クリングルファーマ(4884)のIPOが東証マザーズに新規上場承認されたので詳しくご紹介したいと思います。今回も業績や上場規模などを確認し、IPO抽選に参考になるような情報を評価してみたいと思います。


主幹事は野村證券が務め公開株数580,000株、オーバーアロットメント87,000株です。上場規模は想定発行価格950円から計算すると約6.3億円になります。


クリングルファーマ(4884)IPOの上場と初値予想
※クリングルファーマ公式サイト引用


上場規模は小さめですが、想定発行価格算出の時価総額は約40.2億円です。株数を絞って上場を行うのかな?と感じています。


HGF(肝細胞増殖因子)タンパク質を用いて研究を行い、脊髄損傷の急性期に有効な治療薬の開発を行う企業のようです。


第Ⅲ相実施中の臨床試験が既にあるそうですね。もちろん赤字体質の企業になり今期は売上がようやく発生するそうです。目論見では14期~17期の売上がないことを確認できます。


クリングルファーマ(4884)IPOの上場基本データと引受幹事

項目上場基本データ
市場マザーズ
業種医薬品
事業内容 HGF(肝細胞増殖因子)タンパク質を用いた難治性疾患の治療薬の研究開発
上場日12月28日
ブックビルディング期間12月10日~12月16日
想定価格950円
仮条件950円~1,000円
公開価格1,000円(公開価格1.48倍)
初値結果1,480円
企業情報https://www.kringle-pharma.com/
監査人EY新日本有限責任監査法人


【手取金の使途】

手取概算額498,920千円については、「1新規発行株式」の(注)4.に記載の第三者割当増資の手取概算額上限76,038千円と合わせて、以下のとおり、継続して研究開発を行うための運転資金に充当する予定であります。

脊髄損傷(SCI)急性期パイプラインの研究開発費用(第Ⅲ相試験)として2021年9月期に237,259千円、2022年9月期に217,515千円、2023年9月期に21,451千円、2024年9月期に98,733千円を充当する予定であります。

なお、上記調達資金は、実際の充当時期までは、安全性の高い金融商品等で運用する方針であります。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



項目株数データ
公募株数580,000株
売出株数0株
公開株数(合計)580,000株
オーバーアロットメント87,000株
上場時発行済み株数4,227,700株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約40.2億円
幹事団野村證券(主幹事)
SBI証券
SMBC日興証券
楽天証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
いちよし証券
東洋証券
エース証券
岡三証券
委託見込岡三オンライン
auカブコム証券
DMM.com証券


クリングルファーマ(4884)上場評判とIPO分析

想定発行価格950円を基に吸収金額を算出すると約5.5億円となり、オーバーアロットメントを含めると約6.3億円規模の上場となります。


クリングルファーマ(4884)IPOの業績
※有価証券届出書引用


クリングルファーマは、難治性疾患、すなわち「症例数が少なく、原因不明で、治療法が確立しておらず、生活面への長期にわたる支障がある疾患」に対する治療薬の研究開発を目指す大学発バイオベンチャーとして設立されました。


設立後、中村敏一氏の発見したHGF(肝細胞増殖因子)タンパク質を開発パイプラインとして導入し、組換えDNA技術を応用したタンパク質(組換えタンパク質)の製造法の確立、非臨床試験の実施を経て、欧米及び日本における臨床試験を複数実施しています。


その結果、組換えヒトHGFタンパク質の医薬品としての安全性を確認し、脊髄損傷急性期を対象とする臨床試験においては有効性を示唆する結果、POC(Proof Of Concept)を得ることができたそうです。


従来の創薬バイオベンチャーの戦略としては、ここまでの研究成果を導出して製薬企業に開発・製造販売を委ねるのが常ですが、同社は組換えヒトHGFタンパク質を医薬品として確実に社会に提供することを第一の使命と考え、自社で開発を続け、医薬品の製造販売承認を得る方針で事業を進めているそうです。


