シンプレクス・ホールディングス(4373)のIPOが東証1部に新規上場承認されたので詳しくご紹介したいと思います。今回も業績や上場規模などを確認し、IPO抽選に参考になるような情報を評価してみたいと思います。
主幹事はSMBC日興証券とみずほ証券が共同で務め売出株数20,650,300株、オーバーアロットメント1,440,700株です。上場規模は想定発行価格1,520円から計算すると約335.8億円になります。
全て売出株となっている再上場案件になります。MBO案件となっており今回は多くの株式を放出します!!
※シンプレクスHD公式サイト引用
2013年10月に東京証券取引所1部を上場廃止になっている企業です。
吸収合併や会社設立などを経て約8年ぶりに上場を行います。前期IFRS(国際会計基準)の売上は275.3億円で四半期利益は30億円になります。
金融フロンティア領域における国内トップブランドとしてのポジションを確立し、順調な成長を遂げてきたと自負しています。
戦略/DXコンサルティングが拡大しており、今後も事業を強化し収益拡大を狙うようです。今風の事業も手掛けており人気化しそうな気もしますが、100%売出株で現在のところ無配です。
2022年3月期は配当性向30%を目安として年1回の配当を実施する予定となっています。上場時点ではあまり人気が見込めない可能性が高そうです。
シンプレクス・ホールディングス(4373)IPOの上場基本データと引受幹事
項目 | 上場基本データ |
市場 | 東証1部 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | コンサルティングサービス、システム開発、運用保守 |
上場日 | 9月22日 |
ブックビルディング期間 | 9月07日~9月10日 |
想定価格 | 1,520円 |
仮条件 | 1,520円~1,620円 |
売出価格 | 1,620円 |
初値結果 | 1,660円(公開価格1.02倍) |
企業情報 | https://www.simplex.holdings/ |
監査人 | 太陽有限責任監査法人 |
【資金使途】
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。主な資金使途は、運転資金と借入金の返済であり、当面は着実に事業計画を遂行することで営業キャッシュ・フローを蓄積し、安定的な借入金の返済によって有利子負債比率を低減することで財務体質の更なる強化を図ります。
当連結会計年度末における有利子負債残高は20,174百万円であり、現金及び現金同等物の残高は8,068百万円。
※有価証券届出書(新規公開時)引用
項目 | 株数データ |
公募株数 | 0株 |
売出株数 | 20,650,300株
|
公開株数(合計) | 20,650,300株 |
オーバーアロットメント | 1,440,700株 |
上場時発行済み株数 | 48,291,800株(公募分を含む) |
想定ベースの時価総額 | 約734.0億円 |
幹事団 | SMBC日興証券(共同主幹事) みずほ証券(共同主幹事) 大和証券 野村證券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 松井証券 マネックス証券 SBI証券 東海東京証券 岡三証券 |
委託見込 | 岡三オンライン SBIネオトレード証券 |
シンプレクス・ホールディングス(4373)上場評判とIPO分析
想定発行価格1,520円を基に吸収金額を算出すると約313.9億円となり、オーバーアロットメントを含めると約335.8億円規模の上場となります。同社グループは、シンプレクス・ホールディングス及び連結子会社6社により構成されています。
主な事業内容は、幅広い業種の顧客企業のビジネスの成功に貢献するシステムの提案、構築、運用保守に係るITソリューションの提供です。
グループ中核企業であるシンプレクス株式会社は、1997年の創業以来、日本を代表する銀行、総合証券、インターネット証券のテクノロジーパートナーとしてビジネスを展開し、金融フロンティア領域における国内トップブランドとしてのポジション獲得に向けて力強い成長を続けてきたそうです。
現在では、金融フロンティア領域からクロスフロンティア領域へと事業領域を拡大し、生保・損保及びブロックチェーン技術を活用した暗号資産交換業等の領域で大きなプレゼンスを獲得しています。
また、金融フロンティア領域で獲得したAI/クラウド技術等のキーテクノロジーを軸として、対象顧客を金融機関に限定しない高付加価値サービスを広く提供しています。
※有価証券届出書引用
各領域における主要な製品・ソリューションとして、金融フロンティア領域では、機関投資家が資金運用業務に用いるSimplexPRISMがあります。
また、金融機関の収益向上に寄与するディーリングエンジンを搭載した外国為替証拠金取引(FX)ソリューションのSimplexFX等の製品を提供しています。
さらに、生保・損保領域においては、保険業務の一連業務をカバーするSimplex xInsuranceを、暗号資産領域においてはブロックチェーン技術を活用した暗号資産取引プラットフォームであるSimplexCryptoCurrency等の製品・サービスを提供しています。
