エコム(6225)のIPOが名古屋証券取引所のメイン市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。


上場ラッシュでなければ問題ありませんが地方市場に資金が集まるのかやや不安な銘柄です。


主幹事は東海東京証券が務め公開株数140,000株、オーバーアロットメント21,000株です。上場規模は想定発行価格1,680円から計算すると約2.7億円になります。


エコム(6225)IPOが上場承認
※エコム公式サイト引用


カーボンニュートラルのテーマを持った事業になり個人的に好きなIPOです。名証メイン市場への上場なので2.7億円程度の資金は集まると考えています。


利益もしっかり出ている印象を持ちます。ただ売上が下げ続けていることが気になります。


同社は燃焼技術とエネルギー管理という専門性的な技術を持っているため社会環境へ貢献できると考えています。かなりニッチな事業だと思いますがIoTを駆使した経営戦略などを確立していくようです。


自動車産業を中心とした顧客層となっていますが、海外に拠点を持つ既存顧客へのアプローチも行っているようです。株式会社ノリタケカンパニーリミテドと提携を図り、海外事業の拡大・成長の機会を検討しているようです。


個人的に嫌いじゃないですね!


エコム(6225)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました

項目上場基本データ
上場日3月31日
市場名古屋証券取引所メイン市場
業種機械
事業内容工業炉の開発・設計・製造及び保守点検
ブックビルディング3月15日~3月22日
想定価格1,680円
仮条件1,600円~1,680円
公開価格1,680円
初値結果1,714円(公開価格1.02倍)
企業情報https://ecom-jp.co.jp/
監査人有限責任監査法人トーマツ
手取金の使途
  • 設備資金
  • 長期借入金返済


項目株数データ
公募株数20,000株
売出株数120,000株
公開株数(合計)140,000株
オーバーアロットメント21,000株
上場時発行済み株数1,013,500株
※公募分を含む
想定ベースの時価総額約17.0億円
幹事団東海東京証券(主幹事)
SBI証券
SMBC日興証券
松井証券
マネックス証券
楽天証券
極東証券
岡三証券
水戸証券
安藤証券
丸三証券
委託見込岡三オンライン
DMM.com証券


エコム(6225)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました

想定発行価格1,680円を基に吸収金額を算出すると約2.4億円となり、オーバーアロットメントを含めると約2.7億円規模の上場となります。


エコムは工業炉の設計から稼働後の保守サービスまで全工程を一貫して行う「熱技術総合エンジニアリング企業」になるそうです。


熱のスペシャリスト集団として、工場の省エネルギー化を実現し「加熱技術で環境問題に取り組む企業」を企業目標に掲げています。


気候変動の要因と考えられる二酸化炭素の排出量低減に、同社の加熱技術を活かしたい考えがあるそうです!


2050年にカーボンニュートラルを目指す日本の社会的要請に対して、同社は脱炭素社会の中で求められる工業炉の省エネルギー化を事業活動の中心に位置付け、その事業活動と社会貢献を両立し持続可能な成長を目指すようです。


テーマ性があるようにも感じますね。


エコム(6225)の業績
※有価証券届出書引用


事業セグメントは工業炉の開発・設計・製造を行う「産業システム事業」と工業炉の点検、監視、改造工事を行う「保守サービス事業」で構成されています。


設計のみ、製造のみを請け負うメーカーが多い中で川上の設計から川下の保守までの一連の工程すべてを自社で行えることが強みとなっています。


エコムIPOの事業内容と売上
※有価証券届出書引用


産業システム事業は産業用の大型工業炉をオーダーメイドで設計・製造する事業です。「ファーネスプロダクツ」「ヒートトライアル」「省エネ環境デバイス」の3つの分野で構成されています。


産業システム事業における受注の78.1%が自動車業界向けとなっています。


自動車部品の製造にはアルミ溶解、塗装乾燥、部品の強度を高めるためのアニール処理など様々な熱処理が必要です。


ヒートトライアルは製品加熱テストのことになります。


省エネ環境デバイスでは、高温空気燃焼技術を採用し排熱回収式熱交換器搭載型の省エネバーナー「ecoNext(エコネクスト)」、遠赤外線効果により加熱処理時間を短縮可能とした遠赤外線パネルヒーター「EIRヒーター」が代表製品となっています。


