国際紙パルプ商事(9274)IPOが新規上場承認されました。上場市場は東証1部または東証2部となっており、主幹事はみずほ証券が務めます。公開株数は7,000,000株、オーバーアロットメント1,050,000株と株数は多いですが、想定発行価格が344円と低いため上場による吸収額は約27.7億円とそれほど大きくありません。


時価総額が250億円になれば東証1部への直接上場も可能となるため、気になる案件です。事業は「紙パルプ卸売業」と地味ですが、上場規模などからインデックス買いを狙った先回り投資も期待ができそうです。地合いが悪くなければ公開価格を超えた初値が付くのではないかと感じます。


国際紙パルプ商事IPO上場と初値予想



株数から考えるとインターネット口座からの当選も十分可能だと思いますが、最低単元の100株配分だと少し寂しい感じがします。ただ今までIPOに当選されたことがない方は狙い目のIPOになると思います。絶対に損をしたくない方は投資を控えたほうが良いかもしれませんが、公開価格割れになっても単価が低いためそれほど下値不安もないでしょうか。
※投資は自己責任でお願いします


国際紙パルプ商事(9274)IPOの詳細データ

項目上場基本データ
市場東証1部又は東証2部
業種卸売業
事業内容国内外における紙パルプ卸売業
公開予定6月26日
ブックビルディング期間6月07日~6月13日
想定価格344円
仮条件314円~344円
公開価格6月14日
企業情報http://www.kppc.co.jp/ja/top.html


【手取金の使途】

手取概算額2,212,400千円については、「1 新規発行株式」の(注)4.に記載の第三者割当増資の手取概算額上限331,110千円と合わせた、手取概算額合計上限2,543,510千円について、社内基幹システム関連の設備投資に851,000千円、残額を金融機関からの借入金の返済に充当する予定であり、具体的には以下のとおりであります。

①設備投資
現行の当社社内基幹システムが老巧化しており、国内事業の業務効率化、グローバル対応、グループ経営管理の強化を目的とした社内基幹システムの更新、構築、改修等のため、851,000千円を平成31年3月までに充当する予定であります。

②借入金の返済
手取概算額合計上限2,543,510千円から①の金額を差し引いた残額は、運転資金等のために借り入れた金融機関からの短期借入金の返済として平成31年3月までに充当する予定であります。

なお、具体的な充当時期までは、安全性の高い金融商品等で運用していく方針であります。



項目株数データ
公募株数7,000,000株
売出株数0株
公開株数(合計)7,000,000株
オーバーアロットメント1,050,000株
上場時発行済み株数74,027,406株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約254.7億円
幹事団みずほ証券(主幹事)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 auカブコム証券
SMBC日興証券
岡三証券 岡三オンライン証券
いちよし証券
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国際紙パルプ商事(9274)上場評判とIPO分析

想定発行価格344円を基に吸収金額を算出すると約24.1億円となり、オーバーアロットメントを含めると約27.7億円規模の上場となります。上場規模からすると東証1部を狙っていると思われますが、東証2部でもそれほど不安はないためブックビルディング申込は積極的でよいかもしれません。


筆頭株主は王子ホールディングス(3861)で続く株主は日本製紙(3863)となっています。そして銀行系列の株主が並び堅い株主構造です。創業93年で上場とはビックリですね。グループは子会社20社(国内8社、海外12社)及び関連会社12社(国内9社、海外3社)により構成されています。


事業は王子ホールディングスの製紙会社から仕入れた紙類を国内外に販売することを主要業務とし、不動産の賃貸業、紙製品の加工業等も行っています。セグメント別では「国内拠点紙パルプ等卸売事業」「海外拠点紙パルプ等卸売事業」「不動産賃貸事業」となります。


国際紙パルプ商事IPOの上場評判と分析



紙類を販売しながら、製紙原料となる古紙の回収も行っており循環型の社会実現に貢献しています。また木質バイオマス発電燃料を販売する事業にも進出し、総合循環型企業を目指しているそうです。


