オカムラ食品工業(2938)のIPOがスタンダード市場に新規上場承認されたのでご紹介したいと思います。サーモン養殖を行うグローバル企業になります。
主幹事は野村證券が務め公開株数1,050,000株、オーバーアロットメント157,500株です。上場規模は想定発行価格1,680円から計算すると約20.3億円になります。
募集は全て公募となっています!
※オカムラ食品工業公式サイト引用
日本において水産業は衰退産業と言われていますが、海外では水産業は成長産業となるそうです。同社は水産物の消費拡大が期待されるアジア圏での販売を促進することで業績拡大を狙うようです。
日本だけをターゲットにしていると人口も減るし昔と比べ魚を食べませんからね。
世界的には1人当たりの食用魚介類の消費量は過去50年で約2倍に増加し、近年でもそのペースは衰えていないそうです。
とりわけ元来魚食習慣のあるアジアやオセアニア地域では、生活水準の向上に伴って顕著な増加を示しているそうです。地域性の問題は大きそうですね。
アジア全体の日本食レストラン店舗数推移は拡大傾向にあるそうです。日本食ブームもありオカムラ食品工業の業績も拡大傾向にあります。
同社の成長を支えるのはサーモン養殖事業になり、デンマーク及び日本国内で事業展開を行っています!
オカムラ食品工業(2938)IPOの上場基本データと引受幹事について調べました
項目 | 上場基本データ |
上場日 | 9月27日 |
市場 | スタンダード市場 |
業種 | 食料品 |
事業内容 | サーモンの養殖、水産品の加工・販売 |
ブックビルディング | 9月08日~9月14日 |
想定価格 | 1,680円 |
仮条件 | 1,600円~1,680円 |
公開価格 | 1,680円 |
初値結果 | 2,564円(公開価格1.53倍) |
企業情報 | https://www.okamurashokuhin.co.jp/ |
監査人 | EY新日本有限責任監査法人 |
手取金の使途 |
|
項目 | 株数データ |
公募株数 | 1,050,000株 |
売出株数 | 0株 |
公開株数(合計) | 1,050,000株 |
オーバーアロットメント | 157,500株 |
上場時発行済み株数 | 7,785,210株 ※公募分を含む |
想定ベースの時価総額 | 約130.8億円 |
幹事団 | 野村證券(主幹事) 大和証券 みずほ証券 SMBC日興証券 SBI証券 楽天証券 |
委託見込 | 大和コネクト証券 DMM.com証券 |
オカムラ食品工業(2938)の事業内容と上場に伴う評判を考察してみました
想定発行価格1,680円を基に吸収金額を算出すると約17.6億円となり、オーバーアロットメントを含めると約20.3億円規模の上場となります。同社グループはオカムラ食品工業と連結子会社9社で主に構成され、「養殖事業」「国内加工事業」「海外加工事業」「海外卸売事業」の4つの事業を柱としてビジネスを展開しています。
サーモンを中心とした川上から川下までの垂直統合型のビジネスモデルになり、グローバルに事業を展開しその結果として自己資本利益率や売上高営業利益率などの指標において上場会社平均を上回る実績を達成しています。
養殖事業では、生食用のサーモントラウトを養殖し国内外に向け販売する事業を行います。Musholm A/Sにおいては毎年約3,500トンのサーモントラウトを生産しているそうです。
更にサーモン養殖の世界的なリーダーであるノルウェーの養殖との差別化を図るため卵を持たせる養殖を行っています。その一部は同社向けに輸出され国内加工事業に使われています。
魚の身の部分はヨーロッパ諸国へスモークサーモンの加工用原料として、卵はいくらを生産しヨーロッパ各地へ、又はいくら加工用原料としてヨーロッパ各地で販売しています。
※有価証券届出書引用
国内加工事業及び海外加工事業は、魚卵・成魚を原料として顧客の要望にそって加工し販売を行う事業です。
国内加工事業における加工拠点は同社青森本社併設の第一工場と第二工場です。
第一工場では数の子、及びたらこ、同社グループ日本サーモンファームの養殖サーモンを主に加工しています。第二工場ではイクラと筋子の加工をしています。
