38倍になります。配当や株主優待の設定は現時点でありません。
米国バイオジェン社とは総額で約500億円弱のマイルストーン契約を行っているため、実力が認められているとも言えそうです。
ただ同社はパイプラインが少ないため中長期的には収益が伸び悩む可能性もありそうです。研究開発費用や人件費など今後も乗り越えなければならない課題があります。
沿革では「TMS-007」が2021年8月に日本において前期第Ⅱ相臨床試験を終了させるところまで来ています。
IPO的な材料では「日本市場の吸収額が少ない」「一定の話題性がある」「VC売出株が少ない」このような材料から初値利益が見込めるようです。
とは言え、VC保有株や新株予約権などの売り圧力も上場後に存在するため、株価が大きく上昇する可能性は低そうです。ロックアップは180日間後に解除されます。
短期的な需給に期待するIPOかもしれません!
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
SMBC日興証券(主幹事) | 1,111,700株 | 80.04% |
野村證券 | 41,600株 | 2.99% |
みずほ証券 | 41,600株 | 2.99% |
大和証券 | 41,600株 | 2.99% |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 41,600株 | 2.99% |
岡三証券 | 41,600株 | 2.99% |
SBI証券 | 41,600株 | 2.99% |
香川証券 | 20,800株 | 1.50% |
楽天証券 | 6,900株 | 0.50% |
SMBC日興証券主幹事でVC案件と考えると当選しやすいと思います。
これから年末に向けてIPOが多くなるタイミングなのでIPOに当選した後にキャンセルすることは避けたいはずです。IPOに当選した後にキャンセルするとペナルティーがありますからね。
また、申込スタンスは仮条件が発表された後に考えたいと思います。11月上場は基本的に少ないため投機的な資金が向かう可能性も考えられます。
株単価も低いため短期資金が向かう可能性は高そうです。SMBC日興証券のIPOルールは下記記事にまとめています。
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類似企業のPERやPBRを調べました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
サンバイオ(4592) | PER-倍 | PBR14.12倍 |
ヘリオス(4593) | PER-倍 | PBR3.41倍 |
ステムリム(4599) | PER236.47倍 | PBR5.61倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
2019年3月29日~2027年3月28日 | 454,000株 | 100円 |
2022年5月30日~2030年5月29日 | 935,680株 | 150円 |
2023年2月16日~2031年2月15日 | 240,000株 | 150円 |
2023年2月27日~2031年2月26日 | 644,000株 | 150円 |
ストックオプション(新株予約権)は1,389,680株が上場時に行使期限を迎えます。
発行済株式総数33,102,080株に対する新株予約権の割合は6.87%に相当します。新株予約権による潜在株式数は2,273,680株です。
ベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合の割合は76.6%と高水準になっています!
ティムス(4891)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ
ティムスIPOは投機的な資金を呼び込むことができれば面白いと思います。事業自体の評価は大手情報を参考にしたいと思います。これまでのバイオ株と比べると業績への不安が低いかもしれません。
※ティムス公式サイト引用
リードパイプラインのTMS-007は脳梗塞治療薬としての開発が進められています。
競合他社の研究開発が脳梗塞領域で同社より先を行く可能性もあり、バイオ株への投資はリスクが高くなります。IPOにおいてもバイオ株はリスクが高い投資だと考えてよいと思います。
TMS-007は上手くいっているようですが、他のパイプラインが必ず成功するとは言えないため中長期的に投資するリスクはあると思います。それがバイオ株ですからね。
逆に株価が数倍~数十倍になる可能性も残されています。
今回は低単価で売出株も少ないためIPOだけは成功か?と良い方向に考えることもできそうです。ただ地合いの影響を大きく受けそうですね。
Funvestに口座開設すると1,000円分のAmazonギフト券が貰えます。投資を行うとさらに1,500円分のアマギフが追加され合計2,500円分貰えます!
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