アズーム(3496)IPOが東証マザーズに新規上場承認されました。主幹事はみずほ証券となり、またもや不動産業となっています。公開株数275,000株、オーバーアロットメント41,200株となり、市場から吸収する金額は想定発行価格ベースで約9.2億円となります。
事業は「月極駐車場紹介サービス及び月極駐車場サブリースサービス」となり一見地味ですが、月極駐車場のポータルサイト運営なども手掛けておりITを扱っていることも評価されそうです。
売上は拡大傾向にあり、前期(平成29年)から黒字に転換している企業です。最近のIPOは赤字から黒字へ転換するタイミングでの上場が多い気がしますが、どれも初値は高くなっているように思います。アズームは公開株式数が少なく値がさ株なので利益も大きくなる可能性があります。
アズーム(3496)IPOの詳細データ
項目 | 上場基本データ |
市場 | マザーズ |
業種 | 不動産業 |
事業内容 | 月極駐車場紹介サービス及び月極駐車場サブリースサービス |
公開予定 | 9月20日 |
ブックビルディング期間 | 9月03日~9月07日 |
想定価格 | 2,900円 |
仮条件 | 2,900円~3,000円 |
公開価格 | 9月10日 |
企業情報 | https://azoom.jp/ |
【手取金の使途】
差引手取概算額659,000千円については、当社遊休不動産活用事業の拡大のため、駐車場管理システムの増強、駐車場コンバーターシステムの開発及び駐車場サービス以外のシステム開発資金として135,000千円、事業拡大のための採用費として71,000千円、増加した人員に対する人件費として291,000千円、さらには当社カーパーキング等のポータルサイトへの問い合わせ増加を図るため広告宣伝費として162,000千円への充当を予定しております。具体的には以下のとおりに充当する予定であります。
①当社の月極駐車場紹介サービス及び月極駐車場サブリースサービスの更なる業務効率化やデータ活用による収益拡大を図るための駐車場管理システムの増強費用として100,000千円、駐車場情報入力コンバーターシステムの開発費用として20,000千円、駐車場以外のサービスである屋外広告検索ポータルサイト「アドウォール」の更なるサイト強化のための開発費用として15,000千円に充当する予定
②当社駐車場サービスのさらなる拡大や新規サービス推進のための人員増加を進めるため、採用費として71,000千円を充当する予定
③増加した人員に対する人件費として291,000千円を充当する予定
④当社月極駐車場検索ポータルサイトの問い合わせ数の更なる向上や駐車場サービス以外の知名度向上等を図るためにリスティング広告を中心としたデジタルマーケティング費用を含む広告宣伝費として162,000千円を充当する予定
項目 | 株数データ |
公募株数 | 250,000株 |
売出株数 | 25,000株 |
公開株数(合計) | 275,000株 |
オーバーアロットメント | 41,200株 |
上場時発行済み株数 | 1,453,000株(公募分を含む) |
想定ベースの時価総額 | 約42.1億円 |
幹事団 | みずほ証券(主幹事) SBI証券 東海東京証券 マネックス証券 ←完全平等抽選 エース証券 極東証券 |
アズーム(3496)上場評判とIPO分析
想定発行価格2,900円を基に吸収金額を算出すると約7.98億円となり、オーバーアロットメントを含めると約9.17億円規模の上場となります。上場規模は新興市場として通常サイズとなり荷もたれ感はないものの業績が少し心配でしょうか。事業は空き駐車スペースの活用に重点をおき、遊休不動産の活用を事業としています。駐車場(駐車スペース)は月極駐車場と時間貸し駐車場に区分され同社の主力事業は「月極駐車場」になります。同社はインターネット上にて、月極駐車場のポータルサイト「CarParking」及び東京23区内特化型の月極駐車場のポータルサイト「CarPark」を運営しています。
主要サービスである駐車場サービスは、カーパーキングを経由して駐車場の紹介を行う「月極駐車場紹介サービス」と、駐車場オーナーから空き駐車場を借り上げ、月極駐車場としてユーザーにサブリースを行う「月極駐車場サブリースサービス」を中心として事業展開しています。
月極駐車場紹介サービスは全都道府県を対象地区とし、月極駐車場サブリースサービスは、「関東地区」や「関西地区」「九州地区」を対象としています。
平成30年6月末における掲載物件情報数は47,767件あり、最新情報への更新を随時行っているそうです。掲載件数の増加とともにユーザーにとって多くの駐車場を探すことができるようになり、問い合わせ件数の増加につながることで同社の収益期待も増える構造のようです。