国内のスーパーマーケットや外食向けの販売が主となっていますが、最近ではアジア圏の大手回転寿司チェーンへの輸出も増えているそうです。
※有価証券届出書引用
また、海外加工事業は海外の加工拠点において水産加工品を製造する事業となり、国内加工事業と同様に養殖事業からの原料仕入れに加え、自社仕入れチームが自身で良質な原料を世界中から調達し加工販売まで行うそうです。
ミャンマーの自社グループ工場やベトナムのパートナー工場があるそうです。
※有価証券届出書引用
海外卸売事業ではシンガポール、マレーシア、台湾、タイに拠点を有しています。
現地の日系スーパーマーケットや日本食レストランに日本から輸入した日本食材を販売しています。
顧客のニーズに応じて他社から幅広く商材を調達しています。また、自社グループ内で養殖・加工した商材も当事業を通じて海外市場に販売されているそうです。
オカムラ食品工業(2938)の株主状況とロックアップについて調べました
会社設立は1971年8月02日、青森県青森市八重田一丁目6番11号に本社を構えます。社長は岡村恒一氏(1961年2月11日生まれ)、株式保有率は21.48%(1,574,280株)です。※資産管理会社保有分は除く従業員数81人で臨時雇用者145人、平均年齢39.38歳、平均勤続年数6.53年、平均年間給与5,880,000円です。連結従業員数は804人で臨時雇用者は145人です。
連結のセグメント別従業員数は養殖事業86人、国内加工事業38人(臨時145人)、海外加工事業535人、海外卸売事業120人、全社共通25人となっています。
氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 所有株式数割合(%) | ロック |
株式会社オカムラ | 2,964,000株 | 40.45% | ○ |
岡村 恒一 | 1,574,280株 | 21.48% | ○ |
Steelhead Aps | 445,860株 | 6.08% | ○ |
岡村 直子 | 294,000株 | 4.01% | ○ |
八木 康次 | 277,560株 | 3.79% | ○ |
岡村 祥平 | 150,000株 | 2.05% | ○ |
岡村 大祐 | 132,000株 | 1.80% | ○ |
上位株主には90日間(2023年12月25日まで)のロックアップが付与されています。ロックアップ解除倍率の記載は目論見にありません。
上場前の第三者割当等による新株予約権の割当を受けた者との間に継続所有等の確約を行っています。
親引けは1,000万円を上限として社員持株会が要請する予定となっています。
オカムラ食品工業(2938)IPOの初値予想と幹事引受け株数をチェックしました
大手初値予想は仮条件発表後に掲載を予定しています。しばらくお待ちください。最新業績予想の他、仮条件発表後のPERやPBRなども後日追記します。仮条件が1,600円~1,680円に決定し吸収金額が最大約20.3億円、時価総額は約130.8億円になります。想定発行価格と変わりません。
水産会社の評価は低いと考えられますが業績がこれまで好調に推移し、吸収金額も手ごろ感があるため買い先行となるパターンだと思います。今期減益予想なのは残念です。
減益要因は世界的な飼料高などによるものだそうです。価格転換には現時点で対応できていないようです。
目論見によれば一時的にサーモン価格や魚卵価格が高騰しこれまで高い利益率を確保できたそうです。その反動で減益に転じるとされています。
また、漁業組合への加入が必要のため参入障壁が高いとされています!
修正値1,800円~2,000円
最終予想1,800円
※注目度B
業績を確認すると2024年6月期の連結予想を確認することができました。売上325.98億円となり前期比12.64%増、経常利益17.75億円となり前期比49.92%減となります。
四半期利益は12.34億円となり前期比48.35%減の予想となっています。
四半期利益が約11.55億円下がるのは衝撃です。それでも初値利益は期待できるようです!
