松屋アールアンドディ(7317)IPOが東証マザーズに新規上場承認されました。今回も業績や上場規模などを確認し評価していきたいと思います。


主幹事は野村證券が務め公開株数623,000株、オーバーアロットメント93,400株です。想定発行価格960円から吸収額を計算すると約6.9億円です。また売上や取引先を確認するとオムロングループとの取引が多い企業でした。


松屋アールアンドディIPO上場承認と初値予想


販売の多くを海外市場に依存していることで為替リスクが絡む企業のようです。また目論見に書かれていることですが、中国湖北省武漢市を中心に発生している新型コロナウイルス感染症の影響を受ける可能性があるようです。


主力製品の血圧計腕帯に関して仕入先及び販売先等に中国拠点があることから、今後の経過によっては事業活動及び収益確保に影響を及ぼす可能性があるそうです。


目論見に新型肺炎(コロナウイルス)の情報が掲載されていることに驚きです。


松屋アールアンドディ(7317)IPOの上場基本データと引受幹事

項目上場基本データ
市場マザーズ
業種輸送用機器
事業内容 自動車安全装置縫合システムの開発・製造・販売、レーザー裁断機の開発・製造・販売、血圧計腕帯の製造、カーシートカバーの生産等
上場日4月06日
ブックビルディング期間3月18日~3月25日
想定価格960円
仮条件910円~960円
公開価格3月26日
監査人有限責任監査法人トーマツ


【手取金の使途】

手取概算額238,296千円については、「1 新規発行株式」の(注)5.に記載の第三者割当増資の手取概算額上限82,490千円とあわせて、主に連結子会社への投融資資金として充当する予定です。

具体的には、①連結子会社における研究開発資金としては、縫製自動機事業の拡大のために、Matsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.に研究開発施設を設け、自動機の開発、AI縫製自動機及び3D縫製自動機の製造費用に、2021年3月期に50,000千円、2022年3月期に50,000千円を充当する予定

②連結子会社における研究開発人員の人件費としては、Matsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.において、2021年3月期に20,000千円、2022年3月期に35,000千円を充当する予定

③連結子会社における設備資金としては、縫製品事業の拡大に伴い、Matsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.における第3工場及び第5工場の内装に係る建物付属設備費用及び移転費用として2021年3月期に33,750千円、裁断機及びミシン等の設備購入費用として2021年3月期に33,390千円、2022年3月期に32,860千円を充当する予定

④当社における人件費及び人材採用費としては、主に当社の縫製自動機事業における営業部門及び製造部門等の人件費及び人材採用費に2021年3月期に30,000千円、2022年3月期に15,000千円を充当する予定

※なお残額については当社の借入金の返済に充当する予定であります。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



項目株数データ
公募株数280,000株
売出株数343,000株
公開株数(合計)623,000株
オーバーアロットメント93,400株
上場時発行済み株数2,530,000株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約24.3億円
幹事団野村證券(主幹事)
SBI証券
みずほ証券
岡三証券
東洋証券
委託見込岡三オンライン証券
DMM.com証券


松屋アールアンドディ(7317)上場評判とIPO分析

想定発行価格960円を基に吸収金額を算出すると約6億円となり、オーバーアロットメントを含めると約6.9億円規模の上場となります。上場規模が小さく買い需要が多い場合は初値が跳ねそうです!


グループ企業は松屋アールアンドディと連結子会社4社の合計5社で構成されています。縫製自動機の開発・製造・販売を行う縫製自動機事業及び自社設計の縫製自動機を用いて各種縫製品の製造・販売を行う縫製品事業の2つの事業を行っています。


同社グループは縫製自動機事業を営むことにより、自社設計による縫製自動機を用いた生産ラインを活用して縫製品事業における縫製品の品質向上・コスト低減を図るとともに、縫製品事業で獲得した収益を縫製自動機の開発に投入して、より高性能な縫製自動機の開発につげることが可能となるそうです。


松屋アールアンドディ(7317)上場評判と業績


設立の切欠はアパレル用簡易自動機の開発・製造・販売からのターゲット切替えと事業拡大に成功した1985年頃からの事業です。自動車の安全装置(エアバッグ・シートベルト)に関する自動機の開発・製造・販売への事業転換後は、裁断から縫製までの全工程をカバーする幅広い製品を開発しています。


同社は長年の縫製自動化に取り組んできた実績があり、そのノウハウを活かした各種縫製自動機を開発・製造しています。そのため、同社グループと同様の縫製自動機を提供している企業は少なく、また同社は各工程の自動機を顧客の要望に合わせて提供可能であることを強みとしています。