国際紙パルプ商事の歴史と活動拠点


支店は全国主要都市にあり、海外ではアジア圏を中心に事業活動を行っているようです。収益構造を確認してみると国内におけるパルプ等卸売が売上の多くを占めています。品種別では紙が50.5%、板紙20.1%、第2次加工品9.5%などとなっています(平成29年3月期データ)


紙は新聞紙や広告・雑誌などに多く用いられており、板紙は段ボールの原紙やお菓子や化粧品の外箱になるようです。第2次加工品はレシートやファックスなどの感熱紙、ラベルやステッカーになります。その他にもパルプ古紙や包装フィルム、紙パックなどの取扱いもあるようです。


国際紙パルプ商事(9274)販売実績


国際紙パルプ商事(9274)の企業財務情報と配当性向

回次第142期第143期
決算年月平成28年3月平成29年3月
売上高389,678366,777
経常利益1,8531,114
親会社株主に帰属する当期純利益1,2152,215
包括利益2363,605
純資産額40,96944,044
総資産額184,927184,245
1株当たり純資産額613.78659.69
1株当たり当期純利益金額18.2533.27
自己資本比率(%)22.123.8
自己資本利益率(%)2.965.22
株価収益率(倍)
配当性向(%)
営業活動によるキャッシュ・フロー5,3781,114
投資活動によるキャッシュ・フロー△1,2495,596
財務活動によるキャッシュ・フロー△3,960△6,791
現金及び現金同等物の期末残高2,5022,291
※数値は百万円単位


第144期第3四半期連結累計期間(平成29年4月01日~平成29年12月31日)
売上高2,834億3百万円(前年同期比5.1%増)
営業利益18億41百万円(前年同期比140.5%増)
経常利益24億3百万円(前年同期比192.1%増)
親会社株主に帰属する四半期純利益16億85百万円(前年同期比87.0%増)
※営業利益が大きいのは海外部門の貸倒等の損失計上が無くなったため


国際紙パルプ商事(9274)従業員と株主の状況

会社設立は1924年11月27日、東京都中央区明石町6番24号に本社を構えます。
社長は田辺円氏(昭和24年3月19日生まれ)、保有株式数は7万株となっています。
従業員数は672人になり平均年齢41.8歳、平均勤続年数17.8歳、平均年間給与7,257,893円となります。セグメント別の従業員数は国内拠点紙パルプ等卸売事業566人、不動産賃貸事業2人、全社共通104人となっています。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)
王子ホールディングス株式会社12,736,81018.90
日本製紙株式会社6,770,60310.05
株式会社みずほ銀行2,857,0004.24
株式会社三菱UFJ銀行2,625,0003.89
株式会社三井住友銀行2,625,0003.89
農林中央金庫2,625,0003.89
国際紙パルプ商事従業員持株会2,601,0593.86
北越紀州製紙株式会社2,521,0003.74
※株主上位8名の状況


【目論見抜粋】

貸株人である株式会社みずほ銀行並びに当社株主である王子ホールディングス株式会社、日本製紙株式会社、株式会社三井住友銀行、株式会社三菱UFJ銀行、農林中央金庫、北越紀州製紙株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、株式会社十六銀行、中越パルプ工業株式会社、特種東海製紙株式会社、王子物流株式会社、株式会社商工組合中央金庫、王子エフテックス株式会社、日本紙パルプ商事株式会社、日本生命保険相互会社、レンゴー株式会社、株式会社八十二銀行、王子タック株式会社、株式会社七十七銀行及び株式会社千葉銀行は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む。)後90日目の平成30年9月23日までの期間(以下「ロックアップ期間」という。)中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びその売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、東京証券取引所における初値が形成された後に主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等を行わない旨合意しております。 