エコムIPOの販売実績と取引先
※有価証券届出書引用


保守サービス事業は同社の祖業のビジネスになります。


全国で539社、1,252設備の工業炉のメンテナンスを請け負っています。※2022年12月31日現在


顧客が保有する工業炉を安全にかつ省エネルギーで長い間稼働、使用し続けられるように定期・不定期に点検し、時に改修工事の提案などを行う業務です。


利益率が高く景気に左右されにくいのが特徴となっています。


エコム(6225)の株主状況とロックアップについて調べました

会社設立は1985年8月17日、静岡県浜松市浜北区平口5277番地1に本社を構えます。代表取締役は髙梨智志氏(1970年10月02日生まれ)、株式保有率は30.63%(271,500株)です。


従業員数63人で臨時雇用者0人、平均年齢34.6歳、平均勤続年数10.3年、平均年間給与4,893,195円です。


セグメント別従業員数は産業システム事業43人、保守サービス事業15人、全社共通5人になります。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
髙梨 智志271,500株30.63%
髙梨 今日子212,500株23.97%
東京中小企業投資育成株式会社150,000株16.92%
エコム社員持株会90,500株10.21%×
株式会社ノリタケカンパニーリミテド51,000株5.75%
しんきん-やらまいか投資事業有限責任組合46,000株5.19%
関西電力株式会社30,500株3.44%
※株主上位7名の状況、△表示は新株予約権を表します


上位株主には180日間(2023年9月26日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。


親引けは14,000株を上限としてエコム社員持株会が引受ける予定となっています。


エコム(6225)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


仮条件が1,600円~1,680円に決定し想定発行価格が上限となっています。吸収金額は最大で約2.7億円、時価総額約17.4億円のままです。


売上の8割が自動車業界向けでコロナ禍では業績の落ち込みが見られます。資源価格の高騰や円安もかなりの負担となっていたようですね。


今期は産業システム事業が回復傾向にあり業績が回復しているようです。また、利益はしっかり出ていますが配当はまだ少ないようです。


予想値を見る限り、地方上場だと2.7億円の吸収も出来ないのか?と感じます。名古屋証券取引所のIPOは4連続中となっているため警戒している投資家も多そうです。


大手初値予想1,500円~1,700円
修正値1,545円~1,600円
直前予想1,545円

※注目度C


業績を確認すると2023年7月期の単独予想を確認することができました。売上23.55億円となり前期比56.90%増、経常利益2.23億円となり前期比110.38%増となります。


四半期利益は2.63億円となり前期比160.40%増を予想しています。


旧本社の売却益と自治体補助金により特別利益が計上され、四半期利益が経常利益よりも大きくなっています。


公開価格が1,680円決定の場合の指標はEPS300.34からPER5.59倍、BPS3,195.87からPBR0.53倍になります。配当金は33円予想のため配当利回りが1.96%になります。


競合不在で大手との提携が材料となります。しかし地方市場で割安感があまりないことから初値では買われにくいようです。


そもそも公募組の多くはスルーだと思っています。IPO抽選に参加する方のほうが少ないでしょう。


幹事名割当株数引受割合
東海東京証券(主幹事)124,600株89.00%
SBI証券2,800株2.00%
SMBC日興証券1,400株1.00%
松井証券1,400株1.00%
マネックス証券1,400株1.00%
楽天証券1,400株1.00%
極東証券1,400株1.00%
岡三証券1,400株1.00%
水戸証券1,400株1.00%
安藤証券1,400株1.00%
丸三証券1,400株1.00%


東海東京証券の息がかかった地域の上場と言えそうです。


競合との比較が現時点でわかりませんがしっかりとした企業イメージだと感じます。IPO的には人気がないでしょう。


配当に期待したいと思いますが配当性向が直近で8.7%になっています。あまり期待できないようですね。


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類似企業のPERやPBRを調べました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
中外炉工業(1964)PER12.41倍PBR0.62倍
ノリタケカンパニーリミテド(5331)PER6.39倍PBR0.53倍
日本坩堝(5355)PER21.62倍PBR0.71倍
※2023年3月17日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2021年8月01日~2029年6月19日15,000株2,600円


ストックオプション(新株予約権)は15,000株が上場時に行使期限を迎えます。


発行済株式総数1,013,500株に対する新株予約権の割合は1.48%に相当します。新株予約権による潜在株式数は15,000株です。


エコム(6225)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ

エコムのIPOは無理をして申込むような銘柄ではないと思います。


資金的な余裕が無ければスルーで良いと思います。東海東京証券の株式売買手数料を考えると損失となることも考えられます。


エコム(6225)IPOのまとめ
※エコム公式サイト引用


同社のようなニッチ事業は個人的に好きです。ただ初値売却益を考えると盛り上がりに欠けると思います。


上場が混雑する時期にしれっと上場するようにも感じますからね。


実力ある企業だと思いますが、温暖化やカーボンニュートラルの材料で買われるのか?と心配面もあります。


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