ブルーイノベーション(5597)のIPOがグロース市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。面白い事業内容となっていますが万年赤字みたいです。
主幹事は大和証券が務め公開株数746,200株、オーバーアロットメント111,000株です。上場規模は想定発行価格1,300円から計算すると約11.1億円になります。
※ブルーイノベーション公式サイト引用
変則上場となっているため気を付けてください。上場日や日程に幅を持たせた内容のため面倒なIPOになっています。
売出株は少なめですがベンチャーキャピタル保有割合も多いためロックアップ解除項目のチエックが必要だと思います。
VC等は発行価格の1.5倍以上で売却可能になります。上場規模が小さいため儲かるのか気になりますよね。
IPO的には好まれそうな事業だと思います。ただ「黒字化できるの?」と思うところがあります。では詳しく調べてみたいと思います!
ブルーイノベーション(5597)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました
項目 | 上場基本データ |
上場日 | 12月12日~12月18日 ※12月12日に決定 |
市場 | グロース市場 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | 複数のドローン・ロボットを遠隔で制御し、統合管理するためのデバイス統合プラットフォームであるBlue Earth Platform®(BEP)をベースに、点検・教育・物流等のサービスを開発・提供 |
ブックビルディング | 11月27日~12月01日 |
想定価格 | 1,300円 |
仮条件 | 1,220円~1,320円 |
公開価格 | 1,584円 ※仮条件上限を20%上回る価格に決定 |
初値結果 | 2,023円(公開価格1.28倍) |
企業情報 | https://www.blue-i.co.jp/ |
監査人 | 太陽有限責任監査法人 |
手取金の使途 |
|
項目 | 株数データ |
公募株数 | 550,000株 |
売出株数 | 196,200株 |
公開株数(合計) | 746,200株 |
オーバーアロットメント | 111,000株 |
上場時発行済み株数 | 3,829,351株 ※公募分を含む |
想定ベースの時価総額 | 約49.8億円 |
幹事団 | 大和証券(主幹事) 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 SBI証券 楽天証券 岡三証券 マネックス証券 松井証券 |
委託見込 | 大和コネクト証券 auカブコム証券 岡三オンライン |
ブルーイノベーション(5597)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました
想定発行価格1,300円を基に吸収金額を算出すると約9.7億円となり、オーバーアロットメントを含めると約11.1億円規模の上場となります。同社は複数の自律移動ロボット(ドローンやAGV等)を遠隔で制御し、統合管理するためのソフトウェアプラットフォームであるBlue Earth Platform(BEP)を基軸にしています。
人が実施していた設備の点検、物流等の業務をドローンやAGVで代替して実施することにより効率化や安全化、省力化を図ることを目的としたソリューションの提供を行っています。
BEPとは、センサモジュールとソフトウェアで構成された自社開発の統合的なシステム上のプラットフォームのサービス総称になります。
顧客の課題に対応してドローンの機体とセンサ、並びにソフトウェア開発の適切な組み合わせをBEPの環境下で開発した上でソリューションとして提供します。
※有価証券届出書引用
事業は主にドローンを基軸として、点検、教育、物流及びネクストの4つのソリューションを提供しています。
2022年度における各ソリューションの売上比率は点検36%、教育27%(基礎教育19%、応用教育8%)、物流28%、ネクスト9%です。
各ソリューションについてBEPを軸としたパッケージを作り顧客にソリューション提供しています。
具体的には、各ソリューションのBEPパッケージの導入コンサルティング、実証実験から導入講習、トライアル導入、本格導入、保守メンテナンスを販売または継続収益形態によるサービスの提供を行っています。
※有価証券届出書引用
同社の強みは屋内施設のように一般のドローンでは飛行できない非GPS環境での点検や、屋外においてもGPS(衛星測位システム)のみでは高精度に点検できない特殊環境での点検に強みがあるそうです。
また、世界で競争環境の激しいハードウェアメーカーではなく、どのハードウェアデバイス(ドローン、AGV、ロボット等)とも繋がることが可能なソフトウェアの開発と提供を行っています。
※有価証券届出書引用
JUIDAや官公庁との連携により、法規制や実業務に即したソリューション特化型カリキュラムの共同開発を行っています。
また、全国のパイロットのスキルなど管理するシステムや実運用に向けたノウハウを全国に展開しています。
全国でトータル9万人以上のパイロットネットワークと繋がり、点検ソリューション等のドローンのソリューション提供時において、同時に数十箇所の複数拠点のドローン運用が同時に可能であることも強みとなっています。
ドローン教育の事業を有することがユニークな業界内のポジショニングにつながっているそうです!