クリングルファーマ(4884)上場評判
※有価証券届出書引用


同社がが想定している事業モデルを上記に示します。同社は対象疾患や提携先に応じてA、B、Cを組み合わせたハイブリッド型の事業モデルを志向しています。


その中でも、臨床試験の成果をより確実に医薬品として社会実装するため、自社での医薬品製造販売承認申請を行うことを基本方針とします。


臨床段階のパイプラインについては、脊髄損傷急性期と声帯瘢痕はAとBのハイブリッド(自社開発と販売提携)、ALSと急性腎障害はBによる事業化を目指しています。


また、クラリス・バイオセラピューティクス社への原薬供給はCに該当します。


クリングルファーマ(4884)収益の種類
※有価証券届出書引用


現在、同社が保有する創薬シーズは組換えヒトHGFタンパク質であり、組換えヒトHGFタンパク質を有効成分とした複数の製剤を用いて、各種臨床試験を実施しています。


HGFは当初、肝細胞の増殖を促進する増殖因子として日本で発見されました。増殖因子は細胞の表面に存在する受容体と結合することにより、細胞の核(遺伝子)にシグナルを伝達し、細胞の増殖開始のスイッチをオンにする物質です。


もともと体の中で働く物質であることから組換えタンパク質として製造が可能になれば、高い安全性と効果を併せ持つ医薬品になる可能性があります。


クリングルファーマ(4884)IPOのパイプライン開発状況
※有価証券届出書引用


クリングルファーマ(4884)の企業財務情報と配当性向

回次第17期第18期
決算年月2018年9月2019年9月
売上高
経常損失△64,134△301,630
当期純損失△64,554△302,050
資本金100,000100,000
純資産額518,443216,393
総資産額566,928251,868
1株当たり純資産額△280.06△570.19
1株当たり当期純損失△62.01△290.14
自己資本比率(%)91.485.9
自己資本利益率(%)
株価収益率(倍)
配当性向(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー△202,416△338,801
投資活動によるキャッシュ・フロー1
財務活動によるキャッシュ・フロー199,274
現金及び現金同等物の期末残高505,278166,476
※数値は千円単位



第19期第3四半期累計期間(2019年10月01日~2020年6月30日)
  • 売上高61,566千円
  • 営業損失222,923千円
  • 経常損失166,046千円
  • 四半期純損失167,163千円



【第19期第3期のチェックポイント!】

売上高61,566千円は、クラリス・バイオセラピューティクス社との原薬供給契約による契約売上になるそうです。

脊髄損傷(SCI)では、急性期慶應義塾大学整形外科中村雅也教授を治験調整医師とする治験実施体制のもとで、2014年6月より第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始し、当該治験により安全性を確認するとともに有効性を示唆する結果を得ています。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、2016年5月より東北大学神経内科青木正志教授による医師主導治験として開始された第Ⅱ相試験について、東北大学病院及び大阪大学医学部附属病院において患者組入れを継続しています。

声帯瘢痕(VFS)では、声帯粘膜が硬く変性する疾患であるVFSを対象とした医師主導による第Ⅰ/Ⅱ相試験によって、KP-100製剤の声帯内投与の安全性が確認され、声帯の機能回復を示す症例も確認されたとあります。


クリングルファーマ(4884)の株主状況とロックアップについて

会社設立は2001年12月21日、大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番15号彩都バイオインキュベータ207に本社を構えます。社長は安達喜一氏(1967年2月27日まれ)、株式保有率は4.16%(171,900株)です。


従業員数10人で臨時雇用者0人、平均年齢43.0歳、平均勤続年数2.9年、平均年間給与4,248,000円です。


セグメントは医薬品開発事業の単一セグメントになります。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
日本全薬工業株式会社500,840株12.12%
慶應イノベーション・イニシアティブ1号投資事業有限責任組合470,460株11.38%
DBJキャピタル投資事業有限責任組合319,800株7.74%
THVP-1号投資事業有限責任組合226,660株5.48%
CYBERDYNE株式会社200,000株4.84%
OUVC1号投資事業有限責任組合200,000株4.84%
安達 喜一171,900株4.16%
※株主上位7名の状況


【ロックアップについて】

本募集に関連して、貸株人である日本全薬工業株式会社、並びに当社株主である慶應イノベーション・イニシアティブ1号投資事業有限責任組合、DBJキャピタル投資事業有限責任組合、THVP-1号投資事業有限責任組合、CYBERDYNE株式会社、~省略~ 及びその他5名は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年3月27日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びその売却価格が「第1募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く)を行わない旨合意しております。

当社株主である安達喜一及び松浦裕は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年3月27日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



上位株主には90日間(2021年3月27日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率は発行価格の1.5倍になります。


代表の安達喜一氏には90日間のロックアップが設定されています。また、第三者割当等を受けた株主には継続保有の確約を行っているそうです。ベンチャーキャピタルや関係先の企業名が確認できます。


