アストロスケールホールディングス(186A)のIPOがグロース市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。赤字額がヤバイみたいですね。それでも宇宙関連で人気が見込めるかもしれません。
主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、モルガン・スタンレーMUFG証券、みずほ証券の3社です。
公開株数23,593,300株、オーバーアロットメント3,124,900株です。上場規模は想定発行価格720円から計算すると約192.4億円になります!
※アストロスケールHD公式サイト引用
グローバルオファリング銘柄のため面白みのあるIPOだと思います。宇宙関連の銘柄は機関投資家にも人気ですからね。
同社グループが成長市場である軌道上サービス分野で活躍し世界のリーダーになることで収益機会を獲得していくそうです。現時点でのシェアなど気になることもあります。
また、軌道上サービス市場は草創期にあたるそうです。
同社は世界初のデブリ除去実証衛星ELSA-dによる宇宙実証及びデブリ観測衛星ADRAS-Jの打上げに成功しているそうです。
上場承認時点で非協力物体に対するRPO技術の宇宙実証に成功した競合事業者の存在はないそうです。この辺りが同社の強みになるようですね。
各国・各地域の宇宙政策や法規制づくり等の政策形成への積極的な提言や関与を行っているそうですが、言うことを聞かない国などはどうなるのかな?と思うところもあります。
2023年4月期の純損失が92.6億円と巨額過ぎてIPOで人気なのか調査する必要がありそうです。イケイケの市場ではありませんからね。
アストロスケールホールディングス(186A)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました
項目 | 上場基本データ |
上場日 | 6月05日 |
市場 | グロース市場 |
業種 | サービス業 |
事業内容 | スペースデブリ除去や人工衛星寿命延長、点検・観測等の軌道上サービス事業 |
ブックビルディング | 5月20日~5月24日 |
想定価格 | 720円 |
仮条件 | 750円~850円 |
公開価格 | 850円 |
初値結果 | 1,281円(公開価格1.51倍) |
企業情報 | https://astroscale.com/ja/ |
監査人 | EY新日本有限責任監査法人 |
手取金の使途 |
|
項目 | 株数データ |
公募株数 | 20,833,300株→ 22,169,200株 国内募集株式数13,888,900株→ 12,486,200株 海外募集株式数6,944,400株→ 8,280,300株→ 9,683,000株 |
売出株数 | 2,760,000株 |
公開株数(合計) | 23,593,300株→ 24,929,200株 |
オーバーアロットメント | 3,124,900株 |
上場時発行済み株数 | 111,692,500株→ 113,028,400株 ※公募分を含む |
想定ベースの時価総額 | 約804.2億円→ 813.8億円 |
幹事団 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(共同主幹事) モルガン・スタンレーMUFG証券(共同主幹事) みずほ証券(共同主幹事) SBI証券 野村證券 SMBC日興証券 楽天証券 東海東京証券 岡三証券 水戸証券 松井証券 マネックス証券 岩井コスモ証券 あかつき証券 東洋証券 アイザワ証券 |
委託見込 | auカブコム証券 SBIネオトレード証券 岡三オンライン DMM.com証券 |
アストロスケールホールディングス(186A)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました
想定発行価格720円を基に吸収金額を算出すると約169.9億円となり、オーバーアロットメントを含めると約192.4億円規模の上場となります。上場承認時の国内販売が約142.4億円、海外販売が約50.0億円になります。国内販売は親引けで45億円が予定されているため約97.4億円程度の吸収を予定していることになります!
