モビルス(4370)のIPOがマザーズに新規上場承認されたので詳しくご紹介したいと思います。今回も業績や上場規模などを確認し、IPO抽選に参考になるような情報を評価してみたいと思います。


主幹事は大和証券が務め公開株数1,101,800株、オーバーアロットメント165,200株です。上場規模は想定発行価格1,060円から計算すると約13.4億円になります。


株数が多いため公募組は狙えるIPOだと思います!


モビルス(4370)IPOの初値予想
※モビルス公式サイト引用


モビルスの事業はSaaSプロダクトになり金融、メーカー、運輸、情報通信、自治体など様々な業種や業態で導入され、3年連続でチャットボット市場シェア1位となっています。


収益方法はSaaSサービスから生み出されるサブスクリプション型のリカーリングレベニューを重視した経営を行っています。


IPO的には一見わかりにくい事業でサブスク収益型となっているため人気が見込めそうです。ただ株主を確認すると換金のために上場(IPO)させる感が伝わってきます。


業績を確認すると売上は拡大していますが赤字となる期も多いようです。話題性から買われる展開だと思いますが、ロックアップが公開価格の1.5倍以上になると外れるためセカンダリーはドキドキでしょう。


モビルス(4370)IPOの上場基本データと引受幹事

項目上場基本データ
市場マザーズ
業種情報・通信業
事業内容コンタクトセンター向けSaaSプロダクト(モビシリーズ)などのCXソリューションの提供
上場日9月02日
ブックビルディング期間8月18日~8月24日
想定価格1,060円
仮条件1,060円~1,280円
公開価格1,280円
初値結果1,830円(公開価格1.43倍)
企業情報https://mobilus.co.jp/
監査人PwC京都監査法人


【手取金の使途】

手取概算額368,600千円及び「1新規発行株式」の(注)5に記載の第三者割当増資の手取概算額上限174,112千円については、①当社SaaSプロダクトのバージョンアップ(新規機能追加等)のソフトウエア投資に394,712千円(2022年8月期312,000千円、2023年8月期82,712千円)、②借入金返済に148,000千円(2022年8月期48,000千円、2023年8月期100,000千円)に充当する予定。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



項目株数データ
公募株数360,000株
売出株数741,800株
公開株数(合計)1,101,800株
オーバーアロットメント165,200株
上場時発行済み株数5,570,844株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約59.1億円
幹事団大和証券(主幹事)
野村證券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券
SMBC日興証券
SBI証券
楽天証券
静銀ティーエム証券
極東証券
委託見込SBIネオトレード証券
DMM.com証券(PR)


モビルス(4370)上場評判とIPO分析

想定発行価格1,060円を基に吸収金額を算出すると約11.7億円となり、オーバーアロットメントを含めると約13.4億円規模の上場となります。


同社は主にコンタクトセンターに向けてSaaS(Software as a Service)と呼ばれるクラウド環境下で提供される独自ソリューションの提供を行っています。


また、顧客のROI(投資収益率)を実現する上で不可欠なコンサルテーションサービス、データ構築サービス及びカスタマイズ開発サービスなどを含むプロフェッショナルサービスを行っています。


従来の電話を中心とした人の労力に依存したサポートにおける様々な課題を解決し、顧客サポートの現場に携わる人々の助けとなるソリューションを開発し提供しているそうです。


様々な顧客インターフェースと、様々な支援機能をつなぐことで、カスタマーサービスのオペレーションをより効率化し、高度化することで、顧客サポートの現場の人々のストレスを軽減し、喜びを感じてもらえるようなコミュニケーションプラットフォームの展開を目指します。


モビルス(4370)上場評判と業績
※有価証券届出書引用


同社が提供するコンタクトセンターを対象としたチャットサポートシステム及びサービスは、以下の特徴があるそうです。


  1. 自動応答(ボット)と有人対応(オペレータ)とのシームレスなハイブリッド連携による効率化
  2. 独自開発したオペレーション支援AIによるオペレータや管理者の負荷軽減の実現
  3. コンタクトセンターの詳細状況を確認するためのKPIのモニタリング機能
  4. チャットボット向けAIの精度を左右する教師データメンテナンスを可能とする独自機能の提供及びデータ作成やメンテナンスのプロフェッショナルサービスの提供
  5. お客様のROIの最大化を追求するための、コンタクトセンターオペレーションに精通したコンサルタントによるROI改善コンサルティングサービス



モビルス(4370)IPOのチャットボット売上は3年連続シェアNO.1
※有価証券届出書引用


同社はSaaSプロダクトをクラウド環境で提供しています。クラウド環境でサービスを提供することにより、利用者が個別にシステム構築をするのではなく、同じシステムをインターネット経由で共同利用することで導入コストの低減が図られます。


