西部技研(6223)のIPOがスタンダード市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。大型の上場になるためよく考えて投資を行いたいと思います。
主幹事はSMBC日興証券が務め公開株数5,270,700株、オーバーアロットメント790,600株です。上場規模は想定発行価格3,250円から計算すると約197.0億円になります。
※西部技研公式サイト引用
同社のデシカント除湿機は製薬や食品製造工程などでドライ環境を提供することで、製造途中で発生するロスを削減し、製品自体の品質を維持することが可能になるそうです。
また、自動車製造や造船、半導体製造の工程で排出される有害なVOCのみを吸着・濃縮するVOC濃縮装置により、排出ガスを効率的に浄化処理することが可能となっています。
世界的に見れば同社製品はバカ売れだと思いますが、競合などが気になります。
創業者の隈利實氏は九州大学工学部に研究助手として勤務し、実験や論文作成の実験室から脱却し実際に世に役立つ製品の開発を行いたいと考え隈研究所を創業したそうです。
大学勤務を行いながら企業からの研究を受託していたそうです。チャレンジャーみたいですね!
西部技研(6223)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました
項目 | 上場基本データ |
上場日 | 10月03日 |
市場 | スタンダード市場 |
業種 | 機械 |
事業内容 | デシカント除湿機やVOC濃縮装置等の製造、販売、据付・保守等のサービス |
ブックビルディング | 9月19日~9月22日 |
想定価格 | 3,250円 |
仮条件 | 2,500円~2,600円 |
公開価格 | 2,600円 |
初値結果 | 2,687円(公開価格3.35倍) |
企業情報 | https://seibu-giken.com/ |
監査人 | 有限責任監査法人トーマツ |
手取金の使途 |
|
項目 | 株数データ |
公募株数 | 1,930,000株 |
売出株数 | 3,340,700株 |
公開株数(合計) | 5,270,700株 |
オーバーアロットメント | 790,600株 |
上場時発行済み株数 | 20,500,000株 ※公募分を含む |
想定ベースの時価総額 | 約666.3億円 |
幹事団 | SMBC日興証券(主幹事) 野村證券 FFG証券 みずほ証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 |
委託見込 | auカブコム証券 DMM.com証券 |
西部技研(6223)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました
想定発行価格3,250円を基に吸収金額を算出すると約171.3億円となり、オーバーアロットメントを含めると約197.0億円規模の上場となります。同社グループは西部技研と連結子会社9社の合計10社で構成されています。デシカント除湿機やVOC濃縮装置等の製造、販売、据付工事等のサービスを主な事業として取り組んでいます。
1965年に前身となる株式会社西部技術研究所を立ち上げ、1974年に連続ハニカム成形技術を確立したそうです。
シート状の素材と波形の素材を交互に積層接着して形づくられるのが、同社グループ製品のコアとなるハニカム積層体です。
※有価証券届出書引用
ハニカム積層体とはダンボールの板紙のようなものを何層にも重ねて作る構造体で、断面が蜂の巣に似ていることから一般的にハニカムと呼ばれています。
このハニカム積層体は空気抵抗が少なく、強度に優れ、表面積が広いという3つの特徴を有しています。
同社のコア技術は、多くの素材をハニカム状に加工できることと、そのハニカムに様々な機能剤を添着し特別な機能を持たせることです。
この技術を製品の心臓部となるハニカムロータに用い、デシカント除湿機やVOC濃縮装置、全熱交換器等を世の中に提供しています。
※有価証券届出書引用
デシカント式除湿機は、シリカゲルやゼオライト等の吸着材を用いてハニカム内部に湿気を吸着させて空気を除湿します。
空気を冷却する必要がないため、低温時や空気中に水分が少ない低露点環境においても効率的に除湿することができるのが特徴です。
湿度コントロールを必要とする食品・製薬工場だけでなく、世界的に需要が急増中のリチウムイオン電池、二次電池や有機ELといった先端技術の製造工程にも採用されているそうです。
この他、美術館・博物館、スーパーマーケット、室内アイススケートリンク、発電所や船舶輸送でも使われ用途は多岐にわたります。
※有価証券届出書引用
VOC濃縮装置は、塗料から発生する大気汚染の原因となるベンゼンやトルエン等を総称した揮発性有機化合物(VOC)を選択的にVOC濃縮ロータに吸着させ、排出ガスの無害化を可能にします。
1990年代から米国を始め、欧州や中国の産業化に伴い大気汚染防止のための厳しい環境規制が施行され始めました。現在はより厳しい基準となっています。
そのため、大気汚染に関連する法規制が厳しい国々や、大気汚染が深刻化する新興国で同社製品が選ばれる可能性があるようです。
現時点で世界30ヶ国以上の顧客があるそうです!!
