ペイロール(4489)のIPOがマザーズに新規上場承認されたので詳しくご紹介したいと思います。今回も業績や上場規模などを確認し、IPO抽選に参考になるような情報を評価してみたいと思います。


主幹事は野村證券が務め公開株数6,838,000株、オーバーアロットメント1,025,700株です。上場規模は想定発行価格1,380円から計算すると約108.5億円になります。


上場日の6月22日は大混雑なのでペイロールの初値は期待ができない可能性があります。海外配分の割合が高ければ何とか公開価格を超えてくるか?と考えています。


ペイロール(4489)IPOの初値予想と上場
※ペイロール公式サイト引用


売出人は全てベンチャーキャピタルなので換金売りでしょう。しかも上場規模が大きいため公募組も躊躇しそうです。


同日上場にはデコルテ・ホールディングス(7372)と東海道リート投資法人(2989)があります。リートは投資対象者が異なると思いますが、公募組は全てに目を通していると思います。


なぜ上場日をずらさないのか?と毎回疑問に思います。


ペイロールが行う給与計算業務アウトソーシング市場は拡大が見込まれており、今後も新規顧客の開拓が行われ期待できるそうです。最新のテクノロジーを利用したサービスを構築できるのも同社の魅力でしょう。


人事部門が担う給与計算業務のほぼ全てを受託できる、フルスコープ型アウトソーシングサービスの提供が他社との差別化になるようです。


IPO的に事業内容は悪くないかもしれませんが、吸収額とVC案件なのが問題ですよね。


ペイロール(4489)IPOの上場基本データと引受幹事

項目上場基本データ
市場マザーズ
業種情報・通信業
事業内容給与計算業務等のアウトソーシング事業
上場日6月22日
ブックビルディング期間6月03日~6月09日
想定価格1,380円
仮条件1,280円~1,380円
公開価格1,380円
初値結果1,290円(騰落率-6.52%)
企業情報https://www.payroll.co.jp/
監査人有限責任あずさ監査法人


【手取金の使途】

手取概算額535百万円については、新規顧客の受注獲得、既存顧客の満足度向上のため、基幹システム機能強化のための設備資金として500百万円を充当し、残額は業績拡大に向けた運転資金として充当する予定です。

設備投資の内容としては、給与計算アウトソーシング分野・領域のサービスの拡張を目的として、ユーザーインターフェースの改善や通勤費計算に関する機能強化等の基幹システム機能強化のため、500百万円を充当する予定であります。

また、残額は業績拡大への対応を目的として、将来における採用活動費及び人件費等の運転資金に充当する予定であります。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



項目株数データ
公募株数428,000株
売出株数6,410,000株
公開株数(合計)6,838,000株
オーバーアロットメント1,025,700株
上場時発行済み株数17,906,100株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約247.1億円
幹事団野村證券(主幹事)
SMBC日興証券
東海東京証券
岡地証券
SBI証券
いちよし証券
委託見込SBIネオトレード証券
DMM.com証券


ペイロール(4489)上場評判とIPO分析

想定発行価格1,380円を基に吸収金額を算出すると約94.4億円となり、オーバーアロットメントを含めると約108.5億円規模の上場となります。マザーズで100億円規模の上場だと余程人気がないと厳しいと感じます。


同社グループはペイロール及び連結子会社1社(HRテクノロジーソリューションズ)から構成されています。マネージドサービスと、クラウドサービスを用いた給与計算業務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を主たる事業としいます。


同社グループの給与計算業務のアウトソーシングサービスは、給与・定期賞与計算はもちろん、年末調整補助業務や地方税特別徴収補助などの季節性業務、身上異動等の人事関連業務、従業員及び各拠点との直接対応など、給与計算に関わる様々な周辺業務をサポートしています。


また「フルスコープ型アウトソーシング」と呼ばれ、顧客企業の人事・労務関連業務の工数削減を行い、コア業務に特化するためのサービスを提供しています。


2016年1月よりマイナンバー制度の開始に伴い、フルスコープ型アウトソーシングサービスのノウハウを活かした「マイナンバー管理サービス」の提供も行っています。


同社は給与計算のみを受託するのではなく、サポート範囲を給与計算に関わる業務とし、法改正等の市場の動向に合わせて業務範囲の拡大を行うことで、給与計算業務を受託するマーケットにおいて競争力を有するそうです。


