クラシコム(7110)のIPOがグロース市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。「北欧、暮らしの道具店」というECサイトを自社で運営している知名度ある企業です。


主幹事はみずほ証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券が共同で務め、公開株数2,138,000株、オーバーアロットメント320,700株です。上場規模は想定発行価格1,420円から計算すると約34.9億円になります。


機関投資家から人気が見込めるのか微妙だと思いますが面白いIPOだと思います。


クラシコム(7110)IPOが上場承認
※クラシコム公式サイト引用


生活雑貨等をインターネットで直接販売している企業になります。業績を確認するとかなり好調となっているため驚きました。


新型コロナウイルス感染症拡大により巣ごもり需要や消費の影響もあり、物販系分野のBtoC-EC市場規模が伸長していることも寄与していると思われます。


同社はユーザーからのエンゲージメントを得ることで市場平均を超える売上高の成長率を続けているそうです。同社の指すエンゲージメントとは「好きでいてくれること」や「支持してくれること」を指します。


SNSを上手く活用し顧客の囲い込みに成功し、実績を伴い上場にまで至ったと考えられます。


EC事業者と考えた場合に競合が多くなりますが、同社には濃い顧客が多いようなので上場後はさらに売上を伸ばす可能性がありそうです。


商品を販売しその際の配送料(運賃)は購入者が支払うことになっているため収益性も良いそうです。それだけ自信がある商品の提供ができていると考えて良さそうです。


クラシコム(7110)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました

項目上場基本データ
上場日8月05日
市場グロース市場
業種小売業
事業内容ECサイト「北欧、暮らしの道具店」における服飾雑貨等の販売事業
ブックビルディング7月20日~7月26日
想定価格1,420円
仮条件1,340円~1,420円
公開価格1,420円
初値結果1,520円(公開価格1.07倍)
企業情報https://kurashi.com/
監査人有限責任監査法人トーマツ
手取金の使途
  • 人件費及び採用費
  • 広告宣伝費


項目株数データ
公募株数670,000株
売出株数1,468,000株
公開株数(合計)2,138,000株
オーバーアロットメント320,700株
上場時発行済み株数7,070,000株(公募分を含む)
想定ベースの時価総額約100.4億円
幹事団みずほ証券(共同主幹事)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(共同主幹事)
SBI証券
楽天証券
マネックス証券
松井証券
いちよし証券
委託見込auカブコム証券
DMM.com証券


クラシコム(7110)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました

想定発行価格1,420円を基に吸収金額を算出すると約30.4億円となり、オーバーアロットメントを含めると約34.9億円規模の上場となります。


創業当時は東京都港区で不動産関連事業を行っていましたが2007年7月には閉鎖されています。そして2007年9月にヴィンテージの北欧食器等を扱うECサイトとして「北欧、暮らしの道具店」を開設しています。


現在は北欧に関係するものが占める割合は小さくなりましたが、販売する商品だけでなくユーザーとのつながりを作り、深めるために提供しているコンテンツがあるそうです。


ビジネスラインは「D2Cドメイン」「ブランドソリューションドメイン」を有し、「カルチャーアセット」「エンゲージメントチャネル」がビジネスラインを支える構造となります。


クラシコム(7110)の業績
※有価証券届出書引用


D2Cドメインでは「北欧、暮らしの道具店」の提供している世界観に共感する顧客に対し、暮らしにフィットする商品を販売しています。


D2Cドメインは収益の大半を生み出しており、ECモールやECプラットフォームが介在しない仕組みになります。自社サイトを通じて直接商品を提供しています。


過去には楽天市場にECモール店がありましたが2011年に閉店し、自社ECサイトに開発資源投入を行っています。


D2Cドメインでは、D2C定価消化率99.5%になりD2Cドメインにおけるポイント原資の負担がなく、ほぼすべての注文において送料を受領しているそうです※2021年7月期実績


クラシコム(7110)IPOのビジネスラインと強み
※有価証券届出書引用


ブランドソリューションドメインでは、商品を紹介する読み物をはじめとした多様なコンテンツ制作で培った高い企画制作能力を活用し、クライアント企業のブランドが「選ばれ続けるブランド」になるためのソリューションを提供しています。


