アイスコ(7698)のIPOがJASDAQに新規上場承認されたので詳しくご紹介したいと思います。今回も業績や上場規模などを確認し、IPO抽選に参考になるような情報を評価してみたいと思います。
主幹事は野村證券が務め公開株数533,000株、オーバーアロットメント79,900株です。上場規模は想定発行価格1,750円から計算すると約10.7億円になります。
地味系の企業となっていますが吸収額が低いため初値利益が狙えると思います!
※アイスコ公式サイト引用
設立から69年が経とうとしています。前身の相原冷菓店からだと約73年になります。長い歴史があり上場することを選択したようです。
前期売上は約367.3億円となり四半期利益が約1.4億円になります。決して収益性が良いとは言えませんが安定の売上げがあります。配当も行っているようです。
そして今期利益はコロナ需要により第三四半期段階で約5.7億円となっています。上場タイミングとしては良さそうですが個人投資家にはあまり好まれないでしょう。
早速内容を確認してみたいと思います!
アイスコ(7698)IPOの上場基本データと引受幹事
項目 | 上場基本データ |
市場 | JASDAQスタンダード |
業種 | 卸売業 |
事業内容 | アイスクリーム・冷凍食品(冷食)卸販売を行うフローズン事業及び生鮮食品スーパーの展開を行うスーパーマーケット事業の運営 |
上場日 | 4月08日 |
ブックビルディング期間 | 3月23日~3月29日 |
想定価格 | 1,750円 |
仮条件 | 1,750円~2,000円 |
公開価格 | 2,000円 |
初値結果 | 2,900円(公開価格1.45倍) |
企業情報 | http://www.iceco.co.jp/ |
監査人 | PwC京都監査法人 |
【手取金の使途】
手取概算額345,175千円については、「1新規発行株式」の(注)4.に記載の第三者割当増資の手取概算額上限128,639千円と合わせて、フローズン事業の拡大を見据えた設備投資資金として充当する予定であります。
具体的には、フローズン事業の販売網拡大に伴う配送用トラックの購入資金として、2022年3月期に227,500千円、2023年3月期に150,000千円を充当する予定であります。
また、残額につきましては、フローズン事業の拡大を見据えた新規物流拠点の開発の資金に充当する方針でありますが、具体化している事項はありません。
※有価証券届出書(新規公開時)引用
項目 | 株数データ |
公募株数 | 217,500株 |
売出株数 | 315,500株 |
公開株数(合計) | 533,000株 |
オーバーアロットメント | 79,900株 |
上場時発行済み株数 | 1,822,500株(公募分を含む) |
想定ベースの時価総額 | 約31.9億円 |
幹事団 | 野村證券(主幹事) SMBC日興証券 SBI証券 楽天証券 マネックス証券 |
委託見込 | SBIネオトレード証券 DMM.com証券 |
アイスコ(7698)上場評判とIPO分析
想定発行価格1,750円を基に吸収金額を算出すると約9.3億円となり、オーバーアロットメントを含めると約10.7億円規模の上場となります。事業への魅力よりも吸収額が低いことで利益が狙えそうです。同社はアイスクリーム・冷凍食品の卸売業を行う「フローズン事業」、食品スーパーマーケットの運営を行う「スーパーマーケット事業」を通して、食を通じた社会貢献を目標に、常にお客様に喜んでいただくことを目指して事業を行っているそうです。
フローズン事業は、関東及び東海エリアを中心に13拠点の物流センター・営業所と約300台の配送用のトラックを所有し、主にドラッグストア、食品スーパー等の小売店で販売されるアイスクリーム及び市販用冷凍食品の卸売を行っています。
特徴としてはドラッグストアなど、バックヤードに冷凍庫がなく少人数で運営する店舗においては、アイスクリーム・冷凍食品の性質上溶解が発生してしまうため、すぐに売場の冷凍ケースに陳列しなければなりません。
※有価証券届出書引用
アイスクリーム・冷凍食品の専門の卸問屋として、ドロップ納品(商品をバックヤードに置いてくるだけの納品スタイル)ではなく、売り場に直接陳列して納品するフルメンテナンスサービス(得意先の売り場に直接商品を納品し、売り場づくりまで同社配送員が行うサービス)を主として提供しています。
小売業の人手不足を補い、店舗に陳列の業務負担をかけることなく、商品を販売できるという付加価値を付けたサービスを対価を得て提供しています。
フルメンテナンスサービスの中には、同社社員が得意先に代わって需要を予測し発注する、発注サービスも提供しているそうです。
物流業界は深刻な人手不足、ドライバー不足となっておりますが、同社配送は、通常9割を自社社員が行い残り1割を協力会社等に委託しているそうです。
※有価証券届出書引用
スーパーマーケット事業は神奈川県を中心に「スーパー生鮮館TAIGA」を8店舗、テナントとして2店舗展開しています。
同社の強みである生鮮3品(青果・鮮魚・精肉)に注力する事で、大手スーパーとの差別化を図っています。生鮮3品では鮮度・品質・品揃え・価格に徹底的にこだわり、より良い商品、美味しい商品を提供できるよう不断の努力を続けているそうです。
直営店舗は、出店立地の環境に応じ、主に売場面積150坪から320坪の範囲で店舗展開を進めています。商品の供給については鮮度を重視するため、早朝に市場にて担当バイヤーが青果・鮮魚を買い付けいます。
知識・経験豊富なバイヤーが買い付けた商品が、その日のうちに店頭に並び販売される、当日仕入れ当日販売を行うことにこだわっています。
※有価証券届出書引用