これらが顧客企業の満足度の向上にもつながっており、2020年3月期実績として、97.8%のリテンション率を有しているそうです。収入形態はストック型の事業モデルとなります。


ペイロール(4489)IPOの上場評判と業績
※有価証券届出書引用


フルスコープ型アウトソーシングは、企業の人事部門に代わり、顧客企業の人事部門が担っている給与計算業務を受託することで、顧客企業に対し工数削減、コア業務への特化を実現することができるサービスです。


フルスコープ型アウトソーシングの特徴である「業務範囲が給与計算のみならず、その周辺業務まで幅広く扱うこと」、「従業員に対する申請の督促や問い合わせ、従業員からの問い合わせ受付などの従業員直接対応業務を受託すること」を実現することで、


顧客企業は給与計算に関する多大な業務から解放され、同時に同社グループは顧客企業の人事部門の一部として、その土台を根底から支える存在として機能することができるそうです。


ペイロール(4489)のフルスコープ型アウトソーシング
※有価証券届出書引用


業務ごとに標準フローやオペレーションシステムを構築し、専門センターを設置し、このセンターを活用することで大量処理や幅広い業務を効率的に実施しています。


この他、クラウドサービスにより顧客企業の更なる利便性の向上を図るとともに各種サービスの品質を高めることができます。


同社グループは、パソコンとインターネット環境があればすぐに導入できるWebサービス(e-payサービス)を提供しており、顧客企業のシステム負担の最小化を実現しています。


e-payサービスでは各種計算結果の納品、人事関連情報の管理など、給与計算に関わるサービスを簡単に利用できる形で提供しています。


ペイロール(4489)IPOの販売実績
※有価証券届出書引用


さらにプライバシーマーク及びISMSの認証取得、SSAE18及びISAE3402に準拠したType2報告書など外部機関による各種認証・評価を受け、顧客企業に安心・確実な業務を提供しています。


具体的なサービスでは給与計算業務のアウトソーシングサービスの「フルスコープ型アウトソーシング」を提供しており、サービスラインナップは「給与・定期賞与計算」「年末調整補助」「地方税特別徴収補助」を基本サービスとして、附随する各種オプションサービスを提供しています。


マイナンバー管理サービスは、マイナンバー対応により発生する業務負担の最小化をサービスコンセプトとしており、給与計算業務のアウトソーシングサービスで培ったノウハウを活かし、保管・管理・削除に伴う業務負担、情報漏洩リスクなどの軽減を実現できるそうです。


ペイロール(4489)の企業財務情報と配当性向

回次第2期第3期
決算年月2019年3月2020年3月
売上収益6,629,0037,252,039
税引前利益934,2571,069,577
親会社株主に帰属する当期純利益649,372727,897
親会社の所有者に帰属する当期包括利益649,372727,897
親会社の所有者に帰属する持分9,097,3029,829,413
総資産額20,195,64420,267,856
1株当たり親会社所有者帰属持分520.50562.38
基本的1株当たり当期利益37.1541.65
希薄化後1株当たり当期利益36.7841.09
親会社所有者帰属持分比率(%)45.048.5
親会社所有者帰属持分当期利益率(%)7.47.7
株価収益率(倍)
配当性向(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー1,785,0641,450,850
投資活動によるキャッシュ・フロー△919,073△649,051
財務活動によるキャッシュ・フロー△1,050,355△741,046
現金及び現金同等物の期末残高686,608747,361
※数値は千円単位(国際会計基準)



第4期第3四半期連結累計期間(2020年4月01日~2020年12月31日)
  • 売上収益4,886,936千円(前年同期比3.0%増)
  • 営業利益692,673千円(前年同期比23.8%増)
  • 税引前四半期利益634,434千円(前年同期比27.5%増)
  • 親会社の所有者に帰属する四半期利益は416,672千円(前年同期比28.2%増)