同社グループはアストロスケールホールディングスと連結子会社である株式会社アストロスケール(日本)、Astroscale Ltd(英国)、Astroscale U.S. Inc.(米国)、Astroscale France SAS(フランス)、Astroscale Israel Ltd.(イスラエル)、Astroscale Singapore Pte. Ltd.(シンガポール)で構成されています。
提供サービスは、宇宙空間における軌道上サービスを通じて、人工衛星運用者やロケット事業者の事業価値の向上及び宇宙の持続的な利用に貢献しています。
※有価証券届出書引用
技術面では、コア技術である「宇宙空間の非協力物体に対するRPO技術」及び関連技術の研究開発並びに宇宙空間で提供されるサービスの開発を行っています。
RPO技術は人工衛星やデブリの除去、軌道変更・軌道維持、燃料補給、観測・点検、再利用・交換、製造・修理といった様々な軌道上サービスを実現可能にするものだそうです。
※有価証券届出書引用
事業面では、衛星運用終了時のデブリ化防止のための除去サービス(EOL)、既存デブリの除去サービス(ADR)、寿命延長サービス(LEX)、故障機や物体の観測・点検サービス(ISSA)の4つを提供しています。
日本、英国、欧州、米国等において調査研究・研究開発・宇宙空間での実証・サービス等購入に関する契約の締結や補助金等の獲得を行っています。
今後は政府や宇宙機関からの需要獲得を継続・拡大し、民間からの需要獲得へとさらに成長することを目指しています。
※有価証券届出書引用
同社グループは、軌道上サービサーの設計・開発及び製造から、サービス提供に至るまで一貫して自社で行います。
サービス提供領域は宇宙空間となっていますがミッション遂行時の取得データを地上で顧客に提供する場合もあるそうです。
EOL、ADR、LEX、ISSAのいずれも、対象物体(衛星やデブリなど)の保有者や運用者から依頼を受けてサービスを提供し、かかるサービス提供の対価を受領する仕組みです。
サービサーの一部部品の調達や加工においてはサプライヤーと協業し、ロケットによる打ち上げは打上げサービス業者に委託しています。
アストロスケールホールディングス(186A)の株主状況とロックアップについて調べました
会社設立は2018年11月15日、東京都墨田区錦糸四丁目17番1号に本社を構えます。代表取締役社長兼CEOは岡田光信氏(1973年3月27日生まれ)、株式保有率は26.78%(27,600,300株)です。従業員数29人で臨時雇用者0人、平均年齢45.7歳、平均勤続年数1.5年、平均年間給与12,258,000円です。連結従業員数は481人で臨時雇用者は33人です。
連結の従業員数は日本186人(臨時15人)、海外295人(臨時18人)となっています。
セグメントは軌道上サービス事業の単一セグメントです。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
岡田 光信 | 27,600,300株 | 26.78% | ○ |
株式会社INCJ | 17,041,200株 | 16.53% | ○ |
ジャフコSV4共有投資事業有限責任組合 | 4,405,000株 | 4.27% | ○ |
株式会社グーニーズ | 3,239,700株 | 3.14% | ○ |
ASエースタート1号投資事業有限責任組合 | 2,950,200株 | 2.86% | ○ |
三菱電機株式会社 | 2,649,700株 | 2.57% | ○ |
ブラッカビー・クリストファー | 2,612,900株 | 2.54% | ○ |
上位株主には180日間(2024年12月01日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。
上場前の第三者割当等により割当を受けた者、並びに新株予約権の割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っています。
親引けは以下のように発表されています。合計で45億円が予定されています!
- ヒューリック株式会社が国内募集のうち取得金額10億円に相当する株式数を上限
- TPR株式会社が国内募集のうち取得金額10億円に相当する株式数を上限
- MZ Space Fund投資事業組合が国内募集株式のうち取得金額15億円に相当する株式数を上限
- りそなアセットマネジメント株式会社が運用を行うファンドが国内募集のうち取得金額10億円に相当する株式数を上限
アストロスケールホールディングス(186A)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。仮条件が750円~850円に決定し上場による吸収金額は最大で約238.5億円、時価総額は約960.7億円になります。
公募株数で海外販売が増やされ公開株数が23,593,300株から24,929,200株に変更されています。売出株とオーバーアロットメントはそのままです。
海外販売率が26.0%から29.5%に拡大しています。
赤字拡大でも強気な株価設定のため大手予想も大きく修正してきたようです。ただしプライジングについては疑問点もありアイスペース比較で赤字額も大きく純投資と考えると危険みたいですね。
話題先行で短期需給狙いのIPOとの見方が強いようです。売上期待は大いにできるが利益を考えると現時点では厳しいようです!