また常に最新のソフトウエアを利用することが可能となります。


利用者は、ソフトウエアを利用開始時に購入するのではなく、利用期間に応じて月額利用料(もしくは年額利用料)を支払います。


提供する主な製品はモビエージェント、モビボット、モビキャスト、モビボイス、ビジュアルIVRとなっています。


モビルス(4370)IPOの販売実績と取引先
※有価証券届出書引用


同社のSaaSサービスは、商品の導入により顧客企業の期待するROIを達成することを目標に開発されています。


各企業において課題は多様であるため、各企業の固有の状況においてもROIの最大化を達成するために、SaaSサービスの提供のみではなく初期導入サポートやカスタマイズ開発、オペレータおよび管理者向けトレーニング、コンサルティング、KPI分析サポート、AI教師データ作成、PDCA支援などのサービスを提供しています。


将来的な商品化や新たなビジネスに繋がる可能性のあるシステム開発については、新たなビジネスの機会を創出する目的のもとコミュニケーション領域を中心とした受託開発を行っています。


企業の持っているまだ具現化できていない要望を、最新のAPIやフレームワークを用いて実現するそうです。


モビルス(4370)の企業財務情報と配当性向

回次第8期第9期
決算年月2019年8月2020年8月
売上高741,094952,657
経常利益又は経常損失△88,84554,645
当期純利益又は当期純損失△103,98074,504
資本金90,00090,000
純資産額723,3521,251,518
総資産額973,0231,644,761
1株当たり純資産額154.25240.18
1株当たり当期純利益は当期純損失△22.1715.53
自己資本比率(%)74.376.1
自己資本利益率(%)7.5
株価収益率(倍)
配当性向(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー△70,372197,027
投資活動によるキャッシュ・フロー△147,618△210,364
財務活動によるキャッシュ・フロー35,861539,437
現金及び現金同等物の期末残高552,1961,078,296
※数値は千円単位



第10期第3四半期累計期間(2020年9月01日~2021年5月31日)
  • 売上高は899百万円
  • 営業利益は105百万円
  • 経常利益は119百万円
  • 四半期純利益は139百万円



【第10期第3期のチェックポイント!】

主要事業のSaaSサービスは、コアプロダクトである「モビエージェント」が順調にユーザー企業数を伸ばしています。金融やメーカー、サービスなど業界を問わず採用されています。また、AI電話自動応答システム「モビボイス」は、BCP(事業継続計画)対策やバックオフィス業務の効率化の一環などの背景からユーザー企業が拡大しているそうです。

2021年5月末時点でSaaSプロダクトの契約数は209件となり前年対比163%と好調のようです。


モビルス(4370)の株主状況とロックアップについて

会社設立は2011年9月16日、 東京都品川区西五反田三丁目11番6号サンウエスト山手ビル5階に本社を構えます。社長は石井智宏氏(1973年12月28日まれ)、株式保有率は4.50%(258,000株)です。


従業員数71人で臨時雇用者10人、平均年齢37.8歳、平均勤続年数2.6年、平均年間給与5,725,000円です。


セグメントはSaaSソリューション事業の単一セグメントです。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
ラン・ホアン1,783,524株31.12%
阮 明徳600,000株10.47%
三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合533,556株9.31%
エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社521,400株9.10%×
トランス・コスモス株式会社366,228株6.39%
グローバル・イノベーション・ファンドⅢ366,228株6.39%
石井 智宏258,000株4.50%
※株主上位7名の状況


【ロックアップについて】

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人である株式会社オウケイウェイヴ、ラン・ホアン、三菱UFJキャピタル5号投資事業有限責任組合、KSP4号投資事業有限責任組合、SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合、静岡キャピタル6号投資事業有限責任組合、アイテック阪急阪神戦略パートナーズ投資事業組合、SMBCベンチャーキャピタル4号投資事業有限責任組合及びCSAJスタートアップファンド投資事業有限責任組合、トランス・コスモス株式会社、LINE Ventures Japan有限責任事業組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目(2021年11月30日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及び売却価格が本募集等における発行価格又は売出価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う株式会社東京証券取引所取引での売却等を除く)を行わない旨を合意しております。

また、売出人である阮明徳、グローバル・イノベーション・ファンドⅢ、石井智宏、下地淳、株式会社文化放送、アニコム損害保険株式会社は、上場日後180日目(2022年2月28日)までの期間、主幹事会社の事前の書面による同意なしには普通株式の売却等は行わない合意がされています。

さらに新株予約権者の多くは180日目(2022年2月28日)までの期間、売却が行えないことになっています。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



上位株主には90日間(2021年11月30日まで)と180日間(2022年2月28日まで)のロックアップが付与されています。90日間分については発行価格(売出価格)の1.5倍以上で売却が可能になります。


親引けの設定はありません。


モビルス(4370)IPOの初値予想と幹事引受け株数

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


仮条件が上振れし想定発行価格を下限として1,060円~1,280円に決定しました。吸収金額は最大で16.2億円で時価総額は71.3億円になります。


同社のビジネスは比較的新しく、チャットボットをリリースする前から大手顧客と仕様などの検討を行った結果、3年連続シェア1位という結果になっているようです。


そして、一度黒字化すれば安定した利益が見込めるSaaS型のサービスを行っています。収益規模が小さいため現状では勢いがあるようですが、将来的には頭打ちとなる可能性もあるようです。


