ニューロープがイークラウドで資金調達を行います。上場(IPO)が最終目的ではなく会社売却(M&A)によるイグジットを目指しています。
また、業界初となる種類株式(優先株式)で募集が行われるため個人的にも注目しています。株主にはサイバーエージェントや複数のVCの名前が既にあります！
※イークラウド公式サイト引用
同社は独自開発の画像認識AI(人工知能)をコア技術としたアパレル関連企業向けのバーティカルSaaSを提供するスタートアップ企業になります。
アパレル業界に特化し画像認識をベースにしているため言語に依存しない特徴もあります。そのため業績の安定が見られる段階で海外展開も行うそうです。既に準備中のようです！
バーティカルSaaSとは、ある業界・業種で使いやすいように機能や使用感を深掘りしたSaaSのことです。
驚いたのがイオンモール、ニッセン、著名ECモール、繊維商社で既にシステムが導入されていることです。詳しく調べるとさらに多くの企業で導入されています。
そして、今回は業界初となる「参加型1倍」の種類株式での募集が実施されます。同社に投資を行わなくても興味がわく内容だと思います。
ニューロープは何を解決できる企業なのか？サステナブルにも関係あり
ニューロープはファッションメディア事業からスタートし、業界内で蓄積したデータやノウハウをもとに業界特化のAIを開発しています。主にファッションに特化した画像認識AI「#CBK scnnr」(カブキスキャナー)をSaaS提供しています。
※イークラウド公式サイト引用
ファッションスナップから、色・柄・素材・シルエットなど約640種類の特徴を認識するAIになっており、同社が人力で情報を付与した100万枚以上のファッションスナップを教師データとしているそうです。
また、現時点で1億超の画像データを分析しています。
SNSでの反響やバズなどを調査する一般的なソーシャルリスニングを目的としたトレンド分析サービスは存在するのに対し、ニューロープではファッションに特化した画像認識技術をもとにAI事業を行います。
※イークラウド公式サイト引用
#CBK scnnr(カブキスキャナー)は主に「トレンド分析」「リコメンド」「アノテーション(自動タグ付け)」の3つの事業に活用されています。
導入実績は大手アパレルブランドをはじめ、著名ECモールや繊維商社など数十社のクライアントに導入されているそうです。
また、同社サービスを利用することで廃棄されている衣類を削減することが可能のようです。何故なら在庫最適化などが行えるからです。
kimu 日本国内では多様化する消費者ニューズに対応しきれず、値引き販売や廃棄などの悪循環があるとされています。
イークラウドのデータによれば年間29億着の衣類が生産され、13億着の服が廃棄されているそうです。これは業界特有の問題があるとされています。
そこで同社サービスを利用することでトレンドを早めに把握し、売り逃しや過剰在庫の低減を計ることができるとされています。
ファッション業界が排出するCO2量は石油産業に続き2位になるそうなんですよね。衣類の廃棄が減ればサステナブルにも大きく関係してきそうです！
6ヶ月先の流行を72％の精度で予測？トレンド分析に強み
国内のアパレル企業の多くは6ヶ月ほど前に、半年後の需要を予測して工場に発注する流れになるそうです。これまでは需要予測は人の感覚や経験に頼るところが大きく、ニーズが常に変化する状況下ではバラつきが出ると言われていました。
※イークラウド公式サイト引用
同社システムでは、SNSやECモールなどに掲載されているファッションスナップをAIが解析し、直近でどんなアイテムが好まれているのか、前年の流行との違いは何かをダッシュボードやレポートで報告します。
過去数年間のトレンド推移を参考することができ3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月先のトレンド状況の予測値を参照することもできるそうです。
大手企業を中心とした取引先が既にあることで使えるシステムだと考えられます。今回の調達資金の使途は研究開発費用や営業体制整備費用となっています。借入金の返済ではありません。
大手ブランドや繊維商社などに導入され、商品企画や営業支援にも役立てられているそうです。
イオンモール(8905)との提携では、全国約80店舗で来店客の服装データを収集しています。
入居テナントにデータを提供することで、販売計画や商品の最適配置、サイネージ広告の最適化などに役立てる計画となっています。トレンドを分析する以外にも利用できるようです。
ECサイトで類似アイテムを自動提案する機能を装備！
大手ECサイトでも同社サービスを利用しています。ECサイトに掲載されている商品画像を分析し、類似アイテムやおすすめのスタイリングを独自ビッグデータを用いて表示します。
ニッセンではリコメンド事業の検証導入の段階でROASベース2,000％超の成果を確認したそうです。本導入後も月間経由受注1,000万円以上となる成果も確認されています。
※イークラウド公式サイト引用
ニッセンの他、シティーヒル、DINOS CORPORATIONなどで取扱いがあります。類似アイテム表示は利用者にも助かるサービスだと思います。
この他にも、ビッグデータをもとにしたユーザーに合う着こなしの提案なども行います。
実店舗では比較がしやすくECサイトでは難しいとされていましたが、コーディネート提案を行えるため複数買いにつながる可能性があります。