修正値1,250円~1,500円
再修正1,250円前後
最終予想1,300円
※注目度S
業績を確認すると2024年の連結予想を確認することができました。売上27.0億円となり前期比50.67%増、経常利益-115.00億円となり前期-93.14億円から赤字拡大となります。
四半期利益は-115.00億円となり前期-92.64億円から赤字が拡大する予想となっています。
公開価格が850円決定の場合の指標はEPS-127.07からPERは計算不可、BPS41.27からPBR20.60倍になります。配当や株主優待の設定は現時点でありません。
QPS研究やispace(アイスペース)に比べ時価総額が大きく「大丈夫なの?」と考えいてる方も多そうです。宇宙系の企業は3例目になるためそう何度も初値売りで利益がでるのか不安もあります。
主幹事への不安もある中で仮条件が大きく上振れし、海外販売が増やされた事はIPOにとって好材料です。ただどうも実力以上の評価が既に付いているようなので短期で売り抜けたほうが良い気がします。
公開価格割れはなさそうですが、グロース指数の下げが止まらず新興銘柄は厳しい状況が続いています。公募組はリスクを取りIPO抽選に参加する必要がありそうです。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の店頭口座だとIPO当選確率は高そうです。
結局人気なのかもしれませんが上場規模が大きいため油断しないほうが良いと思っています。公開価格決定日に海外販売がさらに増えることも考えられるため楽しみもありそうです!
個人投資は積極的にブックビルディングに参加しているようです。ネット配分だと複数配分となっている証券会社が多く思ったほど当選できない可能性が出てきました。大手予想は慎重姿勢となっていますが個人投資家のスタンスは旺盛のようです。
公開価格決定日に国内販売が減らされ海外販売が増やされています。海外販売率は34.5%まで拡大しています。初値に期待できそうな雰囲気ですが国内IPOに資金が向かっていないためやや残念に思います。
IPOには200株当選できたので楽しみにしています。補欠当選は500株もありました!※補欠分はすべて繰り上がらず。後期型の全て落選でした。
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(共同) | 8,403,000株 | 50.47% |
モルガン・スタンレーMUFG証券(共同) | 3,251,600株 | 19.53% |
みずほ証券(共同) | 3,679,400株 | 22.10% |
SBI証券 | 499,500株 | 3.00% |
野村證券 | 166,500株 | 1.00% |
SMBC日興証券 | 166,500株 | 1.00% |
楽天証券 | 166,500株 | 1.00% |
東海東京証券 | 83,200株 | 0.50% |
岡三証券 | 83,200株 | 0.50% |
水戸証券 | 49,900株 | 0.30% |
松井証券 | 16,600株 | 0.10% |
マネックス証券 | 16,600株 | 0.10% |
岩井コスモ証券 | 16,600株 | 0.10% |
あかつき証券 | 16,600株 | 0.10% |
東洋証券 | 16,600株 | 0.10% |
アイザワ証券 | 16,600株 | 0.10% |
上場承認時のデータや目論見を見ただけでは初値利益が狙えるのか微妙だと考えています。宇宙という材料は良いとして業績がヤバイです。
上場してもすぐに吸収したお金を食いつぶす赤字っぷりです。
IPOとしては三菱UFJモルガン・スタンレー証券が主幹事なので当選しやすいと考えています。また、委託販売が行われるauカブコム証券の証券口座は開設しておいたほうがよさそうです。我が家は妻と2名義で参加したいと考えています。
後期型抽選になるため申込みが面倒で参加しない方も多いはずです。IPOに資金が向かうことを祈って参加しておきます!IPOルールをご存知ない方は下記記事でまとめています。
ここ数年は毎年IPOを頂いているためありがたい証券会社です。
auカブコム証券のIPOルールを詳しく調べてみました。同社は三菱UFJフィナンシャル・グループなので基本的には三菱UFJモルガン・スタンレー証券引き受け分をauカブコム証券に回します。 …
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類似企業のPERやPBRを調べました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