ナショナルブランドを中心に、多くのブランドを継続的に支援しているそうです。


同社は事業開始以来ユーザーとのダイレクトなつながりを大切にし、「北欧、暮らしの道具店」サイトを始めとした様々な媒体で活動しています。


WEB記事やオリジナルドラマやドキュメンタリー、ラジオ番組や音楽プレイリスト、全国劇場公開されたオリジナルの映画など、多様なコンテンツを生み出し発信し続けています。


この活動を「コンテンツパブリッシャー」と呼ぶそうです。このコンテンツパブリッシャーの活動がクラシコムの強みになっているそうです!


クラシコム(7110)IPOの販売実績
※有価証券届出書引用


業績が伸びている要因は、顧客獲得のために広告媒体に支払う「広告費」や顧客育成のために支払う「販促費」が少なく済んでいるそうです。


自社チャネルの「北欧、暮らしの道具店」やSNS等で発信する各種コンテンツの提供を通じて、効率的に顧客を獲得することができているそうです。


目論見を読んでいて一番驚いたのは従業員の大半が元顧客だそうです。顧客を従業員として採用し、採用された従業員が良いものを生み出し、さらに顧客を増やす好循環が生まれるそうです。


一部の方には「北欧、暮らしの道具店」が凄く人気みたいですね。またデータを集積しそのデータを活用することで精度の高い商品企画や適正な発注、在庫コントロールが可能となっています。


商品回転率14.1回を実現し、効率性の高い経営を実現しているそうです。商品仕入高を商品在庫で割ると商品回転率が出るそうです。


クラシコム(7110)の株主状況とロックアップについて調べました

会社設立は2006年9月06日、東京都国立市東一丁目16番地17に本社を構えます。社長は青木耕平氏(1972年8月08日生まれ)、株式保有率は75.50%(4,832,000株)です。


従業員数77人で臨時雇用者0人、平均年齢34.2歳、平均勤続年数4.1年、平均年間給与6,474,000円です。


セグメントはライフカルチャープラットフォーム事業の単一セグメントになります。


氏名又は名称所有株式数(株)所有株式数割合(%)ロック
青木 耕平4,832,000株75.50%
佐藤 友子1,280,000株20.00%
青木 祐一郎288,000株4.50%
※全株主3名の状況、△表示は新株予約権を表します


上位株主には360日間(2023年7月30日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。


青木祐一郎氏は売出株として全株式を売却する予定です。


親引けはありません。


クラシコム(7110)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました

大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。


仮条件は想定発行価格を上限として下限方向に広げられ1,340円~1,420円に決定しています。1,420円で公開価格が決定した場合の吸収金額は約34.9億円、時価総額100.4億円と当初のままです。


兄妹で服飾雑貨のECサイトを運営し親族だけで株主を構成している驚きのIPOになります。某紙では上場後の株主構成にも注目だと言われているようです。


ECサイトで成功し個人的には驚きの収益だと感じます。設立時はわからない事だらけで苦労も多かったようですね。


ECモールやECプラットフォームを介さないD2Cドメインがメイン事業になり2021年7月期の売上はD2Cドメイン94.0%、ブランドソリューションドメイン6.0%となっています。


また、D2Cドメインでは自社企画のオリジナル商品が売上の約50%を占めているそうです。


ただIPOとしての人気が高いとは言えないため、機関投資家からの需要がなければ厳しい初値になる可能性もあるようです。35億円規模の上場で共同主幹事となっていることも気になります。


業績規模から考えると一定の人気が見込めるため、公開価格は超えてきそうな気がしています。公開価格が仮条件の上限決定になることが前提です。


大手初値予想1,300円~1,600円
修正値-9%~公開価格
直前予想1,300円

※注目度B


業績を確認すると2022年7月期の単独予想を確認することができました。売上51.49億円となり前期比13.61%増、経常利益8.34億円となり前期比4.64%増となります。


四半期利益は5.50億円となり前期比3.51%減を予想しています。


公開価格が1,420円決定の場合の指標はEPS85.98からPER16.52倍、BPS359.87からPBR3.95倍になります。配当や株主優待の設定は現時点でありません。