エアバッグメーカー向けを中心に、生産ライン毎に纏まった受注が得られる事業形態であることから、安定して収益を計上できる事業となっています。


現在は自動車の安全装置だけでなく、アパレル・航空機分野などあらゆる縫製の自動化・省人化・省熟化を推進することを目的として顧客の要望に合わせた電子プログラムミシン等の縫製自動機・レーザー裁断機等の開発、製造、販売を行っています。


松屋アールアンドディIPOの事業内容


同社では縫製自動機事業以外の第2の柱となる事業の育成に取り組み、縫製品事業がその位置付けを担うようになっているそうです。


縫製品事業における製品は顧客からの要求に沿って受注生産にて製造されるため、在庫を抱えることによるリスクが低い事と顧客(オムロングループ)の内示に基づいた生産計画を立てることで、効率的に稼働することが可能になっているそうです。


松屋アールアンドディIPO販売実績と取引先


縫製品はベトナムでの製造を中心とし自社設計による縫製自動機を用いた生産ラインを活用し、一部の工程において自動化、省人化、省熟化を図り、コスト削減に取り組んでいます。


一部の生産ラインでは顧客が設備投資することにより、設備投資が未回収となるリスクが低い事業です。


縫製品事業においては現在、オムロングループ(オムロンヘルスケア株式会社、OMRON Healthcare Manufacturing Vietnam CO.,LTD.、OMRON Dalian Co.,Ltd.)向けの血圧計腕帯、自動車関連メーカー等向けのカーシートカバー、エアバッグ、自動車内装品等の製造及び販売を行っています。


松屋アールアンドディ(7317)の企業財務情報と配当性向

回次第36期第37期
決算年月2018年3月2019年3月
売上高6,767,4637,517,353
経常利益493,077223,431
親会社株主に帰属する当期純利益207,271113,683
包括利益又は四半期包括利益161,39520,232
純資産額1,757,6041,777,836
総資産額3,404,0284,091,101
1株当たり純資産額781.16790.15
1株当たり当期純利益金額92.1250.53
自己資本比率(%)51.643.5
自己資本利益率(%)11.76.4
株価収益率(倍)
配当性向(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー△59,4338,615
投資活動によるキャッシュ・フロー△349,747△119,838
財務活動によるキャッシュ・フロー△125,368330,599
現金及び現金同等物の期末残高325,027528,805
※数値は千円単位


第38期第3四半期連結累計期間(2019年4月01日~2019年12月31日)
  • 売上高6,451,801千円
  • 営業利益310,726千円
  • 経常利益297,897千円
  • 四半期純利益240,430千円


【松屋アールアンドディIPOの第38期第3四半期連結累計期間のチェックポイント!】

売上げ増の要因は、縫製品事業におけるカーシートカバーの売上について海外拠点を活用した生産委託が増加したことによるものです。またオムロングループに対して連結売上高の27.4%、さらに高力科技発展(大連)有限公司へオムロングループ向けの半製品を供給していることから、合わせると連結売上高の38.1%を占めています。このことから特定顧客への取引依存があるようです。


松屋アールアンドディ(7317)の株主状況とロックアップについて

会社設立は1982年8月07日、福井県大野市鍬掛第20号1番地2に本社を構えます。社長は後藤秀隆氏(1950年1月22日生まれ)、株式保有率は25.53%(600,000株)です。


従業員数32人で平均年齢46.5歳、平均勤続年数10.5年、平均年間給与4,293,000円です。連結従業員数は1,373人になりセグメント別では縫製自動機事業29人、縫製品事業1,337人、全社共通7人になります。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
後藤 秀隆600,000株25.53%
後藤 倫啓550,000株23.40%
後藤 匡啓550,000株23.40%
オムロンヘルスケア株式会社250,000株10.64%
CBC株式会社100,000株4.26%
ゴトウホールディング株式会社100,000株4.26%
NVCC7号投資事業有限責任組合57,000株2.43%
※株主上位7名の状況


【ロックアップについて】

本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である後藤秀隆、売出人である後藤倫啓及び後藤匡啓、並びに当社株主であるゴトウホールディング株式会社は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2020年7月04日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し及びオーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと等は除く)を行わない旨合意しております。

当社株主であるオムロンヘルスケア株式会社、CBC株式会社及びNVCC7号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2020年7月04日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社株式の売却等(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う売却等は除く)を行わない旨合意しております。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



