ヌーラボ(5033)のIPOがグロース市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。SaaS型の収益となっていますが外人期待ができない環境のため不安なIPOだと思います。


主幹事はSMBC日興証券が務め公開株数1,939,300株、オーバーアロットメント290,800株です。上場規模は想定発行価格2,130円から計算すると約47.5億円になります。


上場規模も大きく消化不良になりはしないかと不安視しています。


ヌーラボ(5033)IPOが上場承認
※ヌーラボ公式サイト引用


福岡県福岡市の地方企業になりVC出資も行われています。海外にグループ企業もありますが日本での活動がメインのようです。


先行投資により赤字が続いていたようですが、直近は赤字が縮小し今期黒字化も期待できそうです。プロジェクト管理ツール販売がメイン事業になります。


新型コロナウイルス感染症によりテレワーク等で働き方の見直しが進み、同社サービスが成長軌道に乗ったようです。


業績を確認するとコロナが流行る前に赤字が拡大しているためコロナの恩恵はあったと考えられます。IPOで受け入れられると良いのですが、個人的には消極的に参加したいと考えています。


ヌーラボ(5033)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました

項目上場基本データ
上場日6月28日
市場グロース市場
業種情報・通信業
事業内容Backlog等のクラウドサービスの開発・提供
ブックビルディング6月13日~6月17日
想定価格2,130円
仮条件960円~1,000円
公開価格1,000円
初値結果955円(騰落率-4.50%)
企業情報https://nulab.com/ja/
監査人有限責任監査法人トーマツ
手取金の使途
  • セールス・マーケティング活動、広告宣伝費、外注費
  • 人件費及び新規採用に係る採用費


項目株数データ
公募株数510,300株
売出株数1,429,000株
公開株数(合計)1,939,300株
オーバーアロットメント290,800株
上場時発行済み株数6,450,397株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約137.4億円
幹事団SMBC日興証券(主幹事)
マネックス証券
西日本シティTT証券
SBI証券
委託見込SBIネオトレード証券
DMM.com証券


ヌーラボ(5033)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました

想定発行価格2,130円を基に吸収金額を算出すると約41.3億円となり、オーバーアロットメントを含めると約47.5億円規模の上場となります。


同社グループはヌーラボとNulab USA,Inc.(米国ニューヨーク州)、Nulab Singapore Pte.Ltd.(シンガポール)、Nulab Netherlands B.V.(オランダ国アムステルダム州)で構成されています。


企業や個人の生産性を向上させるべくクラウドサービス事業を行っています。「Null(ヌル=無)とLab(研究所)を合わせた造語」を社名に採用しているそうです。


自身や所属するグループの課題をプロジェクトとして管理するツール「Backlog」、様々なアイデアを図で描くことにより言葉を超えて共有することができるビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」、


多くの人と同時に円滑なコミュニケーションを行うことができるビジネスチャットツール「Typetalk」、IDの管理を容易にし組織の情報セキュリティ・ガバナンスを高めるツール「Nulab Pass」の4つのサービスを展開しています。


ヌーラボ(5033)の業績
※有価証券届出書引用


プロジェクト管理ツールの「Backlog」は主力サービスになり、チームで協力しながら作業を進めるためのコラボレーション型プロジェクト管理ツールになります。主にSaaS型で提供しています。


その用途は大規模なソフトウエア開発から保守運用、デジタルマーケティングキャンペーンの管理、ウェブサイトの制作まで多岐にわたります。


また、一般的なオフィスワークのタスク管理やカスタマーサポートの課題管理にも採用され、様々な分野のビジネスパーソンでも使いこなせるという特徴により「非IT分野」での利用が拡大しています。


ヌーラボ(5033)IPOのサービス詳細
※有価証券届出書引用


一部のプランを除いて、定額でユーザー数無制限で利用が可能となるサブスクリプション型の料金体系を採用していることや契約主体以外のメンバーとの共同利用が可能となっています。


このため複数の法人や組織にまたがったプロジェクト推進が容易となります。


これにより、自社で未導入であってもBacklogを利用したユーザーが口コミで自身が属する企業等に導入を促すといった循環が生じ、製品主導での成長を可能としているそうです。


そんなにうまくいくとは思えませんが、今期第3四半期の業績開示では黒字化しています。


ヌーラボ(5033)IPOの販売実績
※有価証券届出書引用


2021年3月期の状況を確認するとBacklogが売上の約93.9%を占めています。


ヌーラボ(5033)の株主状況とロックアップについて調べました

会社設立は2004年3月29日、福岡県福岡市中央区大名一丁目8番6号に本社を構えます。社長は橋本正徳氏(1976年3月17日生まれ)、株式保有率は25.42%(1,658,742株)です。


従業員数127人、平均年齢36.1歳、平均勤続年数3.3年、平均年間給与6,903,470円です。連結従業員数は146人で臨時雇用者0人です。


セグメントはクラウドサービス事業の単一セグメントになります。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
橋本 正徳1,658,742株25.42%
田端 辰輔1,653,397株25.34%
株式会社アリオト1,566,655株24.01%
Founder Foundry1号投資事業有限責任組合321,428株4.93%
ヌーラボ従業員持株会292,349株4.48%
XTech1号投資事業有限責任組合178,571株2.74%
イーストベンチャーズ2号投資事業有限責任組合165,000株2.53%
※株主上位7名の状況、△表示は新株予約権を表します