私もそうですがECサイトでお目当ての商品がない場合は離脱してしまいます。
また、アノテーション(自動タグ付け)機能も実装しているためSEO向上にもつながると考えられています。
利用企業もスタッフが手入力していたタグを自動化することで、タグの表記揺れや入力漏れによって発生していた機会損失の抑制につながります。
ニューロープの企業概要とバリュエーションを調べてみました
ニューロープの会社設立は2014年1月となり既に9年以上が経過しています。メディア掲載実績も多数あり、ベンチャーキャピタルからの出資も複数社確認できます。
最終的なイグジット方法は会社売却になり、同社AI事業と親和性の高い相手を探すそうです。上場(IPO)するよりも会社売却(M&A)のほうがハードルが低いと考えられます。
興味を示す大手企業もあると思いますが競合も存在するはずです。
| 項 目 | その内容 |
| 商号 | 株式会社ニューロープ |
| 所在地 | 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町14-1 都築学園ハッチェリー渋谷 |
| 代表者 | 酒井聡 |
| 資本金 | 115,504,975円 |
| 発行可能株式総数 | 999,000株 |
| 発行済株式総数 | 517,482株 |
| 参考株価 | 1,650円 ※ECF時の1株当たり |
| 調達前時価総額 | 853,845,300円 |
| 設立年月日 | 2014年1月10日 |
| 決算期 | 12月 |
| 株主・新株予約権者 |
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企業概要は上記のようになります。ECF時の参考株価は1株1,650円になり時価総額は約8.5億円です。
それなりに評価されているように思いますがあとは業績だと思います。軌道に乗るところまでくればM&Aも近いかもしれません。
現時点では赤字企業になるようです。
イークラウドで用意された動画に、既存の事業を売り進めて黒字化することが目標とあります。また、種はまいていることから今後収穫を迎えたいと言った内容の発言もあります。
事業計画の売上予定を確認するとトレンド分析を基盤にした売上構成となるようです。
将来的にはコスメ・インテリア需要予測事業にもトレンド予測技術を応用する計画となっています。2026年頃には東南アジア市場への進出を計画しているそうです！
ECF(株式投資型クラウドファンディング)に興味がある方は、イークラウド代表の波多江直氏に取材してきたので下記記事も参考になると思います。
イークラウドでM&Aによるイグジット(EXIT)が発生したため取材を行ってきました。株式投資型クラウドファンディングに投資を行いわずか9ヶ月で投資金額の2.69倍の利益を得ることができています。 どのようなこと …
ニューロープの口コミを調べてみました
ニューロープの口コミを調べてみるとメディア関係が多いことに気が付きました。あとはECF(株式投資型クラウドファンディング)の募集関係が多いようです。サービス対象がBtoBだからでしょうか。
マフラーを巻くのは何月から？男女で着用率が高いのはどちら？ – 大阪文化服装学院 × 株式会社ニューロープのデー… https://t.co/ukMFGOx6WR pic.twitter.com/OPE7IaWVwO
— PR TIMESファッション (@PRTIMES_FASHION) February 3, 2023
ロボカップという競技会で、ニューロープの画像解析AIを搭載したSOBITSチームのロボットが優勝🏆
— 酒井 聡 (@satoshisakai_) March 14, 2023
部分的にでも貢献できたようで嬉しいです。
学生さんの活動や研究にはニューロープの技術を無償で提供させていただいています✨ https://t.co/IubXQnglg6
【大阪文化服装学院】アロハシャツは沖縄よりもハワイに多いのか？ – 大阪文化服装学院 × 株式会社ニューロープの… https://t.co/uC9JX3ilGb pic.twitter.com/a9woBb71jq
— PR TIMESファッション (@PRTIMES_FASHION) February 24, 2023
サービスを利用している企業が自社の手の内を公開することは一般的に考えられませんからね。そのため口コミも少ないのかもしれません。
投資家の口コミは今後増えてくると考えられます。
SaaS型の収益になり解約率は2021年で0.52％、2022年は1.00％と低い状況が続いています。SaaS事業を継続的に成長させるサービスの解約率の目安は3％程度になるそうです。
ECFを行うと宣伝効果もあると思うので新規契約の獲得にも期待できそうです。
ニューロープのビジネスモデルと売上について調べました！優位性と市場規模
ニューロープの競争の優位性は、ファッションに特化していること、データの質と量が充実していること、適正な価格戦略をとっていることの3点に優位性があると考えられています。ファッションに特化した画像認識技術がポイントになりそうです。
データ収集元がSNSから実店舗まで幅広く対応しているうえ、ファッションスナップについてライターがそのスタイリングのポイントを解説したテキストなど質の高い教師データを大量に保持しているそうです。
テキストデータは設立時から蓄積しているものになり、インターネットの公開データからは収集しづらいものだそうです。また、高精度な機械学習が強みとなっています。