上位株主には90日間(2020年7月04日まで)のロックアップが付与されています。またオムロンヘルスケア、CBC、NVCC7号投資事業有限責任組合に対してはロックアップ90日間とロックアップ解除倍率1.5倍が設定されています。


親引け設定は4,000株を上限として福利厚生を目的に行われます。


松屋アールアンドディ(7317)IPOの初値予想と幹事引受け株数

仮条件は想定発行価格を上限として910円~960円に決定しました。吸収額が6.9億円と少さい割に大手企業も不安視しているIPOのようです。理由としてはトヨタグループへの売上げが多く新型肺炎による中国自動車生産の影響を受けると思われているからです。


2020年3月期の連結業績予想は売上81.4億円となり前期75.2億円から8.3%増、経常利益2.9億円となり前期2.2億円から31.4%増になります。四半期利益は1.9億円となり前期1.1億円から66.4%増を見込んでいます。決算期に救われているIPOかもしれませんね。


ただ収益率が悪いと個人的に考えています。新型肺炎の影響で2021年3月期は赤字になる可能性もあります。EPS83.72からPERは11.47倍、BPS868.60からPBR1.11倍になります。指標的には少し割高、もしくは妥当だと思います。


大手初値予想(A社)850円~1,000円
800円~910円

※注目度B

大手初値予想(B社)980円~1,150円
修正値960円~1,100円

※注目度5段階中上から4番目


kimukimu

上場規模が小さいため魅力的なIPOだったけど市場悪化で買い需要に不安があります。株単価が低いため100株であれば参戦かな?1,000株だと怖いかもしれませんね。


地味な事業で上場後の取引もあまり見込めないと思います。東証2部上場のように地味企業ですけど配当がないのは痛いですね。


幹事名配分単位引受割合
野村證券(主幹事)561,000株90.05%
SBI証券18,600株2.99%
みずほ証券18,600株2.99%
岡三証券12,400株1.99%
東洋証券12,400株1.99%


野村證券主幹事になり株数が少ないため意外と激戦になると考えられます。業績や事業内容よりも上場規模が小さいことで魅力があるIPOだと思います。当選を狙うなら野村證券は外せないでしょう!


野村證券は前受け金不要でIPO抽選に参加できるためお勧めの証券会社です。色々と調べたのでよかったら下記記事を参考にしてください。




IPO投資について詳しく知りたい方は下記記事が参考になると思います。出来るだけ主幹事から抽選に参加することと資金を無料で移動させる方法を身につければIPO投資は簡単です。




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類似企業のPERやPBRを調べてみました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
JUKI(6440)PER6.52倍PBR0.4倍
ブラザー工業(6448)PER8.55倍PBR0.9倍
日本プラスト(7291)PER3.84倍PBR0.27倍
※2020年3月17日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2021年3月29日~2029年3月28日100,000株1,700円


ストックオプション(新株予約権)は100,000株ありますが行使期限はまだ先なので上場時点では売却が基本的にできません。


VC保有率が低く公開株式以外の株流通は少ないようです。



ツイッターでもIPO記事のチェックができます!

最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は14年と長くソーシャルレンディングも4年目突入!安定の利益でブログも14年目に突入。


松屋アールアンドディ(7317)IPOの評価と申し込みスタンス

松屋アールアンドディIPOは投資妙味があるようには感じませんが、上場規模が小さいことで基本的に買われるはずです。上場日が4月06日とまだ日数があるため日本市場がどのようになっているのか見当もつきません。


縫製自動機は賃金水準の低い国や地域が主要となっていることで政治的又は地政学的なリスクも伴うようです。


松屋アールアンドディIPOの評価


同社の得意先はヘルスケア業界そして自動車業界になります。新型肺炎の影響は直接受けないと考えられますが、取引先の状況によっては売上縮小となることも考えられます。


また海外も日本も同じですが、生産や販売先の経済状態が気になるところです。そもそも労働者が勤務でき商品を生産できているのかわかり兼ねるところがあります。


上場承認時は通常営業だと思われますが上場時に世界がどのようになっているのか予想がつきません。ベトナムとミャンマー子会社も心配です。


また松屋アールアンドディで面白いのは次世代研究技術でAIを使った縫製を行っていることです。この技術が取り入れられるようになればミスも少なく人件費コストも下がるのではないでしょうか。またドローン用エアバックなども制作しているようです。


ユニコーンの2号案件が登場したので「オリーブ技研」に投資してみました。株主優待の卵がどれだけ美味しいのか期待をしています。それにシニアベンチャーという言葉に惹かれました。


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