【第4期第3期のチェックポイント!】

給与計算アウトソーシング業界の動向としては、ペーパーレス化やテレワークの推進及び人事部門がコア業務へ特化するための施策、BCP対策の一環として検討を進める企業もあり、需要が引き続き堅調に推移しています。

また、前期からの継続案件の商談と新規案件の開拓に注力しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために政府が発出した緊急事態宣言の影響等により営業活動自粛の影響をうけています。緊急事態宣言の解除後においても、人事担当者向けの各種イベントの自粛により、販売促進活動が限定的となっています。

緊急事態宣言の解除後には人事部門が新型コロナウイルス対策や、リモートワークへの対応で繁忙となり、商談が長期化し新規受注の獲得が想定よりも下回ったとありますが、現時点ではテレワークの浸透やWEB会議の開催により改善傾向だそうです。


ペイロール(4489)の株主状況とロックアップについて

会社設立は2017年4月19日、東京都江東区有明三丁目5番7号に本社を構えます。社長は湯浅哲哉氏(1958年12月15日生まれ)、株式保有率は5.46%(987,000株)です。


従業員数566人で臨時雇用者507人、平均年齢33.9歳、平均勤続年数2.6年、平均年間給与4,498,761円です。連結会社の従業員も同人数となっています。


セグメントはBPO事業の単一セグメントです。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
Pacificグロース投資事業有限責任組合4,000,100株22.13%
Pacific戦略投資1号投資事業有限責任組合3,816,600株21.11%
Pacific2号投資事業有限責任組合2,540,000株14.05%
リサ・コーポレート・ソリューション・ファンド4号投資事業有限責任組合2,533,400株14.01%×
Pacificグロース3号投資事業有限責任組合1,280,000株7.08%
Pacificプリンシパル投資事業有限責任組合1,250,000株6.91%
株式会社アイネット1,000,000株5.53%
※株主上位7名の状況


【ロックアップについて】

募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人であるPacific グロース投資事業有限責任組合及びPacific2号投資事業有限責任組合並びに当社株主であるPacific戦略投資1号投資事業有限責任組合、Pacificグロース3号投資事業有限責任組合、Pacificプリンシパル投資事業有限責任組合、株式会社アイネット、湯浅哲哉、前田有美及び益田美貴は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年9月19日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等は行わない旨合意しております。

加えて、当社株主であるペイロール従業員持株会は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後180日目の2021年12月18日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等は行わない旨合意しております。

また、当社の新株予約権者である山﨑雅敏、浅井周嗣、安川悠介、中村雄樹、樋口浩二、江刺家亜沙美、木村嵩、富岡大、矢野英理子、穂坂英、徳野貴信、田中健太郎、巴祐治、中富初美、森圭司及び橋本修は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場日後90日目の2021年9月19日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。

※有価証券届出書(新規公開時)引用



上位株主には90日間(2021年9月19日まで)のロックアップが付与されています。また、ペイロール従業員持株会は180間(2021年12月18日まで)、新株予約権者には90日間(2021年9月19日まで)のロックアップが付与されています。


ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。


親引けは56,300株を上限として従業員持株会が引受ける予定です。想定ベースで7,800万円程度の買付けとなっています。


ペイロール(4489)IPOの初値予想と幹事引受け株数

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


仮条件範囲が想定発行価格を上限として1,280円~1,380円と下限方向に広げられています。吸収額は最大で108.5億円になり、時価総額は247.1億円です。


業績は堅調に推移しているため中長期投資であれば勝てるかもしれません。しかし短期で利益を出そうとすると既に高い株価設定となっていることから「難しいのではないか」という見立てのようです。


ファンド出口案件のため無理してIPOに参加しなくてもよいと個人的に考えています。


大手初値予想1,250円~1,400円
修正値1,283円~1,400円

※注目度A


業績を確認すると2022年3月期の連結予想を確認することができました。売上収益が85.69億円となり前期14.50%増、税引き前利益が14.24億円となり前期比23.61%増となります。