公開価格が1,680円決定の場合の指標はEPS163.78からPER10.26倍、BPS1,646.80からPBR1.02倍になります。配当金は34円予想なので配当利回り2.02%になります。
極洋やマルハニチロと比較すると株価設定が高い気もしますが、類似企業平均では妥当なところにあるようです。
また、海外販売先は東南アジアと台湾になるため中国の水産物輸入停止の影響はあまりないようです。
元々人気化しずらい業種のため初値利益を狙いに行くのはどうか?と思います。ただ他のIPOよりはまともだと思うので個人的にIPO抽選に参加したいと思います。
機関投資家需要はあまりなさそうですが、業績規模が大きいため何とかなりそうだと考えています。
事業そのものは今後も海外の日本食ブームに乗っかり順調に推移すると思います!!
幹事名 | 割当株数 | 引受割合 |
野村證券(主幹事) | 966,000株 | 92.00% |
大和証券 | 21,000株 | 2.00% |
みずほ証券 | 21,000株 | 2.00% |
SMBC日興証券 | 21,000株 | 2.00% |
SBI証券 | 10,500株 | 1.00% |
楽天証券 | 10,500株 | 1.00% |
基本的に不人気銘柄だと思いますが直近業績は増収増益傾向にあるようです。前期は連結で約22.5億円の利益となっています。
2023年9月上場分のIPOはヤバイと思える内容が多いため同社のように利益が出ていると安心します。
IPOは公募株だけなのも良いですね。そもそも個人的には地味系の企業が好きなのでマークしておきたいと思います。上場規模も20億円程度なので吸収できそうです。
ただ店頭系の幹事構成なので不人気だと考えているのかもしれません!
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類似企業のPERやPBRを調べました
類似企業とPERやPBRは仮条件発表後に記載したいと思います。類似企業 | PER | PBR |
極洋(1301) | PER7.10倍 | PBR0.90倍 |
ニッスイ(1332) | PER10.48倍 | PBR1.09倍 |
マルハニチロ(1333) | PER5.96倍 | PBR0.75倍 |
ストックオプションの株数や発行価格を調べました
ストックオプション行使期間 | 株式の数 | 発行価格 |
2022年12月15日~2030年9月27日 | 454,020株 | 650円 |
2023年12月16日~2031年9月27日 | 138,840株 | 2,090円 |
ストックオプション(新株予約権)は454,020株が上場時に行使期限を迎えます。
発行済株式総数6,735,210株に対する新株予約権の割合は8.80%に相当します。新株予約権による潜在株式数は592,860株です。
オカムラ食品工業(2938)IPOの評価と申し込みスタンス!まとめ
オカムラ食品工業のIPOは普段ならスルーしそうな銘柄だと思います。ただ利益が出ている企業は投資先として安心感があります。2022年6月期の配当性向は4.5%なので配当期待はまだ低いかもしれません。
※オカムラ食品工業公式サイト引用
養殖事業と並ぶ成長エンジンは海外卸売事業になるため今後はアジア圏に力をよりいれて事業活動を行うようです。
子会社をアジア圏に持っているため、日本食需要の大きい地域を中心に進出先を増やしさらなる成長に繋げていく計画だそうです。
養殖需要は天然に比べ安定していると思いますが色々と課題は存在するようです。また、生産を増やす場合は巨額資金が必要なはずです。そのため事業収益及び金融機関の借入等を通じて成長資金の確保も必要となりそうです。
気になるのは自然災害などですよね。
地球温暖化による気候変動などで台風や豪雨、津波、さらに赤潮なども気になります。この辺りはシビアに調整されていると思いますが何か問題が起こると収益が一気に落ちる可能性があります。
サーモン養殖では抗生物質の効かないウイルス性の病気もあるそうです。
外国為替相場の変動なども気になる材料だと思います。事業規模の拡大に伴って2023年6月末時点の有利子負債残高は14,999百万円、総資産に占める負債の割合は66.9%と大きいようです。
業績は良さそうですがお金がかかる事業となっています!!
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