売れるネット広告社(9235)のIPOがグロース市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。個人的には気が進まないIPOです。
主幹事は東海東京証券が務め公開株数900,000株、オーバーアロットメント135,000株です。上場規模は想定発行価格1,040円から計算すると約10.8億円になります。
※売れるネット広告社公式サイト引用
健康食品や化粧品関係で同社と思われる広告を目にすることがあります。
D2C(ネット通販)のネット広告は、広告を閲覧した消費者がその場で購入することが可能なので、広告の目的は広告を見た消費者にその場で購入を促すことが重要になるそうです。
利益が出ているということはそれなりに需要があると思いますが、直近の広告関連だとブリーチ(9162)の株価下落でイメージが悪そうです。
東海東京証券主幹事のIPOで初値が飛ばないケースも多くなり心配しています。
売れるネット広告社(9235)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました
項目 | 上場基本データ |
上場日 | 10月23日 |
市場 | グロース市場 |
業種 | サービス業 |
事業内容 | D2C(ネット通販)事業者のインターネット広告の費用対効果を改善することを目的とした、クラウドサービスおよびマーケティング支援サービスの提供 |
ブックビルディング | 10月04日~10月11日 |
想定価格 | 1,040円 |
仮条件 | 830円~910円 |
公開価格 | 910円 |
初値結果 | 837円(騰落率-8.02%) |
企業情報 | https://www.ureru.co.jp/ |
監査人 | 有限責任監査法人トーマツ |
手取金の使途 |
|
項目 | 株数データ |
公募株数 | 450,000株 |
売出株数 | 450,000株 |
公開株数(合計) | 900,000株 |
オーバーアロットメント | 135,000株 |
上場時発行済み株数 | 3,450,000株 ※公募分を含む |
想定ベースの時価総額 | 約35.9億円 |
幹事団 | 東海東京証券(主幹事) SBI証券 岡三証券 野村證券 西日本シティTT証券 楽天証券 松井証券 岩井コスモ証券 FFG証券 丸三証券 東洋証券 あかつき証券 |
委託見込 | 岡三オンライン SBIネオトレード証券 |
売れるネット広告社(9235)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました
想定発行価格1,040円を基に吸収金額を算出すると約9.4億円となり、オーバーアロットメントを含めると約10.8億円規模の上場となります。売れるネット広告社はD2C(ネット通販)事業者が同社サービスを活用し、インターネット広告の費用対効果を改善し、業績を拡大することを目的として事業展開しています。
主要サービスは「ネット広告/ランディングページ特化型クラウドサービス」「マーケティング支援サービス」の2つの提供となっています。
※有価証券届出書引用
同社はD2C(ネット通販)事業者のインターネット広告の費用対効果を改善させる「ネット広告/ランディングページ特化型クラウドサービス」として「売れるD2Cつくーる」を株式会社Fusicと共同開発致しています。
2019年には「売れるD2Cつくーる」の開発スピードアップによる利便性向上を目的とし、株式会社Fusicより当サービスを吸収分割し、単独事業として現在もサービスの拡充に努めているそうです。
サービス利用の主なクライアントは健康食品・化粧品を取り扱うD2C事業者となっています。
「売れるD2Cつくーる」は「ランディングページ制作」「申し込みフォーム」「フォローメール配信/フォローLINE®配信/フォローSMS®配信」まで、D2Cの広告に必要な機能をワンストップで提供しています。
レスポンス獲得から引上施策までのフローを作成することができるクラウドサービスとなっています。
「売れるD2Cつくーる」は1クライアントにつき、月額利用料14万9,800円(年間契約・契約から2ヶ月の無料期間あり)の収入を得ています。
「売れるD2Cつくーる」の最大の競争優位性としては、同社が実施した1,200回以上のA/Bテストの結果のうち5社中4社以上で費用対効果の改善があったノウハウの結果が反映されているサービスだそうです。
※有価証券届出書引用
マーケティング支援サービスは、「売れるD2Cつくーる」クライアントにのみ提供しているサービスであり、クラウドサービスで制作されたランディングページに一般消費者を集客することを目的としてインターネット上に広告を配信するサービスです。
当サービスを「売れるD2Cつくーる」クライアントのみに提供している理由としては、同社は広告を出稿するだけのサービスではなく、「クライアントのネット広告の費用対効果を改善する」ことをサービスの本質と考えているためだそうです。