人工知能(AI)と有人(オペレータ)による対応を柔軟化し、人間の負荷軽減を行うビジネスです。


大手初値予想1,600円~2,000円
※注目度B


業績を確認すると2022年8月期の単独業績予想が出ています。売上15.06億円となり前期比23.65%増、経常利益2.82億円となり前期比125.6%増となります。主力事業のモビエージェントでユーザー数が伸びているそうです。


四半期利益は2.12億円となり前期比41.33%になります。指標はEPS38.16からPER33.54倍、BPS355.80からPBR3.60倍になります。


上場規模がやや大きめとなっていますが、ロックアップが外れる公開価格1.5倍の1,920円あたりで初値が付く予想を出している企業が多いようです。金額の算出は仮条件上限の1,280円で行っています。


ベンチャーキャピタル出資と創業者(ラン・ホアン)の売りが何処で出てくるのかが焦点のようですね。成長分野の企業となっていますが、売りたい株主が大勢いるパターンとなっています。


人気業態のため公開価格割れはないと予想している企業が多いようです!IT系は買われますからね。


幹事名割当株数引受割合
大和証券(主幹事)991,900株90.03%
野村證券49,500株4.49%
三菱UFJモルガン・スタンレー証券22,000株2.00%
SMBC日興証券16,500株1.50%
SBI証券11,000株1.00%
楽天証券5,500株0.50%
静銀ティーエム証券2,700株0.25%
極東証券2,700株0.25%


株数が多いため主幹事の大和証券狙いでよさそうです。また大和証券グループのCONNECT(コネクト)から当選者がでると期待できそうです。大和証券が主幹事を引受ける時は特に当選期待ができそうです。


IPOルールは下記記事でまとめています。口座数はまだ少ないと考えられます!




また、前受け金不要の野村證券は資金が乏しい方に強い味方になりそうです。当選後に入金を行えばよいですからね。


楽天証券は後期型抽選を採用しているため申込み忘れを行わないようにしましょう。しばらく前に私もIPOに当選できています!




不動産投資型クラウドファンディングを行うビクトリーファンドで口座開設キャンペーンが行われていました。8月末までAmazonギフト券が1,000円分貰えるため興味があればお勧めします。


利回り10%程度のファンド組成が人気のようです。平均だと4%~5%程度なので投資意欲が湧くようですね。キャンペーン内容は下記記事でまとめています。




類似企業のPERやPBRを調べてみました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
コラボス(3908)PER113.95倍PBR1.26倍
ユーザーローカル(3984)PER40.28倍PBR5.82倍
スカラ(4845)PER41.12倍PBR1.21倍
※2021年8月18日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2017年6月26日~2025年6月25日103,680株5円
2017年6月26日~2025年6月25日25,920株5円
2018年7月23日~2026年6月22日54,720株146円
2019年10月13日~2027年10月12日92,640株410円
2019年10月13日~2027年10月12日8,640株410円
2020年5月31日~2028年5月30日51,588株729円
2021年5月16日~2029年5月15日9,384株1,067円
2022年8月16日~2029年8月15日172,800株1,067円


ストックオプション(新株予約権)は346,572株が行使期限に入っています。


多くの既存株主は上場時に売却することはできないと思います。180日目(2022年2月28日まで)のロックアップ対象です。


また、ベンチャーキャピタル出資が多いため公開価格1.5倍以上は警戒が必要だと思います。


ツイッターでもIPO記事のチェックができます!

最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも6年目突入!安定の利益でブログも15年目に突入。


モビルス(4370)IPOの評価と申し込みスタンスまとめ

モビルスIPOは地合いが良ければ強烈に買われそうですが、現状だと初値2倍程度でしょうか。


上場規模が比較的小さいため公募組には魅力ある銘柄だと思います。年々解約率が低下していることからサービス内容も良くなっていると考えられます。


モビルス(4370)IPOの評価
※モビルス公式サイト引用


コンタクトセンターとは電話の他、チャットやメール等様々な手段があります。同社のコンタクトセンター向けCRMソリューション市場は緩やかに拡大基調が続き、2021年度予測では市場規模が5,285億円となる見込みだそうです。


国内のオペレータ対応のチャットサポートを利用したことがある消費者比率が6%とされており、米国47%や英国55%と比べると成長の余地があるそうです。


上場後は最先端のAIテクノロジーに対応した新しいサービスを開発し業績拡大につなげたいようです。AI自動対応・有人リモート対応可能なアバターでの接客を可能とするソリューションを開発中となっていました。


ベンチャーキャピタルの保有株式数は1,417,596株で発行済株式総数の27.2%に相当します。また、新株予約権に関する潜在株式の合計が519,372株あり、発行済株式総数の10.0%に相当するそうです。


シェアNO.1と言うことで注目されると思いますが、需要面の心配は多少あるかもしれません。公募組はIPO株を手に入れるだけですけどね!!

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