※有価証券届出書引用
同社グループは、豊富なビジネスノウハウと高度なテクノロジーの両方が求められる、参入障壁が高い領域に特化した事業を展開しています。
創業来育んできた独自のビジネスモデルであるSimplex Wayが自社グループの競争優位の源泉となっています。
そのため単なるシステム開発ベンダーではなく、ビジネスにも深く精通したテクノロジーパートナーとして、顧客企業にとって極めてユニークな存在となることを企図し、Simplex Wayのさらなる推進に取り組んでいます。
※有価証券届出書引用
同社グループは、幅広い業種の顧客企業の課題に対し、ビジネスとテクノロジー双方に精通したハイブリッド人材で編成されたプロジェクトチームが、最上流のコンサルティングからシステム開発、運用保守に至るすべての工程に責任を持ち、一気通貫かつ自社完結でのトータルソリューションを提供することを基本としています。
元請けから下請けに作業を段階的に委託していく多重下請け構造が一般的な国内IT業界において、顧客企業と直接取引を行うプライム受注を徹底しつつ、下請けへの丸投げも行わない自社完結モデルを維持している企業は少ない現状となっているそうです。
収益面ではSimplex Wayの一気通貫モデルにより、ハイブリッド人材で編成されたプロジェクトチームが、最上流のコンサルティングからシステム開発、運用保守に至るすべての工程に責任を持ち、システム導入後における改善ニーズを汲み取ることで、次のコンサルティングやリピートオーダーを安定的に獲得することに成功しています。
結果として、新規システム導入に係るコンサルティングや設計・構築作業等のフロービジネスの拡大に連動して、システム導入後に機能改修や法制度の変更への対応等で発生するリピートオーダーや、運用保守、共同利用型サービス等のリカーリングビジネスが連鎖的に拡大していく収益モデルを構築しています。
なおこれらの分類のうち、リピートオーダーとリカーリングビジネスは低リスクの安定的な収益源であり、2021年3月期には売上収益全体の約7割程度を占めています。
シンプレクス・ホールディングス(4373)の企業財務情報と配当性向
回次 | 第4期 | 第5期 |
決算年月 | 2020年3月期 | 2021年3月期 |
売上収益 | 25,508 | 27,532 |
税引前利益 | 743 | 4,324 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 758 | 2,984 |
親会社の所有者に帰属する当期包括利益 | 314 | 2,104 |
親会社の所有者に帰属する持分 | 29,264 | 31,457 |
純資産額 | – | – |
総資産額 | 61,768 | 61,678 |
1株当たり親会社所有者帰属持分 | 605.98 | 651.40 |
基本的1株当たり当期利益 | 15.78 | 61.80 |
希薄化後1株当たり当期利益 | 13.77 | 53.97 |
親会社所有者帰属持分比率(%) | 47.4 | 51.0 |
親会社所有者帰属持分当期利益率(%) | 2.6 | 9.8 |
株価収益率(倍) | – | – |
配当性向(%) | – | – |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 3,740 | 5,255 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △333 | △234 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △4,104 | △2,348 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 5,393 | 8,068 |
- 売上収益7,885百万円(前年同四半期比13.2%増)
- 売上総利益3,570百万円(前年同四半期比33.3%増)
- 営業利益1,317百万円(前年同四半期比26.8%増)
- 税引前四半期利益1,796百万円(前年同四半期比42.2%増)
- 四半期利益1,142百万円(前年同四半期比38.8%増)
システムインテグレーションの売上が好調に推移したこと及び戦略/DXコンサルティングの新規案件が獲得となっています。システムインテグレーションの利益率が改善され前年同四半期を大きく上回っています。この他、採用の強化及び戦略/DXコンサルティング案件のセールス強化などを行っています。
シンプレクス・ホールディングス(4373)の株主状況とロックアップについて
会社設立は2016年12月01日(実質上は1997年9月16日)、東京都港区虎ノ門一丁目23番1号に本社を構えます。社長は金子英樹氏(1963年9月01日生まれ)、株式保有率は20.73%(12,702,500株)です。関係企業の取締役やお金のデザイン取締役も行っています。