QPS研究所(5595) | PER814.1倍 | PBR16.48倍 |
ispace(9348) | PER-倍 | PBR7.08倍 |
スカパーJSATホールディングス(9412) | PER14.38倍 | PBR0.96倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
2019年2月01日~2025年4月30日 | 928,200株 | 124円 |
2019年2月01日~2025年4月30日 | 429,000株 | 187円 |
2019年2月01日~2026年7月31日 | 3,239,700株 | 291円 |
2022年9月15日~2026年7月25日 | 489,900株 | 555円 |
2022年12月15日~2026年7月25日 | 546,000株 | 555円 |
2022年12月15日~2027年7月29日 | 450,000株 | 806円 |
2023年3月23日~2028年2月26日 | 270,000株 | 806円 |
2023年4月23日~2028年2月26日 | 72,000株 | 806円 |
2023年5月06日~2028年2月26日 | 22,000株 | 806円 |
2023年11月07日~2028年2月26日 | 267,000株 | 806円 |
2022年7月30日~2027年7月29日 | 337,000株 | 806円 |
2023年12月17日~2028年12月09日 | 328,000株 | 862円 |
2024年1月06日~2028年12月09日 | 442,000株 | 862円 |
2024年1月25日~2028年12月09日 | 260,000株 | 862円 |
2024年1月28日~2028年12月09日 | 36,000株 | 862円 |
2024年11月23日~2029年10月31日 | 1,382,000株 | 862円 |
2024年12月15日~2029年10月31日 | 44,000株 | 862円 |
2025年2月22日~2029年10月31日 | 263,000株 | 862円 |
2026年1月24日~2031年1月05日 | 1,926,000株 | 1,000円 |
2026年2月09日~2031年1月05日 | 200,000株 | 1,000円 |
2026年2月09日~2031年1月05日 | 55,000株 | 1,000円 |
2026年2月09日~2031年1月05日 | 216,000株 | 1,000円 |
ストックオプション(新株予約権)は8,116,800株が上場時に行使期限を迎えます。
発行済株式総数90,859,200株に対する新株予約権の割合は13.42%に相当します。新株予約権による潜在株式数は12,192,800株です。
受益者1名の退職があり2024年5月22日付で10,000株分の権利が喪失するため12,202,800株ではなく12,192,800株で計算しています。
アストロスケールホールディングス(186A)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ
アストロスケールホールディングスのIPOは証券情報紙や大手予想を確認してからIPO抽選に参加したいと思います。スタンスが決まればこの記事に追記します。
※アストロスケールHD公式サイト引用
発行済株式総数90,859,200株のうち40,495,700株がベンチャーキャピタル出資となっています。発行済株式の44.57%にもなります。相当買われないと上値が重たいままでしょう。
短期間でも良いので投機資金が向かえば面白い相場が形成されそうです。そこが問題なんですけどね。
政府や宇宙機関から事業機会を獲得するには問題も多くありそうです。目論見には「数年から数十年の単位で政策や事業計画を策定」とあります。
また、人工衛星の開発を加速するため先行投資が上場後も継続されるそうです。全く黒字化できるイメージがありません。そもそも短期間で黒字化できるようなビジネスではありませんが出資したベンチャーキャピタルは資金回収機会ですからね。
気になるのは、軌道上サービスやそれに必要な技術のいずれも実証できていないそうなんです。色々考えると黒字化できるのはかなり先になりそうです。
IPOとしては時期尚早のような気もします。同社としては資金獲得のチャンスなので是が非でも上場したいはずです!!
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