月極駐車場サブリースサービスはマンションやオフィスに設置されている駐車場において、借主が見つからず収益を生んでいない区画をオーナーから一括借り上げし、ユーザーに対してサブリース(貸し付け)を行うサービスです。
オーナーにとっては、毎月一定の賃料が入金されることに加え、手間のかかる利用者の募集、ユーザーとの契約業務、賃料の督促対応、解約の対応、トラブル対応などを同社が行うメリットがあります。
同社には、カーパーキングにて月極駐車場を探しているユーザーが当社に問い合わせをし、そのユーザーに対してサブリース(貸し付け)を行うことによって毎月安定的な賃料収入を獲得する機会が生まれることになります。
その他サービスでは、時間貸し駐車場のポータルサイトである「コインパサーチ」、空き家に関する情報サイト「空き家ナビ」、屋外広告検索ポータルサイトである「アドウォール」、月極バイク駐車場のポータルサイトである「バイクル」をリリースし各サービスを提供しています。
アズーム(3496)の企業財務情報と配当性向
回次 | 第7期 | 第8期 |
決算年月 | 平成28年9月 | 平成29年9月 |
売上高 | 803,725 | 1,220,525 |
経常利益又は経常損失 | △27,623 | 29,992 |
当期純利益又は当期純損失 | △28,309 | 36,940 |
資本金 | 20,094 | 70,094 |
純資産額 | △102,644 | 34,296 |
総資産額 | 159,506 | 357,403 |
1株当たり純資産額 | △89.41 | 28.51 |
1株当たり当期純利益金額 | △25.72 | 31.96 |
自己資本比率(%) | △64.4 | 9.6 |
自己資本利益率(%) | – | – |
株価収益率(倍) | – | – |
配当性向(%) | – | – |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 37,921 | 61,729 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △4,721 | △12,277 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △13,180 | 97,823 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 21,447 | 168,723 |
第9期第3四半期累計期間(平成29年10月01日~平成30年6月30日)
売上高1,326,957千円
営業利益131,560千円
経常利益129,584千円
四半期純利益83,574千円
国内における駐車場業界につきましては、都市部における慢性的な駐車場不足の解消のため、将来的にマーケット規模の拡大が見込まれております。また、オフィスビルやマンションに付随している駐車場のみならず個人宅などの限られたスペースを駐車場として運営する取組みをはじめ、「世の中の遊休不動産を活躍する不動産に」という経営理念のもと、積極的な人材採用と人材育成により組織体制を強化し、規模拡大に注力致しました。
アズーム(3496)従業員と株主の状況
会社設立は2009年10月09日、東京都渋谷区代々木二丁目1番1号に本社を構えます。社長は菅田洋司氏(昭和52年1月27日生まれ)、株式保有率は46.84%です。
従業員数は64人で臨時雇用者が20人、平均年齢28.0歳、平均勤続年数2.5年、平均年間給与4,597,000円となります。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) |
菅田 洋司 | 590,000 | 46.84 |
株式会社パノラマ | 360,000 | 28.58 |
SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合 | 55,000 | 4.37 |
鈴木 雄也 | 37,500 | 2.98 |
高橋 崇晃 | 36,500 | 2.90 |
立川 健悟 | 33,000 | 2.62 |
櫛田 邦男 | 32,000 | 2.54 |
【目論見抜粋】
本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人かつ貸株人である菅田洋司並びに当社株主である株式会社パノラマ、鈴木雄也、高橋崇晃、立川健悟、櫛田邦男、眞鍋隆司、有限会社ヒフミ・コンサルティング、倉島文雄、高橋祐二及び細井玲は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)90日目の平成30年12月18日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと、グリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、東京証券取引所における初値が形成された後に主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等は行わない旨合意しております。