ブルーイノベーション(5597)の株主状況とロックアップについて調べました
会社設立は1999年6月10日、東京都文京区本郷五丁目33番10号に本社を構えます。代表取締役社長最高執行役員は熊田貴之氏(1976年8月27日生まれ)、株式保有率は44.69%(1,620,000株)です。従業員数66人で臨時雇用者11人、平均年齢41.5歳、平均勤続年数4.1年、平均年間給与6,709,000円です。
セグメントはドローン関連事業の単一セグメントになります。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
熊田 貴之 | 1,620,000株 | 44.69% | ○ |
けいはんな学研都市ATRベンチャーNVCC投資事業有限責任組合 | 682,802株 | 18.84% | ○ |
熊田 雅之 | 195,000株 | 5.38% | ○ |
TBSイノベーション・パートナーズ1号投資事業組合 | 128,571株 | 3.55% | ○ |
株式会社レスターホールディングス | 100,000株 | 2.76% | ○ |
大成株式会社 | 100,000株 | 2.76% | ○ |
株式会社SBI新生銀行 | 75,000株 | 2.07% | ○ |
熊田貴之氏、及び熊田雅之氏には180日間のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。
また、ベンチャーキャピタルや出資企業に対して90日間のロックアップ付与、発行価格(売出価格)の1.5倍以上でロックアップが解除されます。
さらに、複数の新株予約権者に対して90日間は新株予約権及び新株予約権の行使により取得した普通株式の売却を行わない合意が行われています。
上場前の第三者割当等による新株予約権の割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っています。
親引けはありません。
ブルーイノベーション(5597)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。仮条件が1,220円~1,320円に決定し吸収金額は最大で約11.3億円、時価総額は約50.5億円になります。
赤字ドローンベンチャーで業績面の評価はまだ難しそうです。ただドローンベンチャーとしては2社目の上場であることから注目度が高いと観測されています。
直近に出資したベンチャーキャピタル(VC)の出資金額が2,000円~2,200円となっていることでダウンラウンド案件になります。
状況的には節目の2,000円程度が期待できると観測されています。赤字額は減っていますが早くても再来期に黒字転換できるかどうかでしょうか。赤字縮小のペースが遅いんですよね。
修正値2,000円~2,200円
再修正2,500円以上
最終予想3,000円
※注目度B、再修正は12月07日に追記
業績を確認すると2023年12月期の単独予想を確認することができました。売上12.55億円となり前期比38.22%増、経常利益-2.97億円となり前期-3.41億円から赤字が縮小します。
四半期利益は-2.99億円となり前期-3.45億円から赤字縮小の予想が出ています。
公開価格が1,320円決定の場合の指標はEPS-90.58からPERは算出不可、BPS202.11からPBR6.53倍になります。配当や株主優待の設定は現時点でありません。
初値はロックアップが解除となる1,980円が意識され、話題性から買われる環境と観測されています。
そもそも出資企業が高い値段で同社株を保有しているため2,000円程度で処分するのか?という疑問もあります。人気が高まれば2,500円程度まで行くかもしれません。
ただ一部のファンドは取得単価が低いため多少の売りは想定しておいたほうがよさそうです!
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
大和証券(主幹事) | 694,200株 | 93.03% |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 18,600株 | 2.49% |
SBI証券 | 14,900株 | 2.00% |
楽天証券 | 7,400株 | 0.99% |
岡三証券 | 3,700株 | 0.50% |
マネックス証券 | 3,700株 | 0.50% |
松井証券 | 3,700株 | 0.50% |
BERを基軸にドローン適用拡大を進めながらロボットとの連携を実現している企業です。
現在は赤字体質のため上場規模が小さくても投資を考えると不安です。VCや新株予約権は2,200円なのでダウンラウンドになるようですが割安と言っていいのか微妙です。
VCが損してまで株式を売却しないと考えると初値は高くなりそうなんですけどね。とりあえず2,000円あたりを目処に考えておいて良いのでは?と思います。
大和証券からの当選はまだ頂いていませんが、委託販売の大和コネクト証券からは2023年も当選を頂いています。今年は大和証券でIPOが当選する気が全くしません。
今回も大和コネクト証券からの当選を期待したいと思います。IPOルールは下記記事でまとめています。まだ証券口座を開設していない方は意外と当選するのでお勧めします。
大和コネクト証券でIPOの取扱いが発表されました。IPOルールや抽選に参加する際の注意事項などを徹底的にまとめてみたので、応募を行う前に確認を行っておきましょう。実は凄いことに気が付きました。当選確率を高める方法 …
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類似企業のPERやPBRを調べました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
菊池製作所(3444) | PER-倍 | PBR1.05倍 |
ACSL(6232) | PER-倍 | PBR5.93倍 |
CYBERDYNE(7779) | PER-倍 | PBR1.20倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
2018年6月01日~2026年6月29日 | 59,700株 | 460円 |
2019年4月01日~2027年3月31日 | 22,520株 | 700円 |
2020年6月01日~2028年5月28日 | 63,090株 | 1,000円 |
2021年5月11日~2029年5月10日 | 22,780株 | 1,800円 |
2022年7月22日~2030年7月21日 | 52,320株 | 2,000円 |
2022年12月23日~2030年12月22日 | 3,430株 | 2,000円 |
2024年3月18日~2032年3月17日 | 70,650株 | 2,200円 |
2024年4月20日~2032年4月19日 | 5,000株 | 2,200円 |
2024年11月18日~2032年11月17日 | 8,730株 | 2,200円 |
2025年3月17日~2033年3月16日 | 37,420株 | 2,200円 |
ストックオプション(新株予約権)は223,840株が上場時に行使期限を迎えます。
発行済株式総数3,279,351株に対する新株予約権の割合は10.5%に相当します。新株予約権による潜在株式数は345,640株です。
ブルーイノベーション(5597)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ
ブルーイノベーションのIPOは参加する方向で考えています。ある程度人気が見込めると思うのでほぼ全力申込になりそうです。VCが2,200円取得なので公募組にはアドバンテージがありそうですからね。
※ブルーイノベーション公式サイト引用
ただ赤字企業なので詳しく調べてから投資することをお勧めします。この記事にも仮条件発表後に追記します。
ドローンビジネスを行っている国内企業は既に複数あるため、同社の優位性がどの程度あるのかがポイントだと思います。
導入コンサルティングからアジャイル型のソリューション開発、運用・サポートまで一気通貫で提供しているそうです。世界中から人材を採用し世界10ヶ国・地域以上から技術者が参加しているそうです。
同社の言い訳かもしれませんが、一応、コストの大半は人件費と研究開発費が占める状況だそうです。先行して人員と研究開発を増強しているため営業損失を計上しているとあります。
直近の四半期確認では純損失が2.5億円~4.0億円位になっています。上場しても赤字が続くとすぐキャッシュがなくなりますよね。
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