マーケティング支援サービスで広告出稿を行った後、改善点を分析し「売れるD2Cつくーる」で構築した仕組みを改善するというところまでを一連のサービスと捉えています。
そのため当サービスは「売れるD2Cつくーる」クライアントにのみ提供を行っているそうです。
掲載した媒体に対して一般消費者によるコンバージョンが発生し、メディアプラットフォーム上で計測されることによって料金が発生する成果報酬型広告を中心としつつ、純広告・運用型広告の提供も実施しています。
※有価証券届出書引用
売れるネット広告社(9235)の株主状況とロックアップについて調べました
会社設立は2010年1月20日、福岡県福岡市早良区百道浜二丁目3番8号に本社を構えます。社長は加藤公一レオ氏(1975年8月08日生まれ)、株式保有率は44.61%(1,500,000株)です。※資産管理会社保有分は除く従業員数45人で臨時雇用者0人、平均年齢30.2歳、平均勤続年数3.6年、平均年間給与4,841,000円です。
セグメントはD2C(ネット通販)向けデジタルマーケティング支援事業の単一セグメントになります。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
加藤 公一レオ | 1,500,000株 | 44.61% | ○ |
株式会社レオアセットマネジメント | 1,200,000株 | 35.70% | ○ |
加藤 一恵 | 300,000株 | 8.92% | × |
福本 朋哉 | 30,000株 | 1.00% | △ |
藤田 純 | 23,000株 | 0.77% | △ |
植木 原宗平 | 20,500株 | 0.68% | △ |
田中 真樹 | 20,000株 | 0.67% | △ |
上位株主には180日間(2024年4月19日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。
加藤一恵氏は全株式を売出株で売却する予定となっています。
上場前の第三者割当等による新株予約権の割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っています。
親引けはありません。
売れるネット広告社(9235)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。仮条件が830円~910円に決定し上場による吸収金額が約9.4億円、時価総額は約31.4億円になります。
業績が拡大しているタイミングで想定発行価格から仮条件引下げは人気がないと判断できそうです。
また、D2C(ネット通販)事業者のインターネット広告等を支援する「ストック型収益」となっていますが、解約率が高く目論見をあまり読まない個人投資家には衝撃的な数値だと感じ取られそうです。
ターゲットとなる業者はある程度の規模を持っている事業者が対象になり、個人経営などは対象とならないようです!東証に上場する企業も同社サービスを利用していると確認されています。
ここには書きませんが誰もが知る企業名がズラリと並びます。
また、2022年7月期の業績の落ち込みは会計基準が変更されたことによるものだそうです。その他、値上げなどにより同社サービスから撤退する企業もあったそうです。
業界的にそんなものなのかもしれませんね。
修正値900円~1,000円
最終予想900円
※注目度B
業績を確認すると2024年7月期の単独予想を確認することができました。売上10.51億円となり前期比9.59%増、経常利益2.45億円となり前期比47.59%増となります。
四半期利益は1.52億円となり前期比34.51%増となります。
公開価格が910円決定の場合の指標はEPS45.55からPER19.98倍、BPS333.02からPBR2.73倍になります。配当や株主優待の設定は現時点でありません。
現在の業績は堅調に推移し特に問題はなさそうです。コロナ特需が終焉となっても業績を伸ばしていることは評価できそうです。
景品表示法や薬機法などの規制もあり、同社を利用したくても利用できない事業者もいるのかもしれません。CV(コンバージョン)が高いからこそ大手企業も利用しているはずです。
ただこれが中小企業になると商品の知名度が低いためCVが思ったように出ないところも出てきそうです。そのため撤退したりモール系を利用したりするのかもしれません。
大手の見立てでは株価設定的には買える水準となるようです。ただ地合いが悪化する中で需要は少ないと考えられているようですね。
上場規模から考えると投機的な資金が向かっても良いと思いますが、2023年下半期は資金が入らないIPOばかりとなっています。
上半期に上場して入れば初値2倍くらいは期待できたかもしれません。
IPO抽選に参加される方はよく考えたほうがよさそうです。単価が低いため参加する方は多いかもしれません!!