上位株主には90日間(平成30年12月18日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率は発行価格の1.5倍となります。ベンチャーキャピタルの「SMBCベンチャーキャピタル3号投資事業有限責任組合」にはロックアップが掛けられていません。
アズーム(3496)IPO大手初値予想と各社配分
想定発行価格2,900円を下限として、仮条件は上限方向に引き上げられ2,900円~3,000円となります。これに伴う資金吸収は約8.25億円、オーバーアロットメントを含めると約9.49億円となります。公開株数などの変更ありません。2018年9月の単独業績予想は売上49%増、経常利益565.5%増(1.64億円増)と大幅な増収増益となります。EPS112.08を基にPERを算出すると約26.77倍、BPS570.06を基にPBRを算出すると約5.26倍となります。配当はありません。
初値予想5,400円~6,000円
初値予想(第2弾)5,400円~6,000円
ロックアップは90日間となり、解除倍率は1.5倍の4,500円となります。不動産とITの融合を前面に出した企業になり、赤字から黒字化し業績が急拡大中のマザーズらしい銘柄と言えます。上場で得た資金は、屋外広告検索ポータルサイトの開発費用や人材雇用、広告宣伝費などへ使うようです。
幹事名 | 配分単位(株) |
みずほ証券(主幹事) | 247,700 |
SBI証券 | 11,000 |
東海東京証券 | 8,200 |
マネックス証券 | 2,700 |
エース証券 | 2,700 |
極東証券 | 2,700 |
類似企業 | PER | PBR |
日本駐車場開発(2353) | PER25.82倍 | PBR7.6倍 |
フィル・カンパニー(3267) | PER79倍 | PBR16.75倍 |
パーク24(4666) | PER35.98倍 | PBR5.45倍 |
当選を狙うにはみずほ証券からの申込みは必須になりそうですが、公開株数が少ないため当選期待は低いと思われます。狙いはSBI証券のIPOチャレンジポイントでしょうか。先日、IPOチャレンジポイントとSBIポイントの記事を書きましたので、ポイントの区別がわからない方は参考にして頂ければと思います。
⇒ SBIポイントとIPOチャレンジポイントは違うぞ!
秋のソフトバンク上場ではネット証券からの申込みも期待できそうですが、東海東京証券の幹事入りも個人的に期待しています。日本郵政やJR九州上場でも活躍してくれている企業です。IPO投資に積極的な方は口座を開設しておくとチャンスがあるかもしれません。
アズームのストックオプション詳細を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数(株) | 発行価格(円) |
平成29年6月26日~平成37年6月24日 | 15,200 | 430 |
平成30年4月29日~平成38年4月19日 | 17,300 | 103 |
平成30年9月22日~平成38年9月12日 | 2,400 | 103 |
平成31年2月05日~平成39年1月24日 | 21,700 | 600 |
上場日である9月20日時点では32,500株が行使期限にはいりますが、2営業日後にはさらに2,400株が行使期限を迎えるようです。発行価格は上記のように目論見に掲載があります。
アズーム(3496)IPO私見と申し込みスタンス
アズームIPOは悪くないと思いますが、赤字続きだったことが評価を下げているように思います。過去にはニッチな駐車場スペース活用で上場したフィル・カンパニー(3267)などもありたかが駐車場スペースとは思いませんが、どうでしょうか。公開株数は少なく、1枚あたりの単価設定も高いため人気になれば初値2倍は見込める感じでしょうか。駐車場スペースという事業は安定しているように思いますのでフィル・カンパニーのような展開も期待できそうです。時間がある方はチャートをご確認ください。
事業的にはパーク24(4666)が近いと思いますが、同社の場合は「IT×不動産」と前面に露出しているため、初値もそれなりにつけてくると思います。ただ上記にも書いていますが、当選確率は低いと思います。みずほ証券支店口座でも激戦だと思うため私は支店口座ですがネット申込です(涙)
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