西部技研(6223)の株主状況とロックアップについて調べました
会社設立は1965年7月22日、福岡県古賀市青柳3108番地3に本社を構えます。社長は隈扶三郎氏(1964年5月01日生まれ)、株式保有率は23.42%(4,350,000株)です。隈扶三郎氏が実質的に出資する株式会社グリーンフューチャーが保有する株式数は除いています。
従業員数348人で臨時雇用者36人、平均年齢41.1歳、平均勤続年数11.9年、平均年間給与5,322,000円です。連結従業員数は738人で臨時雇用者は64人です。
セグメントは空調事業の単一セグメントになります。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
㈱グリーンフューチャー | 5,000,000株 | 26.93% | ○ |
隈 扶三郎 | 4,350,000株 | 23.42% | ○ |
公益財団法人隈科学技術・文化振興会 | 3,000,000株 | 16.16% | ○ |
西部技研社員持株会 | 2,012,600株 | 10.84% | ○ |
下薗 誠 | 750,000株 | 4.04% | ○ |
平川 美和 | 411,400株 | 2.22% | ○ |
隈 優作 | 400,000株 | 2.15% | ○ |
上位株主には180日間(2024年3月30日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。
親引けは「Seiga Japan Fund」と「Seiga Japan Long Opportunities Fund」の2社で30億円に相当する株式を上限として行われる予定です。
また、西部技研社員持株会にも1.01億円要請する予定となっています。
親引けが削減されました。Seiga(セイガ)が120万株から100万株に、西部技研社員持株会が4万400株から3万9900株に上限を変更しています。
西部技研(6223)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。仮条件範囲が2,500円~2,600円に決定し吸収金額が最大約157.6億円、時価総額は約533.0億円になります。
想定発行価格3,250円から大幅に下方修正され違和感ある状況となっています。中長期的に保有するのであれば面白いかもしれませんが初値売却益を狙うのであればスルーしたほうがよさそうです。
2022年12月期の海外売上比率が79.9%になり、中国販売が45.2%となっているため中国リスクが現状で大きいと感じます。
大企業でも採用される産業用空調設備のため技術的には高いと考えられます。
某紙では上場後の株価に期待しているようなので資金的な余力がある方、又はリスクを許容できる方には面白い銘柄みたいですね。
修正値2,500円~2,700円
最終予想2,500円
※注目度A
業績を確認すると2023年12月期の連結予想を確認することができました。売上271.47億円となり前期比9.07%増、経常利益52.67億円となり前期比10.12%増となります。
四半期利益は40.75億円となり前期比4.27%増を予想しています。
公開価格が2,600円決定の場合の指標はEPS213.96からPER12.15倍、BPS1,330.06からPBR1.95倍になります。配当や株主優待の設定は現時点でありません。
上場規模は大きめとなっていますが今期業績は好調のようです。来期業績がどのようになるのか現時点でわからないことがリスクですよね。
大手予想ではコーナーストーン投資家を最初から連れてきたことを好感しているようでした。公募組は無理して申込まなくても良さそうです。
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
SMBC日興証券(主幹事) | 4,849,100株 | 92.00% |
野村證券 | 263,500株 | 5.00% |
FFG証券 | 52,700株 | 1.00% |
みずほ証券 | 52,700株 | 1.00% |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 52,700株 | 1.00% |
スタンダード市場で約197億円の上場規模は大きいですね。IPO的には人気見込みが低いと考えています。
連結の業績水準はそれなりだと思いますが初値で利益が見込めるのか?と考えています。この銘柄は大手予想を確認してから投資を検討したいと思います。
IPOに当選するには主幹事のSMBC日興証券から抽選申込みを行えば良いと思います!
ネット証券が幹事に入っていない違和感もあります。大人の事情で早売りを抑制なのか?とも感じます。とりあえず承認段階では様子見とします。
SMBC日興証券のIPOルールは下記記事にまとめています。銘柄毎に資金が拘束されるため当選しやすいと思います。
SMBC日興証券のIPO抽選ルールについて徹底的に調べました。個人的にも過去の当選履歴から一番IPOに当選できている証券会社かもしれません。IPO取扱い数も業界最高水準のため、口座がない方は早めに作っておいたほうがよいと …
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類似企業のPERやPBRを調べました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
新日本空調(1952) | PER9.88倍 | PBR0.99倍 |
ダイキン工業(6367)/td> | PER27.31倍 | PBR3.23倍 |
新晃工業(6458) | PER10.92倍 | PBR0.95倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
該当事項なし | -株 | -円 |
ストックオプション(新株予約権)は該当事項なしとなります。
西部技研(6223)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ
西部技研のIPOは判断が難しいと考えています。個人投資家にはあまり人気がないと思います。しかも値嵩株ですからね。
※西部技研公式サイト引用
上場後は欧州や米国、中国などでデシカント除湿機の販売を注力するそうです。また、VOC濃縮装置ではグローバル市場リーダーを目指すそうです。
その他にも、外気処理のイノベーションによる全熱事業の活性化や新たな技術の商業化の可能性も検討していくようです。競合他社は存在します。
海外販売の場合は為替が絡んできます。この辺りも気になるところですよね。
また、デシカント除湿機とVOC濃縮装置の販売先で最も大きい市場は中国だそうです。今後の経済摩擦などが心配されそうです。
個人で考えるにはグローバル過ぎる企業だと感じます。大手情報などに頼りたいと思います!
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