セグメント別の売上を確認すると2020年3月期でフローズン事業が74.4%を占めています。スーパーマーケット事業は25.6%になります。
取引先大手にはクリエイトSDホールディングス(3148)とドン・キホーテ(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)の名前が挙がっています。
アイスコ(7698)の企業財務情報と配当性向
回次 | 第67期 | 第68期 |
決算年月 | 2019年3月 | 2020年3月 |
売上高 | 35,214,791 | 36,728,211 |
経常利益 | 419,247 | 212,303 |
当期純利益 | 223,205 | 144,457 |
資本金 | 75,000 | 75,000 |
純資産額 | 1,718,105 | 1,833,626 |
総資産額 | 12,350,223 | 13,648,457 |
1株当たり純資産額 | 1,070.07 | 1,141.46 |
1株当たり当期純利益金額 | 139.07 | 90.00 |
自己資本比率(%) | 13.9 | 13.4 |
自己資本利益率(%) | 13.9 | 8.1 |
株価収益率(倍) | – | – |
配当性向(%) | 12.0 | 18.5 |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 682,684 | 311,279 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △474,657 | △564,431 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △235,461 | △98,011 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 1,582,806 | 1,231,642 |
- 売上高31,514百万円
- 営業利益817百万円
- 経常利益880百万円
- 四半期純利益567百万円
アイスコが事業活動を行う食品流通業及びスーパーマーケット業では、「巣ごもり消費」による中食・内食需要が増加した反面、景気後退による更なる消費マインドの停滞から節約志向、低価格志向の傾向は強まっているそうです。
このような情勢のなか、同社は食を通じた社会貢献を目標に、取引先との関係強化を図るとともに、効率的な物流網の構築や、地域密着型の店舗運営を推進、食料品等の安定供給に努めています。結果的に今期は前期に比べ数倍の利益が見込めるようです。
アイスコ(7698)の株主状況とロックアップについて
会社設立は1952年5月28日、神奈川県横浜市泉区新橋町1212番地に本社を構えます。社長は相原貴久氏(1971年5月24日生まれ)、株式保有率は8.60%(150,000株)です。従業員数651人で臨時雇用者302人、平均年齢36.8歳、平均勤続年数5.5年、平均年間給与4,137,000円です。
セグメント別従業員数はフローズン事業504人(臨時56人)、スーパーマーケット事業129人(臨時245人)、全社共通18人(臨時1人)になります。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
株式会社KANコーポレーション | 675,000株 | 38.70% | ○ |
相原 敏貴 | 367,500株 | 21.07% | ○ |
相原 貴久 | 150,000株 | 8.60% | ○ |
アイスコ従業員持株会 | 79,500株 | 4.56% | ○ |
江崎グリコ株式会社 | 75,000株 | 4.30% | ○ |
相原 久子 | 52,500株 | 3.01% | ○ |
青木 哲也 | 45,000株 | 2.58% | ○ |
【ロックアップについて】
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人である相原敏貴、相原貴久、青木哲也及び青木基成、貸株人である株式会社KANコーポレーション、当社株主であるアイスコ従業員持株会、江崎グリコ株式会社、相原久子、野口みゆき、山本宗男、浅井功、青木洋征、 ~省略~ 今福正義及び田口なり子は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年7月06日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等を除く)を行わない旨合意しております。
※有価証券届出書(新規公開時)引用
上位株主には90日間(2021年7月06日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の設定は目論見に記載がありません。
また、上場前の第三者割当等による募集株式等の割当等に関し、新株予約権の割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っています。
親引けは行われません。
アイスコ(7698)IPOの初値予想と幹事引受け株数
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。仮条件範囲が上振れし1,750円~2,000円に決定しました。吸収金額は最大で12.3億円になり、時価総額は36.5億円です。相原家のために上場という形になるためあまり印象は良くないようです。
ただ株価設定は好調な業績から大きく上振れとなりました。普段であれば人気が薄い事業となりますが需要があるそうです!