※イークラウド公式サイト引用
2022年のリクエスト数は前年の2.3倍に増加しています。2023年も好調で直近3ヶ月のリクエスト数は前年同期の9倍程度に伸びているそうです。
直近の売上を確認してみると2022年の売上げが前期比で67％増となっていました。SaaS型のサービスになるため顧客が増えることでコストが低くなります。
ファッションEC市場は今後も伸び続け、日本国内のターゲットは約2,600億円の市場になるそうです。
新型コロナウイルス感染症の影響でECサイトによる売上が増加し、世界のアパレルEC市場規模は2022年～2030年にかけて年平均成長率は8.6％にもなるそうです。
日本のアパレル業界では大企業によるスタートアップ企業の買収や提携が相次いでいるそうです。
※イークラウド公式サイト引用
同社は、製造や卸、小売など業界の幅広い層をターゲットユーザーに据えています。
現時点で国内のターゲット市場は延べ約70万社の約2,600億円と推計されています。そのうち5％にあたる約130億円を当面の目標シェアとしているそうです。
アジア市場への進出はもう少し時間が掛かりそうです。
※イークラウド公式サイト引用
大まかな売上計画は上記のように考えられています。
来期あたりから売上が急速に伸びる計画となっています。会社売却によるイグジットを目指していますが、どのタイミングでイグジットとなるのかはわかりません。
成長しすぎると企業価値が高くなり、買収先も成長軌道にのるあたりでM&Aを仕掛けてくるかもしれません。
イークラウド掲載の資料では2027年以降にM&Aによるイグジットが予定されているようです。早まる可能性も十分あると思います。
ニューロープに投資を行っても問題ないの？まとめ
ニューロープへの投資は黒字化する見通し判断で投資家のスタンスが異なりそうです。サービス導入企業からの評価は高く解約率も低いため、新規顧客を獲得できれば成長期待があると思います。
今後は営業体制の強化やプロダクト開発になりそうです。そのためイークラウドで資金調達を行いますからね。
※イークラウド公式サイト引用
営業体制の強化については代理店に依存していた顧客開拓をインサイドセールスにより自社で行うそうです。
顧客開拓はイオンモール(8905)やシルバーエッグ・テクノロジー(3961)など、2022年から協業開始した両社のネットワークを活かし、新たな顧客層にアプローチしていく計画だそうです。
募集サイトにある動画でも代表の酒井聡氏が仰っていました。
| 項 目 | その内容 |
| 募集株式の数(上限) | B2種優先株式48,300株 |
| 募集株式の払込金額 | 1株当たり1,650円 |
| 増加する資本金の額 | 1株当たり39,847,500円 |
| 増加する資本準備金の額 | 1株当たり39,847,500円 |
| 申込期間 | 2023年4月15日(土)～2023年5月02日(火) |
| 払込期日 | 2023年5月19日(金) |
| 目標募集額 | 1,494.9万円 |
| 上限募集額 | 7,969.5万円 |
| 資金使途 |
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募集情報は上記のようになります。
エンジェル税制については所得税の「優遇措置B」の対象となっています。そのため、対象企業へ投資した年の株式譲渡益から対象企業への投資金額全額を控除できます。
また、本募集は「普通株式」および「A種優先株式」を有する株主に優先して、残余財産の分配がB種優先株式と同順位の残余財産分配権を持つ「B2種優先株式」での募集が行われます。
※イークラウド公式サイト引用
M&Aなどにより会社売却となった場合に、普通株主とA種優先株主に先立って残余財産の分配を受けることができます。詳しくはイークラウドの募集画面をご確認ください。
今後、残余財産の分配においてB種及びB2種優先株式より優先する優先株式が発行された場合は、残余財産の分配順位が下がることがあるそうです。
上記画像がイメージ画像になります。
【投資コース】
- 99,000円コース
- 198,000円コース
- 297,000円コース
- 495,000円コース
- 990,000円コース
- 1,980,000円コース
投資金額コースは6つ用意され、50万円以上の投資は特定投資家への移行が必要になります。しばらく前に50万円以上でも条件を満たせば投資できるようになっています。
私を含め一般の方は50万円以下になります。投資をしてみたいと思った方は公式サイトで詳しい内容を確認しておきましょう!!
2023年4月11日(火)ごろに質疑応答の掲載も募集ページで行われるため確認しておきましょう。毎回貴重な回答があり面白いと感じます。
株式投資型クラウドファンディングに興味がある方は下記記事も参考にしていただけたらと思います。
投資の仕組みなどについて説明しています。XTech(クロステック)についてもご紹介しています。また、別のインタビュー記事も掲載しています。
株式投資型クラウドファンディングに「イークラウド」という企業が登場しました。そこで評判や評価などを考察し、投資を行う際のデメリットは何なのか考えてみました。既に投資を行っている投資家も多いと思います …
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