また、当社株主であるみずほ成長支援投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタル3号投資事業有限責任組合及びひまわりグロース1号投資事業有限責任組合は、主幹事会社に対し、ロックアップ期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却(ただし、その売却価格が「第1 募集要項」における発行価格の1.5倍以上であって、主幹事会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)等を行わない旨合意しております。



上位株主には90日間(平成30年9月23日まで)のロックアップが付与されています。ベンチャーキャピタル出資等に対しては1.5倍のロックアップ解除倍率が記載されています。


国際紙パルプ商事(9274)IPO大手初値予想と各社配分

仮条件は314円~344円となり、想定発行価格を上限として決定しました。大手メディアでも東証1部へ直接上場になる可能性が高いということなので、投資方向は前向きな判断がでているようです。上場による吸収額はオーバーアロットメントを含め約27.7億円のままになります。


業績は2019年3月連結予想で売上1.3%増、経常利益17.8%減(25.3億円)の予想が出ています。増収減益予想となりあまり良い見通しではなさそうです。上記でも少し触れましたが、ネット通販などの需要が増えているため、新聞紙や広告・雑誌などに代わって売上に貢献しているようです。


初値予想380円~430円

初値予想(第2弾)380円~430円


EPS25.19を基にPERを算出すると約13.7倍、BPSは6,776.76になるようです。参考にはならないかもしれませんがPBRは0.05倍になります。配当は10円を予定しており配当利回りは2.9%と高めの設定です。上場後の値動きも業績と同じで横ばいになりそうな気がしています。


幹事名配分単位(株)
みずほ証券(主幹事)6,020,000
三菱UFJモルガン・スタンレー証券350,000
SMBC日興証券350,000
岡三証券140,000
いちよし証券70,000
SBI証券70,000


類似企業PER
PBR
日本紙パルプ商事(8032)PER13.31倍PBR0.82倍
平和紙業(9929)PER23.15倍PBR0.56倍
共同紙販ホールディングス(9849)PER23.28倍PBR0.95倍


当選狙いならみずほ証券からの申込みは必須でしょう。店頭証券中心の幹事となっていることから公開価格割れ不安はあまり考えられないと思います。また、100株あたりの単価が低いため店頭では手数料収入を狙ってばらまき策になる可能性もあります。ただ100株当選だと初値次第では手数料負けもあり得るかもしれません。


東証1部狙いで上場をし、想定発行価格の10%~20%上昇の利益は最大で6,800円あたりの利益か?と何となく流れ的に感じます。2018年のにたようなパターンに日産工産(6569)があり公開価格3,250円で初値は4,020円(騰落率+23.7%)の案件がありました。今回の上場は事業に魅力があまりないと思うためそこまでの上昇はないでしょう。


国際紙パルプ商事のストックオプション詳細を調べました

ストックオプション行使期間株式の数(株)発行価格(円)
平成28年7月18日~平成31年7月18日334,000345


ストップオプション数が334,000株しかなかったことに逆に驚きがありました。ネット系の上場では多くのストックオプションを事前に用意していることが多いため事業の違いはあるかもしれません。


国際紙パルプ商事(9274)IPO私見と申し込みスタンス

国際紙パルプ商事のIPOは狙える銘柄ですが、それほど魅力もありません。だからと言って公開価格を割るようなことも考えにくいため私は参加します。上場をしてもしばらくは株価があまり動かないと思いますが、地合いと共に上昇するでしょうか。現在のところ配当性向は21.2%となっています。


企業名も堅いイメージなのでセカンダリーも盛り上がらないと個人的に考えています。なくてはならない企業なのでしょうがこれと言って魅力が感じられません。海外でも活動しているということで海外売り上げを確認しても伸びているとは言い難いです。今後は経営統合やM&Aなどに期待するしかなさそうです。


何か隠れた材料があるといいのですが、基本的に仕入れた紙類を販売しているようなので無いでしょう。IPO的にも微妙ですが上場により市場から集める資金が少ないことが最大の魅力だと思います。


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