修正値3,500円~4,000円
※注目度B
2022年3月期の業績予想では売上419.93億円になり前期比4.38%増、経常利益5.39億円となり前期比29.45%減になります。増収減益となりますが、2021年3月期が絶好調となったための反動のようです。
四半期利益は3.77億円となり前期比22.27%減を予想しています。コロナ禍の状況により業績のブレが発生しそうです。引きこもり需要となれば業績が上方修正になることも考えられます。
多くの企業は来期予想を出していませんが、アイスコでは開示されたているためこの辺りは好感できます。IPOなら何でも買われる状況に入っているため公募組は利益が見込めそうです。セカンダリー組は高値だと急落も考えられそうです。
公開価格が2,000円に決定した場合の指標はEPS207.31からPER9.65倍、BPS1,655.76からPBR1.21倍になります。配当や株主優待の設定はありません。
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
野村證券(主幹事) | 506,600株 | 95.05% |
SMBC日興証券 | 18,600株 | 3.49% |
SBI証券 | 2,600株 | 0.49% |
楽天証券 | 2,600株 | 0.49% |
マネックス証券 | 2,600株 | 0.49% |
主幹事の野村證券から抽選に参加しつつ他の証券会社からも申込を行いたいと思います。私の場合は全ての証券会社から抽選参加できます。
SMBC日興証券からの申込みもしっかり行っておきたいと思います。株数が多いとは言えませんがブックビルディングが他の銘柄と重なっているため、当選確率が通常よりも高めかもしれません。あまり人気がある銘柄とは言えませんからね。
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株式投資型クラウドファンディングを行う独自性ある企業だと思います。インタビューも行っているため下記記事を参考にして頂けたらと思います。
株式投資型クラウドファンディングに「イークラウド」という企業が登場しました。そこで評判や評価などを考察し、投資を行う際のデメリットは何なのか考えてみました。既に投資を行っている投資家も多いと思います …
類似企業のPERやPBRを調べてみました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
神戸物産(3038) | PER40.3倍 | PBR11.15倍 |
正栄食品工業(8079) | PER27.45倍 | PBR1.87倍 |
トーホー(8142) | PER211.29倍 | PBR1.12倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
2019年3月22日~2029年3月21日 | 58,350株 | 964円 |
2020年3月10日~2030年3月09日 | 80,700株 | 1,072円 |
ストックオプション(新株予約権)は139,050株の全てが行使期限に入っています。対象者は取締役と執行役員、従業員です。
ツイッターでもIPO記事のチェックができます!
最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも6年目突入!安定の利益でブログも15年目に突入。アイスコ(7698)IPOの評価と申し込みスタンスまとめ
アイスコIPOは上場による吸収額が低いため利益が見込めると思います。事業はありきたりなので新味はありません。老舗企業ということで東証2部への上場でもおかしくないと思いますが、上場市場がJASDAQスタンダードなので東証2部よりは資金流入となりそうです。
※アイスコ公式サイト引用
フローズン事業では、主力商品のアイスクリームが季節商品となっているため、天候の影響を受ける可能性があるそうです。特に冷夏の場合は売上が減少し、同社の経営等に大きな影響がある場合があるそうです。
また、アイスクリームの販売が夏季に集中するため、売上高は第2四半期会計期間の割合が高くなる傾向にあるそうです。
フローズン事業が属する食品流通業界では、小売業による業種業態を越えた競合が激化し、小売業界内での再編が行われているそうです。多少気にかけておく必要がありそうです。
新型コロナウイルス感染症の影響は同社に追い風となっているようです。巣ごもり消費が今後も活況となることで継続的な需要が期待できるとされています。
ベンチャーキャピタル出資がなく上場時点で公開株式以外の株流通は少ないでしょう。株主で上場企業は江崎グリコ(2206)が同社株を4.3%保有しています。ロックアップ対象となっていますが上場後90日後はどうでしょうか。
親引けも行われませんし、アイスコとしては上場ゴール感があると思います。公募組はIPOに当選したならば初値売却がよいかもしれません。
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