類似企業比較だと株価設定が高いのかは微妙です。PERが一桁となる銘柄も普通にあります。ただPERが20倍~40倍あたりとなっている銘柄もあるため、バリュエーションは美人投票となる可能性もありそうです。


知名度が高い企業であることは間違いないと思いますが、機関投資家の資金が見込めなければ公開価格割れも?と言った状況も想定しておいたほうがよさそうです。


コロナ第7派で巣ごもり需要期待は今後もあると思いますが、個人的には親族(血族)が儲かる構造のIPOのため積極的な抽選参加は行わないと思います。


開示された業績を確認する限り、利益が鈍化しているため来期は厳しいのではないか?との印象を受けます。大手情報では売り気配スタートになると考えているようですね!!


幹事名割当株数引受割合
みずほ証券(共同)1,218,900株57.01%
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(共同)812,600株38.01%
SBI証券21,300株1.00%
楽天証券21,300株1.00%
マネックス証券21,300株1.00%
松井証券21,300株1.00%
いちよし証券21,300株1.00%


IPOではあまり人気が見込めない小売業です。ただ業績が好調に推移していることは好感できます。


前期売上約45.3億円で四半期利益が約5.7億円は評価できそうです。ただ上場規模が大きいため不発になる可能性もありそうです。


大手情報を確認し機関投資家のスタンスをチェックしてからブックビルディングに参加しようと考えています。公開株数が多いため当選確率は高いと思います。


申込はみずほ証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券を中心に申込めば十分だと思います。当選確率を上げたいのであれば引受株数を全て抽選に回すマネックス証券からも抽選に参加しておきましょう。




アイフル子会社のAGクラウドファンディングとタイアップが始まりました。アイフルファンドは利回りは低めに設定されていますが元本保証を考えた場合に魅力があります。


積極的に利回りを追求したい方には不動産担保ローンファンドのファンド組成も行われています。


口座開設だけで1,000円分のAmazonギフト券をプレゼントしているので興味があればご利用ください。詳しくは公式サイト又は下記記事を参考にしてください。




類似企業のPERやPBRを調べました

類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。


類似企業PER
PBR
ジェネレーションパス(3195)PER19.95倍PBR1.91倍
ベガコーポレーション(3542)PER39.1倍PBR1.04倍
スクロール(8005)PER8.06倍PBR1.07倍
※2022年7月19日の株価基準

ストックオプションの株数や発行価格を調べました

ストックオプション行使期間株式の数発行価格
該当事項なし-株-円


ストックオプション(新株予約権)による株式は存在しません。


クラシコム(7110)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ

クラシコムのIPOは上場規模が20億円程度であればあまり不安にならなかったと考えています。しかし想定ベースで約34.9億円の吸収はどうでしょうか。


店頭系の証券会社が共同で主幹事を引受けることから不安視していると考えられます。


クラシコム(7110)IPOのまとめ
※クラシコム公式サイト引用


同社はSNS等を活用した効果的なマーケティングを自社リソースで行うことにも成功し、外部費用が少ないみたいです。


しかも定価販売で送料も購入者負担です。


「北欧、暮らしの道具店」のサイトを確認するとシンプルな作りでしっかりした商品レビューとなっていました。私みたいなタイプは実物を見て購入したい派なので、あまり魅力は感じませんが綺麗な作りだと思います。


IPO的には人気が見込めないかもしれませんが、将来的に株主優待の設定は期待できそうです。


上場承認時点で業績以外に注目するポイントはあまりなさそうなので、上場規模と収益面の評価がポイントになりそうです。人気化するのは難しいかもしれませんね。


COZUCHIとのタイアップが再開されました。口座開設でAmazonギフト券が2,000円分貰えるため興味があればご利用ください。


面白いファンドが多く投資家を飽きさせないと感じています。また短期間でタイアップが終了する可能性があるそうなので早めに参加したほうが良いかもしれません。先着500人となっています!


詳しくは下記記事で説明しています。公式サイトにタイアップの表記がないためお気を付けください。


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