親引けはありません。


クリングルファーマ(4884)IPOの初値予想と幹事引受け株数

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


最近のバイオ株には珍しく想定発行価格950円を下限として仮条件が950円~1,000円に引上げられています。人気が見込めるというよりも直近の増資引受価格が1,500円と4,000円になっていることが大きな要因になっているようです。


また既存上場のバイオベンチャー企業の中では時価総額が低く、公開価格割れを何とか防ぎたい狙いがあるのかもしれません。上場規模は約5.5億円~6.3億円と極小です。


大手初値予想1,400円~1,500円
修正値1,100円~1,400円

※注目度C


2021年9月期の業績予想は売上2.06億円となり前期比55.9%減、経常利益-10.15億円となり前期-1.16億円から数倍の赤字額となります。上場で得た資金が脊髄損傷急性期パイプラインの研究開発費用(第Ⅲ相試験)にも利用されるそうです。


四半期利益は-10.17億円となり前期-1.17億円から赤字拡大予定です。EPS-248.73となりPERは算出不可、BPS398.27なのでPERは2.51倍になります。配当や株主優待はありません。


某企業の試算では株価1,500円あたりが狙えるようですが、ロックアップ解除が外れる発行価格1.5倍水準になるためひとまずはこの価格を目指す展開となりそうです。


バイオ株が好きな投資家もいる事からファンペップ(4881)とは違った意味で注目されそうです。バイオ株の上場と聞くと不参加が賢明だと思いますが、人気が見込めると言うことで参戦してみたいと思います。


全力参戦をしても野村證券主幹事のため当選確率は低そうです。ただ念を押すかのように投資家の買い疲れも予想されています。


幹事名割当株数引受割合
野村證券(主幹事)464,000株80.00%
SBI証券29,000株5.00%
SMBC日興証券29,000株5.00%
楽天証券17,400株3.00%
三菱UFJモルガン・スタンレー証券17,400株3.00%
いちよし証券5,800株1.00%
東洋証券5,800株1.00%
エース証券5,800株1.00%
岡三証券5,800株1.00%


IPOチャレンジポイント狙いでSBI証券からの申込みは行います。ついでに野村證券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券なども行います。


SMBC日興証券だと当選後にキャンセルしたらペナルティーが発生しますが、今回はIPOがない時期に入るため申込者が多そうですね。





auカブコム証券からもIPO抽選に参加できると思います。引受株数は少ないと思いますが、申込み者も少ないと思います。


あとは岡三証券と岡三オンラインの両方から攻めてみたいと思います。岡三証券は抽選に資金が必要です。岡三オンライン証券は前受け金が不要なのでチャレンジしてみたいと思います。






類似企業のPERやPBRを調べてみました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
そーせいグループ(4565)PER325倍PBR3.07倍
ナノキャリア(4571)PER-倍PBR2.86倍
シンバイオ製薬(4582)PER-倍PBR2.49倍
※2020年12月10日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2019年10月20日~2027年9月19日230,000株260円
2020年6月03日~2028年5月02日20,000株260円
2022年7月30日~2030年6月30日217,000株750円


ストックオプション(新株予約権)は250,000株が行使期限に入ります。


この他、その他の新株予約権等の状況で18,000株、発行価格260円の確認ができました。こちらは「2019年10月20日~2027年9月19日」が行使期限となっています。社外協力者3名に付与されています。


ツイッターでもIPO記事のチェックができます!

最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも6年目突入!安定の利益でブログも15年目に突入。


クリングルファーマ(4884)IPOの評価と申し込みスタンス

クリングルファーマのIPOが2020年最後を飾るIPOになりそうです。受渡日を考えた場合に最終ですよね。


クリングルファーマ(4884)IPOの評価
※クリングルファーマ公式サイト引用


クリングルファーマはバイオ株なので基本的に不人気だと思います。しかしオーラスIPOは祭り化するため急騰や急落が見れるかもしれません。


現段階では参加のスタンスです。2020年12月25日に上場するファンペップ(4881)の影響をもろに受けると思います。内容は詳しく見てみないとわかりませんが、内容よりもイベント化しそうな気がします。


新型コロナウイルス感染症が猛威を振るった2020年のオーラスがバイオ株なんですね。なんだか感慨深いですね。


と言うことで現段階では吸収額の小ささから参加してみようと考えています。ファンペップへの参加意欲は低いままです!


クリングルファーマIPO幹事入りしました! 【私はネット口座だけで当選しています】


SMBC日興証券

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