連結従業員数832人で臨時雇用者113人、平均年齢32.1歳、平均勤続年数4.5年、平均年間給与8,573,069円です。
セグメントはITソリューションの提供を中心に事業活動を展開する単一セグメントになります。企業規模が大きいですよね。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
刈田・シンプレクス投資事業有限責任組合 | 19,000,000株 | 31.01% | △ |
金子 英樹 | 12,702,500株 | 20.73% | ○ |
五十嵐 充 | 7,141,900株 | 11.66% | ○ |
シンプレクス従業員持株会 | 3,404,800株 | 5.56% | × |
福井 康人 | 3,021,800株 | 4.93% | ○ |
田中 健一 | 2,673,000株 | 4.36% | ○ |
農林中央金庫 | 2,377,500株 | 3.88% | ○ |
【ロックアップについて】
グローバル・オファリングに関連して、売出人及び貸株人である金子英樹、五十嵐充及び田中健一、売出人である福井康人及び福山啓悟並びに当社株主である株式会社刈田・アンド・カンパニー及びKARITA & Company Micronesia Inc.は、ジョイント・グローバル・コーディネーターに対し、元引受契約締結日から上場日後360日目の2022年9月16日までの期間中、ジョイント・グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式等の売却等を行わない旨を約束する書面を差し入れる予定であります。
また、グローバル・オファリングに関連して、当社株主である株式会社三菱UFJ銀行は、ジョイント・グローバル・コーディネーターに対し、元引受契約締結日から上場日後180日目の2022年3月20日までの期間中、ジョイント・グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨を約束する書面を差し入れる予定であります。
加えて、グローバル・オファリングに関連して、当社株主である農林中央金庫、助間孝三、山本元、早田政孝、バーチャレクス・ホールディングス株式会社及び江野澤慶亮は、ジョイント・グローバル・コーディネーターに対し、元引受契約締結日から上場日後360日目の2022年9月16日までの期間中、ジョイント・グローバル・コーディネーターの事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨を約束する書面を差し入れる予定であります。
※有価証券届出書(新規公開時)引用
上位株主には360日間(2022年9月16日まで)、180日間(2022年3月20日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。
筆頭株主の「刈田・シンプレクス投資事業有限責任組合」は売出株で全株式を売却します。そして持株会はロックアップ対象になっていません。
もちろん親引けは行われません。売る気満々かもしれませんね。
シンプレクス・ホールディングス(4373)IPOの初値予想と幹事引受け株数
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。再上場でMBO案件、さらにファンド売出し株となっているため公開価格割れの条件が揃っています。ただIT系の企業で業績が好調となっているため、公開価格前後の初値は付けてくる可能性が高いようです。
海外売出し株が若干増えているため印象も悪くありません。海外売出し割合はOAを含めた計算で約55%になります。私の周りでは心配しながら申込を行う方もいました。
私も参加しますがそこまで積極的にBB参加はしないつもりです。このレベルであれば公募増資(PO)に参加していたほうが安全では?と感じます。
予想外の利益に期待したいところですがリスクがあると個人的に考えています。
修正値1,600円~1,900円
再修正1,700円~1,900円
直前値1,800円
※注目度A、再修正は9月16日に追記
仮条件範囲は1,520円~1,620円に決定し上場規模は最大で357.9億円、時価総額は782.3億円になります。財務基盤はそれほど悪くないとされており、のれん資本倍率は来期に1倍をきるようです。
2022年3月期の連結業績予想は売上303.00億円となり前期比10.05%増、営業利益56.12億円となり前期比24.43%増、税引き前利益54.37億円となり前期比25.74%増となります。
四半利益は37.50億円となり前期比25.67%増となる見込みです。EPS77.65からPERは20.86倍、BPS728.05からPBR2.23倍になります。
また配当金が23円予定されており配当利回りが1.42%になります。類似企業比較では妥当なのではないかと考えられますが、成長性から買われる展開も期待できそうです。ただ個人的には急いで買わなくてもどこかで下げると考えています。