業績が好調のため株価設定も強気で攻めてきている観測がでています。四半期利益は10.88億円になり、前期比43.54%増と企業規模が大きい割に好調です。


大手情報にはダイレクトマーケティングミックス(7354)の名前が出ており「そのパターンになるのかも?」と個人的にも上場後の値動きの低迷を感じます。


上場してみなければわかりませんが、個人投資家の多くはペイロールに初期投資を行わない気がします。


単独上場であればまだよかったと思いますが、上場日の6月22日の中では人気が見込めないと多くの媒体で取上げられているようです。リートを含め4社上場となっています。


さらに投資を躊躇させるのは財務体質の悪さにより配当金がしばらく出せない可能性が高いそうです。その割に株価設定が高いのは如何なものでしょうか。


幹事名割当株数引受割合
野村證券(主幹事)6,154,200株90.00%
SMBC日興証券341,900株5.00%
東海東京証券136,700株2.00%
岡地証券68,400株1.00%
SBI証券68,400株1.00%
いちよし証券68,400株1.00%


当選を狙うのであれば野村證券からの申込みを優先しておきましょう単独主幹事となっています。資金不要でIPO抽選に参加できます!


利益見込みは低いと思いますがネット抽選だとキャンセルも気軽に行えると考えています。抽選に参加するなら必須口座だと思います。IPOルールは下記記事にまとめています。




また、野村證券が新しく投資情報アプリを無料で提供していることをご存知でしょうか?FINTOS!というアプリで投資情報をほぼ無料で見ることができます。


一部有料となっていますが、私は無料版だけを利用しています。しかもメールアドレスを登録せずに使い続けています。まだ知らない方はお勧めのアプリです。評判も上々です!!




また未上場企業(非上場企業)に投資ができるファンディーノさんとタイアップをさせて頂いています。


口座開設だけでAmazonギフト券が1,000円分貰えるためこの機会にご利用頂ければと思います。上場企業が出たことでかなり盛り上がっています!


株式投資型クラウドファンディング事業を行っている4社の代表にもインタビューさせて頂いています。投資前に参考にして頂けたらと思います。




類似企業のPERやPBRを調べてみました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
りらいあコミュニケーションズ(4708)PER14.8倍PBR1.83倍
ベルシステム24ホールディングス(6183)PER15.95倍PBR2.34倍
トランス・コスモス(9715)PER10.42倍PBR1.46倍
※2021年6月02日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
2019年12月16日~2027年12月13日240,000株525円
2019年12月16日~2027年12月13日120,000株510円
2019年12月16日~2027年12月13日240,000株525円


ストックオプション(新株予約権)は600,000株あるようです。


第1回新株予約権の240,000株は2019年4月19日付で付与されているそうです。信託契約における受託者となっていました。


ツイッターでもIPO記事のチェックができます!

最新情報を手に入れたい方やレア情報、気になったことをツイートしています。IPO投資歴は15年と長くソーシャルレンディングも6年目突入!安定の利益でブログも15年目に突入。


ペイロール(4489)IPOの評価と申し込みスタンスまとめ

ペイロールIPOは無理して参加するような銘柄ではないと思います。


仮条件後に投資を行うのか判断すればよい程度だと個人的考えています。利益見込みよりも公開価格割れを心配しています。


ペイロール(4489)IPOの評価
※ペイロール公式サイト引用


ベンチャーキャピタル案件は上場後に株価が上向くことも多いため焦って購入することはないと考えています。投資を行うのか判断する時間は十分あると思います。


同社の新規顧客の獲得を確認すると給与計算業務が複雑な大規模企業(従業員数1,000人以上を目安)から受注を積み重ねているようです。当面は、大規模企業に対して受注拡大を行う予定だそうです。


この辺りはVCの力が働いているはずです。長期的には中規模企業となる従業員数300人~1,000人程度の企業も検討していくそうです。


また国際会計基準(IFRS)なので第3期連結会計年度末の「のれん」を調べると、非流動資産にのれんを11,015,117千円計上しており、総資産に占める割合が54.3%と高くなっていました。


株式素人は色々と面倒なので長期で保有したくない銘柄でしょう。上場後もVCの売り圧力が長期間存在しますからね。


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松井証券が株主となっているため怪しい企業ではないと思います。既に投資しているため私は残念なキャンペーンだと感じました。詳しくは下記記事でまとめています。


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