橋本正徳氏と田端辰輔氏には360日目(2023年6月22日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除設定はありません。


その他の上位株主や新株予約権者には180日間(2022年12月24日まで)のロックアップが付与されています。こちらもロックアップ解除設定はありません。


さらに、ベンチャーキャピタル等に対して360日間(2023年6月22日まで)のロックアップ付与と発行価格1.5倍以上でロックアップ解除設定となっています。


第三者割当等による割当者との間で継続所有等の確約を行っています。親引けは取得金額50百万円に相当する株式数を上限にヌーラボ従業員持株会が引受ける予定です。


ヌーラボ(5033)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


想定発行価格2,130円に対し仮条件範囲が960円~1,000円に変更されました。機関投資家から厳しい指摘があったと考えられます。


公開価格が仮条件上限の1,000円に決定した場合の吸収金額は約22.3億円、時価総額約64.5億円になります。仮条件で市場からの吸収金額が半分以下になったことで需給的な問題は改善すると思います。


しかし以前としてPERが高いため、公開価格を上回ればIPOとしては成功なのかもしれません。直近の第三者割当増資は840円で発行されています。この辺りを意識しているのでしょうか。


黒字SaaS株がこの状況となっていることから、今の市場で業績がいかに重要なのかわかります。海外需要も期待できない市場環境ですからね。


大手初値予想2,000円~2,500円
修正値1,200円~1,400円
直前予想1,000円

※注目度B


業績を確認すると2023年3月期の連結予想を確認することができました。売上27.71億円となり前期比19.03%増、経常利益7,600万円となり前期比53.66%減となります。


四半期利益は7,700万円となり前期比60.91%減です。増収減益のため上場タイミングとしてはあまりよいとは言えないでしょう。


公開価格が1,000円決定の場合の指標はEPS12.31からPER81.23倍、BPS227.61からPBR4.39倍になります。配当や株主優待の設定は現時点でありません。


2024年度の見通しがどうなるのかわかりませんが、利益面のブレが大きいため一喜一憂しそうな銘柄だと思います。


ロックアップは公開価格1.5倍で一部の投資家に解除されます。ただ1.5倍の1,500円に届くのかは蓋を開けてみなければわからないようです。機関投資家や海外投資家の需要は低いようです。


先に上場するIPOの結果次第で短期参加者を呼び込むことに期待したい銘柄だと思います。


幹事名割当株数引受割合
SMBC日興証券(主幹事)1,842,500株95.01%
マネックス証券48,500株2.50%
西日本シティTT証券29,000株1.50%
SBI証券19,300株1.00%


売上は拡大していますが利益面の心配があります。SaaS型による収益となっていることで黒字化すれば収益期待があります。


ただこれまで外人が投資していた分野に資金が入らないためヌーラボのIPOは不安です。上場規模も大きめですしね。


また地方企業なのでその辺りも心配です。微妙な銘柄が続き2022年6月のIPOは残念だと思います。これまで上場を控えていた銘柄がたくさん登場しているように思います。


当選狙いであればSMBC日興証券とマネックス証券でしょう。どちらも銘柄別に資金拘束されます。


マネックス証券のIPOルールは下記記事にまとめています。ここ数年は毎年当選しています!




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サービス内容を下記記事でまとめてみました!!




類似企業のPERやPBRを調べました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
ラクス(3923)PER211.47倍PBR30.24倍
HENNGE(4475)PER93.04倍PBR15.12倍
サイボウズ(4776)PER-倍PBR7.1倍
※2022年6月13日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2022年2月20日~2030年2月12日163,953株840円
2023年4月01日~2031年3月26日413,140株840円
2024年1月07日~2032年1月06日7,380株890円


ストックオプション(新株予約権)は163,953株が上場時に行使期限を迎えます。


発行済株式総数5,940,097株に対し新株予約権が584,473株となるため割合は9.84%になります。


ヌーラボ(5033)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ

ヌーラボのIPOは微妙だと思います。以前のように外人期待でIPOに参加すると痛い目を見る可能性があるかもしれません。


大手の初値予想を複数社確認してから投資スタンスを決定したいと思います!


ヌーラボ(5033)IPOのまとめ
※ヌーラボ公式サイト引用


競合を確認すると規模の大小を問わず競合企業が新規に参入する可能性があるそうです。新奇性を感じないため投資は慎重に行うつもります。


同社サービスはAmazon Web Services, Inc.が提供しているクラウドコンピューティングサービスの「AWS」を基盤としているそうです。


ないとは思いますがAWSに障害が生じた場合は事業に影響があるはずです。また同社サービスは年間契約になっているそうです。


第18期連結会計年度末で税務上の繰越欠損金が約5.1億円あります。黒字化した場合の税金支払いを考えるとメリットと言えるかもしれません。


今期業績を確認する限り来期くらいまでは納税額の減額メリットがあると思います。とは言え積極的になれない銘柄だと現段階で考えています。微妙なIPOが多くなり判断が鈍ります。


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