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
東海東京証券(主幹事) | 567,000株 | 63.00% |
SBI証券 | 90,000株 | 10.00% |
岡三証券 | 90,000株 | 10.00% |
野村證券 | 45,000株 | 5.00% |
西日本シティTT証券 | 27,000株 | 3.00% |
楽天証券 | 18,000株 | 2.00% |
松井証券 | 18,000株 | 2.00% |
岩井コスモ証券 | 18,000株 | 2.00% |
FFG証券 | 9,000株 | 1.00% |
丸三証券 | 9,000株 | 1.00% |
東洋証券 | 4,500株 | 0.50% |
あかつき証券 | 4,500株 | 0.50% |
業績の落ち込みがあり前期は赤字決算となっています。今期は回復するようですが勢いが途絶えたのか?とも感じられます。
福岡県の企業で東海東京証券が主幹事なのも少し違和感がありますね。公式サイトが既にネット通販仕様なのでそもそもの違和感があります。
当選を狙うのであれば主幹事の東海東京証券からの申込みを優先しておきましょう。IPO当選後にキャンセルするとIPO抽選に参加できなくなるペナルティーがあります。
参加される方は気を付けてください!私は現時点で消極的な申し込みになると考えています。
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類似企業のPERやPBRを調べました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
ピアラ(7044) | PER17.53倍 | PBR1.97倍 |
Macbee Planet(7095) | PER31.73倍 | PBR7.34倍 |
ブリーチ(9162) | PER11.35倍 | PBR3.73倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
2020年8月01日~2028年7月31日 | 125,820株 | 35円 |
2021年7月30日~2029年7月29日 | 58,620株 | 166円 |
2022年8月01日~2030年7月31日 | 30,000株 | 590円 |
2022年11月01日~2030年10月31日 | 12,500株 | 590円 |
2023年11月01日~2031年10月31日 | 29,640株 | 622円 |
2024年11月01日~2032年10月31日 | 59,620株 | 622円 |
2022年8月01日~2030年7月31日 | 8,995株 | 590円 |
2023年11月01日~2031年10月31日 | 505株 | 622円 |
ストックオプション(新株予約権)は235,935株が上場時に行使期限を迎えます。
発行済株式総数3,000,000株に対する新株予約権の割合は10.86%に相当します。新株予約権による潜在株式数は325,700株です。
売れるネット広告社(9235)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ
売れるネット広告社のIPOも微妙な感じです。2021年に上場していればある程度人気だったと思います。コロナ禍も過ぎ去り平常に戻るタイミングなのでインパクトがありません。
※売れるネット広告社公式サイト引用
クラウドサービスの「売れるD2Cつくーる」は課金クライアント数が2023年7月末時点で169社に達しているそうです。
現在も順調に拡大を続け、物販系分野のEC市場は大きく成長を続けているため開拓余地が残されていると同社は考えているそうです。
こういうのは法に触れないギリギリを狙うなどの戦略があると言われているため詳しく調べる必要がありそうですね。
「売れるD2Cつくーる」の解約率は2020年7月期は23%、2021年7月期より値引き等を実施した影響でクライアント数が増加した一方で、解約社数も増加したことを受けて2021年7月期は62%、2022年7月期は58%と推移しているそうです。
同社のクラウドサービスは年間契約のストック型となっているため解約率を低下がポイントになりそうです。
新規参入や大手による競争の激化が予想されているためIPOとしては魅力が低いと感じます。とりあえず業績予想を確認した後にBBスタンスを決定したいと思います。
現時点では消極的に参加する予定です。吸収金額が低くIT系サービスなので好まれるはずですが目が肥えた投資家が多くなり微妙だと思います。
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