どうなるのかわかりませんが、キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)が11月にIPOを実施する方向との報道があるため、リスクを取るのであればキオクシアHDのほうが面白そうです。
投資は自己判断でお願い致します。
同社はSI中堅上位になり保険や暗号資産分野領域での成長が期待されています。
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
SMBC日興証券(共同主幹事) | 2,768,600株 | 44.01% |
みずほ証券(共同主幹事) | 1,384,000株 | 22.00% |
大和証券 | 314,500株 | 5.00% |
野村證券 | 314,500株 | 5.00% |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 314,500株 | 5.00% |
松井証券 | 314,500株 | 5.00% |
マネックス証券 | 314,500株 | 5.00% |
SBI証券 | 314,500株 | 5.00% |
東海東京証券 | 125,800株 | 2.00% |
岡三証券 | 125,800株 | 2.00% |
主幹事のSMBC日興証券からIPO抽選に参加すれば当選確率が高そうです。ただ人気があるのかないのか微妙だと思います。
東証1部なのでインデックス買い期待はありますが、再上場案件で100%売出株なのでイメージが良いとは言えません。共同主幹事のみずほ証券も当選しやすそうです。
資金不要で抽選に参加できる野村證券からの申込みや松井証券からの申込みで様子を見る方法も良さそうです。
リスクを冒してまで取りに行くような銘柄でもないと個人的に考えています。
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類似企業のPERやPBRを調べてみました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
三菱総合研究所(3636) | PER14.28倍 | PBR1.26倍 |
ソルクシーズ(4284) | PER10.28倍 | PBR1.93倍 |
NSD(9759) | PER24.64倍 | PBR3.46倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
2016年12月01日~2024年2月26日 | 2,717,000株 | 106円 |
2016年12月01日~2024年6月30日 | 5,168,000株 | 106円 |
2018年3月01日~2026年2月28日 | 879,225株 | 106円 |
2019年6月01日~2027年3月13日 | 1,381,700株 | 500円 |
2020年6月19日~2028年6月06日 | 868,000株 | 500円 |
2021年8月22日~2029年6月05日 | 953,200株 | 1,000円 |
2022年8月20日~2030年6月10日 | 1,016,300株 | 1,000円 |
上場時に行使期限を迎えているストックオプション(新株予約権)は11,967,125株になります。とんでもない株数ですよね。
べスティングという形式で行使の条件が設定されています。
※有価証券届出書(新規公開時)引用
ツイッターでもIPO記事のチェックができます!
最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも6年目突入!安定の利益でブログも15年目に突入。シンプレクス・ホールディングス(4373)IPOの評価と申し込みスタンスまとめ
シンプレクス・ホールディングスのIPOは損失を出したくなければ申込を行わないほうがよいと思います。ただ事業はIPO向きなんですよね。でも想定ベースで約335.8億円は大き過ぎるかもしれません。
※シンプレクスHD公式サイト引用
事業領域の拡大は順調となっています。新しい領域に参入し実績も出ています。
目論見には行政や小売・流通、建設、製造など多様な非金融業種を対象とした、戦略/DXコンサルティングの強化を推進するとあります。企業規模が大きいため売上は見込めると思います。
また、金融機関テクノロジー投資に関するコンサルティングセールス、AI/クラウド技術に対応したトレーディングプラットフォームの開発・提供に注力するそうです。
ただ上場時の内容はそれほどよい感じがしません。同社の現時点での強みは国内金融機関に対する売上収益比率が高いことでしょう。信用や信頼は高いと考えらえます。
新型コロナウイルス感染症の影響はリモートワーク制度などで回避できているようです。コロナ禍で企業や政府がDXへの取り組みを強化するとあり、同社には追い風となっています。
新株予約権に係る潜在株式数は12,983,425株で、発行済株式総数48,291,800株の26.9%に相当するそうです。
結局は上場規模が大きく、売出株のため印象が悪いと言ったところに注意して投資を行わなければなりません!
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